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2010-01
ワインコラム 第41回 ドイツ訪問の話 ラインガウ編
- 2010-01-24 (日)
- ワインコラム
帰ってきたばかり(何やら眠いのは時差のせいでしょうか。一年中眠い気もしますが...)、熱々の情報をお届けいたします!
ドイツはミュンヘンMünchenに到着しました。この町はワイン、ではなくビールで有名ですね。私の兄がこの町に住んでいるので会って来ました。
ミュンヘンから、ドイツが誇る極上ワイン産地のラインガウRheingauまで電車で約5時間。早朝に出発した私はお昼頃ラインガウのハッテンハイムHattenheimに到着しました。
ここから西へ、雪が降る中、地図を片手に畑を歩いて見ていきます。
辺りは雪、雪、雪...
千葉県出身の私は雪道を歩くのに慣れていません。できればこの季節に来たくなかったです...
さて、ドイツワインの畑の名前は、通常その畑が位置する村の名前の後にラベル上で表示されます。
例えば、キードリッヒ村にあるグレーフェンベルク畑は、キードリッヒャー・グレーフェンベルクKierdicher Gräfenberg、となります。
数多あるドイツの畑ですが、特に評価の高いわずか5つの畑は、村の名前を伴わずに畑の名前をラベルに表示することができます。その5つの畑をまとめてオルツタイルラーゲOrtsteillageと言います。
ドイツ全体で5つしかないオルツタイルラーゲの、なんと4つがこのラインガウ地区にあります(もうひとつはモーゼルMosel地区にあります。)
この事実だけでも、ラインガウがいかに優れたワイン産地かがわかりますね!
以下、4つのオルツタイルラーゲです。
シュタインベルクSteinberg (石の山、という意味)
シュロス・ライヒャルツハウゼンSchloss Reichartshausen (ライヒャルツハウゼン城、という意味)
シュロス・フォルラーツSchloss Vollads (フォルラーツ城、という意味)
シュロス・ヨハニスベルクSchloss Johannisberg (ヨハニスベルク城、という意味)
全て表土は雪で覆われていますが、これらの畑が高く評価されてきたのは一目瞭然でわかります。どれも(シュロス・ライヒャルツハウゼンは除く)急な斜面を持っていて、日当たりに恵まれています。
参考までに、残る一つのオルツタイルラーゲは、モーゼル地区のシャルツホーフベルクScharzhofberg (シャルツホーフの山、という意味)です。
さて、ハッテンハイムから10km、リューデスハイムRüdesheim村にやってきました。今夜はこの村のホテルに宿泊します。
ラインガウには銘醸畑が多くありますが、その極上のぶどうを素晴らしいワインに変える偉大な造り手さんも各村に居を構えています。このリューデスハイム村で、私はゲオルグ・ブロイヤーGeorg Breuerを訪問しました。
評価の高い、素晴らしい造り手さんです。
ここでは13種類のワインをテイスティングさせていただきました。特に印象に残ったものを挙げてみると...
ジューJeux 2008
シュペートブルグンダーSpätburgunder (Pinot Nor)の白ワイン!酸味がしっかりしていて、ミネラル感が強めに感じられる。品種としての個性があまり感じられず、ピノ・ブランPinot Blancのようにも感じられる。
グラウアー・ブルグンダーGrauer Burgunder 2007
ピノ・グリPinot Grisをドイツではこう言います。一部樽熟成を施したこのワインは厚みがあり、果実味がしっかりしている。
ベルク・ローゼンエッグ・アウスレーゼ・ゴールドカプセルBerg Roseneck Auslese GoldKapsel 2007
濃密な甘口。凝縮された甘味と同時にやはり凝縮された素晴らしい酸味が感じられる。
改めて、ドイツワイン唯一無二の個性に感動しました。地球が温暖化に向かう現在、冷涼な気候のもとで育ったぶどうによる、澄んだきりりとした酸味はかけがえのないものです。
テイスティングの後、セラーを見せてもらいました。ゲオルグ・ブロイヤーは一部のワインをフレンチ・オークのバリック(225リットル容量の小樽)で熟成させています。
丁寧に説明してくださった、ゲオルグ・ブロイヤーに感謝です。
暑い夏に良く冷やしたドイツワインは最高ですが、凛としたドイツの辛口白ワインは和食に良く合うと思います。少し甘味のあるタイプのドイツワインは、肉じゃがなど砂糖を使った家庭料理に合うと思います。良かったら試してみてくださいね!
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ワインコラム 第40回 ボルドー地方の話 ポイヤック編 その1
- 2010-01-07 (木)
- ワインコラム

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ワインコラム 第39回 イタリア カンパニア州の話
- 2010-01-03 (日)
- ワインコラム
バローロBarolo、キアンティChiantiに代表されるように、イタリアワインの銘醸地といえばピエモンテ州Piemonteとトスカーナ州Toscanaがまず挙げられますね。
ですが、それら2州より古い歴史を持ち、他ではあまり見られない地場品種から個性的なワインを生み出すカンパニア州Campaniaを忘れてはいけません!
まずはカンパニア州の位置を確認しましょう。イタリアの首都ローマを擁するラツィオ州の南隣りにあり、州都はナポリNapoliです。海からは新鮮な魚介類が、陸からは水牛のモッツァレラチーズMozzarella di Bufala Campaniaがもたらされ、美食の地としても注目を集めています。ピッツァ発祥の地でもありますね。
そんな美食の地に、美味しいワインが無いわけがありません。そのワイン造りの歴史が紀元前まで遡ることができると言われる、伝統のあるワイン産地です。
ヴェスヴィオ火山
ぶどう畑は主に内陸の山間部に点在しています。イタリアの他州が国際的に人気のあるぶどう品種に夢中になった近年でも伝統的な地場品種を守り続け、そのために今日では個性的なワイン産地として世界の注目を集めています。
代表的なぶどう品種として、アリアニコAglianico、グレコGreco、フィアーノFianoなどがあります。特に黒ぶどうのアリアニコはイタリア3大品種(残り2つはネッビオーロNebbiolo、サンジョヴェーゼSangiovese)のひとつとされるほど、優れた赤ワインを生み出す可能性を秘めた偉大なぶどうです。アリアニコによる代表的な銘柄は、南イタリアを代表する名酒タウラジTaurasiです。
タウラジのぶどう畑
同名の小村付近に広がるぶどう畑から、果実味、タンニンに富む長期熟成タイプの赤ワインが造られています。ワインによっては若いうちに飲むと口の中がぎすぎすするほど強い酒質を持ちますが、熟成させると偉大なワインにしか表現されない気品、複雑味、長い余韻を見せてくれます。優れたタウラジはまさにイタリアを代表するワインのひとつです。
グレコとフィアーノは2つとも白ぶどうです。両者とも、若い状態ではフローラルで果実味豊かな白ワインです。グレコのほうが男性的、フィアーノのほうが気品があって女性的と表現されることがあります。
ひとつ、私が残念に思うのが、グレコもフィアーノもあまりに若い状態で飲まれることが多いことです。どちらも、優れた個性的なワインだと思うのですが、そのほとんどが収穫後2年程度で飲まれているようです。できればさらに数年寝かせて、熟成により出てくるブーケやテロワールの妙味を楽しみたいワインだと思います。
さて、この州を語るのに外すことのできない生産者がいます。マストロベラルディーノMastroberardinoです。
同社こそ、ともすれば国際品種に飲まれ消えてしまう地場品種を大切に守り、育ててきた尊敬すべき造り手で、カンパニア州の名声をイタリア内外に知らしめた立役者です。
私は2008年の秋に訪問させていただきましたがイタリアにしては珍しく(?!)夜遅くまで仕事をしている様子がうかがえました。実際、そのワインの品質は高く評価されています。
カベルネやシャルドネも良いですが、ときには限定された土地でしか栽培されていない優れたぶどう品種に目を向けてみるのもいいですね。
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1月19日のレストラン講座はカンパニア州をテーマに、マストロベラルディーノのワインもお楽しみ頂けます。締切間近ですのでご興味のある方はお早めにご連絡ください。
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