Home > ワインを愉しむ
ワインを愉しむ Archive
ワイン・コラム 第119回 ローヌ地方の話 ポール・ジャブレ・エネ編
ですが、冬本番のこの季節は熱い食材が溢れています!
例えば、黒トリュフ。ほぼヨーロッパでのみ産出されるこの食材は、冬に旬を迎えます。夏にはサマー・トリュフと呼ばれるトリュフがありますが、こちらは外側は黒いのですが切ってみると中は白いです。黒トリュフは断面まで黒く、その官能的な香りの強さには驚かされるばかりです。
また、冬の食材と言えば、ジビエGibierでしょう!ジビエとは野生の鳥獣類のことです。野生の動物ですから、狩りをして捕まえ、それを食肉として利用するわけです。猪、鹿、鴨、鳩などその種類は多岐にわたります。
野性味あふれるジビエの料理とは、やはり野趣あふれるワインと合わせたいものです。その候補の筆頭として上がってくるのがローヌRhône地方のワインです!
代表的な銘柄としまして、コート・ローティCôte Rôtie、エルミタージュHermitage、シャトーヌフ・デュ・パプChâteauneuf-du-Papeなどが挙げられます。
今回はエルミタージュをご紹介させて頂きます。
エルミタージュのワインのもととなるぶどうの畑は、タン・レルミタージュTain-l’Hermitageの町の北側で、南を向いた急斜面に展開されています。
コート・ローティの畑同様見上げてしまうような急斜面です。ドイツのモーゼルMoselの極上畑など、世界でも極一部の神がかった畑だけが持つ特有のオーラを放っているようです。
トップの造り手として、ジャン・ルイ・シャーヴJean-Louis Chave、シャプティエChapoutier等が挙げられますが、恐らく最も有名なエルミタージュのワインはポール・ジャブレ・エネPaul Jaboulet Aîné社のラ・シャペルLa Chapelleでしょう。
その名の通り、エルミタージュの丘にある小さな礼拝堂に由来する名を持つこのキュヴェは、多くのラインナップを誇るポール・ジャブレ・エネの中でもフラッグ・シップのワインです。樹齢の高いシラーから、驚くほど低く抑えられた収穫量で凝縮したぶどうを摘み取ります。濃密で、凝縮感がありながらミネラルを湛えクラシックな構成のこのワインは、まさにエルミタージュを代表するワインのひとつです。
エルミタージュは赤ワインのイメージが強いと思うのですが、実際は少量ながら白ワインの生産も行われています。ラ・シャペルとして、1962年まで白ワインの生産が行われていたことをご存知の方は少ないと思いますが、ポール・ジャブレ・エネは2006年に、失われていたラ・シャペル白を再び造ることを決断しました。
今日では既に市場に流通しています。ローヌ地方の白ワインとしてはトップ・クラスの価格が付けられていますが、マルサンヌMarsannne 100%のこのワインは実に見事な仕上がりです。密度の高い果実味を持ち、ある程度しっかりした酸味を備えた構成は、ブルゴーニュの上質な白ワインを彷彿とさせます。
ラ・シャペルを含むポール・ジャブレ・エネの高級ワインは、ユニークな場所で熟成されています。本社を訪問した際、案内してくれたのは本社から車で数十分行ったところにある洞窟でした。紀元前121年にローマ人によって作られたというその洞窟は、美しく整えられており、神秘的な雰囲気を備えていました。今まで訪問させて頂いたカーヴの中で最も印象の強いもののひとつでした。
ジビエのシーズンもあと1ヵ月ほどで終わりを迎えます。今のうちに、ローヌ・ワインを片手に楽しんでみてはいかがでしょうか?
Clos Yは、2月9日の単発講座のテーマを「エルミタージュ」とし、ジャン・ルイ・シャーヴのエルミタージュ赤2007、白2009、ポール・ジャブレ・エネのラ・シャペル赤1999などの試飲も予定しております。約1時間の講座の後にはワイン持ち寄りの食事会も企画しております。ご興味がございましたらご連絡ください。
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想等ございましたら下記メール・アドレスまでご連絡ください。
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
ワイン・コラム 第118回 アルザス地方の話 ジョスメイエ編
今年はどのような年にしていきますか?
今年は3月に世界ソムリエ・コンクールが東京で開催されます。過去、1995年に東京で開催された時には日本代表の田崎真也氏が優勝され、世間がワインに注目しました。今回も、メディアが注目することでしょう。ワイン業界のイヴェントが一般的なニュースとして取り上げられるのは、毎年ボージョレ・ヌーヴォーの解禁くらいのものですから、3月のコンクールが日本のワイン業界全体を盛り上げてくれるかなと期待しております。
Clos Yは、2013年も秘蔵のワインをレストラン講座等で提供していきます。まずは2013年第1回目のレストラン講座、極上ワインと料理のマリアージュ(1月14日)で、シャトー・デュクリュ・ボーカイユChâteau Ducru Beaucaillou1966や、アルザス ゲヴュルツトラミネール ヴァンダンジュ・タルディヴ Alsace Gewurztraminer Vendanges Tardives1990 ジョスメイエJosmeyerなど...
今回は、アルザス地方の実力派の造り手、ジョスメイエをご紹介したいと思います。
この造り手は、アルザス地方の人気の観光町コルマールColmarから西に5kmほどのヴィンツェンハイム村に居を構えています。
この造り手の特徴として、畑を有機栽培で管理していることが挙げられます。1999年にはビオディナミ農法を取り入れました。醸造もナチュラルで、酵母は添加せず天然酵母によるアルコール発酵を行い、補糖(ぶどう果汁に糖分を加えてワインのアルコール度数を上げる技術)は行いません。
しっかりと果実味がありながらしなやかで優しさのある味わいが和食と合うのでしょうか、東洋的思想に通じる哲学があるのでしょうか、漢字で「蓮」と書かれたものなど、和風のラベルが貼られたワインもあります。
実際ワインは素晴らしい品質です。アルザスは、アルザス・グラン・クリュAlsace Grand Cruという特級畑が51ありますが(今後これらのグラン・クリュひとつひとつが独立したアペラシオンになる模様です。)、グラン・クリュを名乗るためには厳しい条件をクリアしなければなりません。良く知られているものとしては、アルザス高貴4品種しか(例外もありますが)グラン・クリュと名乗ることができません。ジョスメイエは、グラン・クリュの畑に高貴4品種以外の品種、例えばピノ・オーセロワPinot Auxerrois等を植えて、一般的なアルザスとして販売しています。これが素晴らしいのです!
特級畑に特級を名乗ることができない、言ってしまえば無名の品種を栽培し続け、高品質なワインを造る...かっこいいです!
このような造り手さんは応援したいと思いますが、私などが応援しなくてもその品質によって世界で高く評価されています。
世界には稀にこのような「裏グラン・クリュ」とでも言うべきワインが存在しています。このようなワインを見つけ出して、偉大な土地を思いつつ味わうのもワイン特有の楽しみですね!
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想等ございましたら下記メール・アドレスまでご連絡ください。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
ワイン・コラム 第117回 2012年印象に残ったワインの話
どのような年でしたでしょうか?
私は今年もいろいろなワインに出会うことができました。とても安価な割にとても良くできていて驚かされたポルトガルの白ワインや、入手困難なカリフォルニアのカルト・ワイン、フランスで出して頂いた日本未入荷のワインなど...
深く思いだすときりがありませんので、ぱっと思い浮かぶ印象的なワインをいくつかご紹介させて頂きます。
まずは2月にClos Yの企画で行った「ドメーヌ・デ・コント・ラフォンDomaine des Comtes Lafonの会」で登場した、コント・ラフォンのムルソー・プルミエ・クリュ シャルムMeursault 1er Cru Charmes 1984。1984はそれほど良い年ではありませんでしたので、ワインの状態に少しの不安がありましたが、開けてみてその品質の良さに驚かされました。熟成感のある複雑な香りが広がり、味わいも果実味がしっかりと残っていて、素晴らしい状態でした。難しいヴィンテージの白ワインでも、偉大な造り手が素晴らしい畑のぶどうから造るワインは熟成能力があることを、改めて実感しました。
王道のワインの後は変わり種をひとつ。フランス、アルザスAlsace地方のオードレイ・エ・クリスチャン・ビネールAudrey et Christian Binnerが造るカッツ・アン・ビュル ピノ・グリKat’z en Bulles Pinot Grisです。ヴァン・ド・ターブルVin de Tableの格付けになりますのでヴィンテージの表記がされておりませんが、2009年のぶどうから造られたものです。天然酵母によるアルコール発酵を行った微発泡性のワインなのですが、瓶詰めの際にフィルターをかけていないため澱が多く、濁っています。ぶどうに由来するのか、少し赤みを帯びた茶色っぽい色調を呈しています。皮や種も一緒にぶどうを搾った時のような香りを放ち、グラスを回すとしゅわっと泡立ち、二酸化炭素を含んだ香りが立ちます。少し残糖があるようで、甘味を伴う果実味がしっかりしています。酸味もなかなかしっかりとしていて、ボリュームがあります。泡は穏やかで口中でムース状。余韻はナチュラルな香りと果実味が少し太く、やや長く続いていきます。極めて個性的なワインで、極めてナチュラル。面白いです!出会うワインがほぼすべて初めてで、「これはどのようなワインだろう?」とどきどきしながらワインをテイスティングしていた初心を思い出させてくれた、心を打つワインでした。
続いてオーストラリアからロゼ・ワインをひとつ。同国を代表するピノ・ノワールの造り手のひとり、バス・フィリップBass Phillipのピノ・ノワールのロゼ2010です。西オーストラリア州のマーガレット・リヴァーなど、良いワインが生産される土地はオーストラリアの南部各地にありますが、ピノ・ノワールに関しては冷涼なヴィクトリア州南部やタスマニア州など一部に限られるように思います。バス・フィリップはヴィクトリア州のギップスランドGippslandということろに居を構えています。前述の通りピノ・ノワールで高い評価を得ておりますが、ロゼは私は経験したことがありませんでした。これが、素晴らしかったです!オレンジがかった色調は濃く、香りはまるでピノ・ノワールの赤ワインのようにしっかりとしていて複雑です。果実のコンフィに土っぽさ、スパイシーさが絡み合います。味わいでは果実味が十分にあり、タンニンもはっきりと感じられるレヴェルなのですが、アルコール度は高くなく、全体としてはややスマートにまとまっています。テイスティング用に黒いグラスがありますが、そのグラスで飲んだら赤だと思うような、しっかりとした構成のロゼ・ワインでした。
来年はどのようなワインとの出会いが待っているのでしょうか?これからも素晴らしいワインをご紹介させて頂きたいと思います!
Clos Yは、2013年も毎月のレストラン講座に加えて、普段なかなか飲むことができない「偉大なワイン」をテイスティングすることができる講座を企画していきます。これからも、ワインと共に元気に過ごしていきましょう!
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想等ございましたら下記メール・アドレスまでご連絡ください。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
ワイン・コラム 第116回 ボルドー地方の話 デュクリュ・ボーカイユ編
嗜好品としてワインを見ると、いろいろな楽しみ方があります。ただ黙々とワインだけを楽しんでも良いですし、歴史ある生産者や畑が持つ物語に思いを馳せたり、料理と合わせたり、ワイン好きな人と意見を交換したり...
ワインは嗅覚や味覚を楽しませてくれるものですが、その美しい色合いによって視覚も楽しませてくれます。視覚の楽しみと言えば、美しいボトルやラベルもその一つと言えるでしょう。
実際、よほどのワイン愛好家でなければ(いや、よほどのワイン愛好家でさえも?!)、ほとんど同じ条件、もしくは素性のわからないワインが2種類目の前にあって、どちらかを選ぶ場合、美しいラベルが貼られている方のワインを選ぶのではないでしょうか。
私はあまりラベルの美しさだけでワインを選ぶことはありませんが、中身がとても良くてもデザインが「...」なものは少し残念に思いますし、世界的に見るとイタリアのラベルのデザインに秀逸なものが多いと思い、楽しく感じます。
前置きが長くなってしまいましたが、今回ご紹介するボルドーのシャトー・デュクリュ・ボーカイユChâteau Ducru Beaucaillouのラベルは、私が個人的に大好きなもののひとつです。
このシャトー、目を引く黄色と金色のラベルも素晴らしいですが、それ以上にワインの品質が充実しています。
シャトーはサン・ジュリアン・ベイシュヴェルSaint-Julien-Beychevelleに位置しています。ボルドーの町から北上してくる場合、マルゴーMargaux村を通り抜けて、サン・ジュリアンのシャトーとしてはまず美しいシャトー・ベイシュヴェルが姿を現します。シャトー・デュクリュ・ボーカイユはそのすぐ先にあります。ジロンド川のすぐそばで、「美しい小石」という名のままに、砂利質の土壌の素晴らしい畑を約75ha所有しています。
メドック地区では、川に近い畑は素晴らしい資質があるとされています。実際、その名を轟かす極上シャトーの多くは川沿いの畑を所有しています。
シャトー・デュクリュ・ボーカイユのぶどうは全て人の手で収穫され、区画ごとに醸造されます。ロットが多くなり管理が大変ですが、その分細部にこだわって最終的に上質なブレンドをすることができるようになります。
このシャトーが造るグラン・ヴァン、シャトー・デュクリュ・ボーカイユの品質が高いのはもちろん、セカンド・ワインのラ・クロワ・ド・ボーカイユLa Croix de Beaucaillouの品質の高さも特筆すべき点です。樹齢10年以下の若い樹のぶどうと、グラン・ヴァンに及ばない品質の(しかし、グラン・ヴァンに用いられるはずで、同じ手間暇をかけて造られた)ワインがブレンドされます。セカンド・ワインの品質にも満たないワインはネゴシアンに売られますので、セカンド・ワインの質も高く保たれているわけです。
シャトーを訪問すると、ワインのテイスティングが最後に行われるのですが、このシャトーの試飲ルームに通されて驚きました。壁が一面黄色いのです!私が訪問させていただいたワイナリーの中で、最も派手な試飲ルームだったかもしれません(笑)
その豪華な内容と美しいラベルから、正月に飲みたいワイン、という気がします。もうすぐ新年を迎えます。2013年最初のワインが決まっていない方は、デュクリュ・ボーカイユも良いのではないでしょうか。
Clos Yは1月14日のレストラン講座でシャトー・デュクリュ・ボーカイユの1966(良い年です!)に登場して頂く予定です。現行のラベルと全く違っていて面白いです。ご興味のある方はご連絡ください。
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
ワイン・コラム 第115回 ボルドー地方の話 プピーユ編
今回ご紹介させて頂くプピーユPoupilleの当主、フィリップ・カリーユ氏も、個性的ということでは引けを取りません。西のフィリップ、東のフレデリック...(笑)
どちらも素晴らしいワインという芸術作品を生みだす天才。優れた芸術家は個性的な人が多いのでしょうか。
プピーユは、名高いサンテミリオンSaint-Emilionの東隣、コート・ド・ボルドー・カスティヨンCôtes de Bordeaux Castillonのアペラシオンのワインを造っています。
Castillonの風景
メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランなど、複数の品種をブレンドしてワインを造ることが一般的なボルドーにおいて、プピーユは例外的にメルロ100%のワインも造っています。
この造り手さんの名を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ボルドーで最も高価な赤ワインのひとつペトリュスPétrusにブラインド・コンテストで最後まで張り合ったという逸話です。張り合った、ということは最終的には負けたのか、出品されたペトリュスとプピーユは同じヴィンテージだったのか、詳細は本人に確認していませんが、そのコンテストは1992年に行われたようです。
ペトリュスもメルロ100%。同じ品種構成で、偉大なワインに肩を並べたというのは凄いことですよね。それからたちまち知名度を上げたプピーユはいわゆる「シンデレラ・ワイン」の仲間入りを果たしました。
さて、そんな凄いワインを造るフィリップ氏、冒頭に書きましたように個性的です。私の親しい友人に、フィリップ氏をとても良く知る人物がいるのですが、話を聞くとやんちゃというか独創的というか...少しタイプは違いますが、東のフレデリック氏と通じるものがあるように思えます(笑)
ワイン造りに関してはとても研究熱心で、最新の醸造技術を取り入れたり、ボルドーでは珍しく(世界的にも珍しいですが)醸造に必要不可欠な二酸化硫黄を使わないキュヴェを造ってみたりしています。
実際、プピーユのワインは優れたメルロらしい果実味に溢れ、ボリューム感があり、タンニンはたっぷりとしていながら丸く、万人受けするようなスタイルです。
プピーユのワインを試してみよう、という方にひとつ、個人的に注意と言いますか、少しややこしい点のご紹介をいたします。プピーユでは、グラン・ヴァンのプピーユの他に、セカンド・ワインのシャトー・プピーユというキュヴェもあります。ボルドーでは、一般的にはグラン・ヴァンのほうがシャトー○○(例えばシャトー・マルゴーやシャトー・ラトゥールなど)という名で、セカンド・ワインには各シャトー独特の名前(例えばパヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーやレ・フォール・ド・ラトゥールなど)が付けられています。プピーユに関しては、シャトー・プピーユというキュヴェのほうがセカンド・ワインです。
素晴らしいワインを楽しむとき、そのワインが出来た土地を思い浮かべるのと共に、造り手さんのことを考えてみると、また楽しみが増えるかもしれません...!
Clos Yは、12月19日のレストラン講座で、プピーユの1999をお楽しみ頂く予定です。秘蔵のこのワイン、既に市場から消えてしまっていると思います。ご興味のある方はご連絡ください。
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
ワイン・コラム 第114回 ブルゴーニュ地方の話 ドメーヌ・デュ・シャソルネイ編
サン・ロマン村
世界中のワインの造り手を訪問させて頂いて、忘れられないワインは数多ありますが、中には忘れがたい記憶を残す人物もいます。今は亡きディディエ・ダギュノー氏やジュラの巨匠ピエール・オヴェルノワ氏、ペゴーのポール・フェロー氏...シャソルネイのフレデリック・コサールさんは、そのワイン同様に(?!)インパクトの強い人物でした。
ドメーヌを訪問させて頂いて、ひと通り(醸造設備、熟成庫等)を見せて頂いて、一般的な訪問の流れの通り最後にワインの試飲をさせて頂きます。私の質問にはまじめに答えて頂いておりましたが、試飲の際には「まあ飲んでいけ」というような、試飲というよりこれから飲み会が始まってしまうような雰囲気です。初対面でしたが、旧知の友人のように接してくれます。
おいしいワインですし、飲みたいのですが、私は複数のワインを同時に試飲する場合はワインを飲み込まずに、口に含んだワインを吐き出すようにしています。もったいないようなことですが、世界中のほとんどのソムリエやワイン醸造家はそのようにしています(一度口に含んだワインを吐き出す用の専門の容器もあります。)。まして私は車で来ていますから、ワインは飲みたいですがアルコールを摂取するわけにはいきません。友好的なコサールさんのありがたい申し出を断るのは大変でしたが、最終的にはほとんど飲まずに切りぬけました。コサールさんは途中合流した友人と楽しそうに話しながらご機嫌です。結局予定時間を大幅にオーヴァーして暗い道を帰ることになりました...
まあコサールさんの好人物っぷりは置いておいても、この造り手のワインは実に素晴らしいものです。アルコール発酵には天然酵母を用い、SO2を添加しない、フィルターをかけずに瓶詰めをする、などいろいろ醸造所でのこだわりもありますが、やはり高品質ワインの鍵は畑仕事にあると思います。
シャソルネイのワインは世界にその名を轟かせるシャンベルタンChambertinやモンラシェMontrachetではなく、知名度の低いサン・ロマンやオークセイ・デュレスAuxey-Duressesなどが主力商品です。このような、いわゆる世界トップの極上畑ではない畑からこれだけ素晴らしいワインを造るというのは尊敬に値すると思います。
ドメーヌの規模が大きくないため生産本数は多くなく、人気の造り手なので入手は簡単ではないかもしれませんが、試す価値あり、です。白も赤も見事な品質で、楽しませてくれると思います!
Clos Yは、12月2日のレストラン講座のテーマを「ブルゴーニュ」とし、上質なブルゴーニュ・ワインをそれに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。シャソルネイのサン・ロマン・コンブ・バザン2006とオークセイ・デュレス・レ・クレ2006の同時比較も行います!ご興味のある方はご連絡ください。
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
世界の銘醸地を巡る!2013 受講を受け付けております。
この講座は、テーマの産地の優良ワインと、そのワインに合わせてフランス料理店に特別に作って頂くフル・コースのフランス料理(冷前菜、温前菜、主菜、デザート、コーヒー)をお楽しみ頂ける講座です。毎月、世界の銘醸地を旅するように楽しい時間をお過ごし頂きます。
日時&テーマ
11月20日(水曜日) テーマ フランス ブルゴーニュ地方
12月18日(水曜日) テーマ 半年に一度の豪華版 ※ワインも料理も豪華版です!
※全会20時開始です。
場所
オザミ・サンカントヌフ (池袋 サンシャイン60ビルの59階にあります。)
受講料
いずれか1回、単発でお申し込みの場合 10,500円(12月の豪華版は15,750円)
料金は全て税込みです。
最大定員
7名
詳細
11月テーマ フランス ブルゴーニュ地方
ブルゴーニュ...。ワイン愛好家の心をこれほど強くひきつけるワイン産地は他にあまりないのではないでしょうか。おいしい食材が充実する晩秋の日本で、希少な銘柄を含む上質なブルゴーニュのワインをお楽しみいただきます。
アミューズ・ブーシュと クレマン・ド・ブルゴーニュ ブラン・ド・ブラン エクストラ・ブリュット N.V. アンリ・ボワイヨ
冷前菜と サン・ヴェラン 2009 ドミニク・ラフォン もはや入手不可?!希少なドミニク・ラフォンのサン・ヴェラン!
温前菜と ボージョレ・ヴィラージュ・ロゼ 2006 ドメーヌ・ジョエル・ロシェット ボージョレの上質ロゼ。決して侮れないワイン。
肉料理と ボーヌ・プルミエ・クリュ 赤 グレーヴ 1999 ルイ・ジャド 偉大な1999!優良生産者による、素晴らしい畑のワインです。
デザートと ヴァン・ド・ターブル アリ・ボワ・ボワ・エ・レ・40 ビュヴェー N.V. アニェス・パケ・エ・ダヴィド・モレ 甘いタイプのスパークリング・ワインです。
12月テーマ 半年に一度の豪華版
さあ2013年最後の月は、半年に一度の豪華版です!ワインも、食事も豪華版。いろいろな産地のワインを、それに合わせた料理とお楽しみください。赤ワインは、水平の飲み比べも体験していただきます。
アミューズ・ブーシュと シャンパーニュ グラン・クリュ ブリュット キュヴェ・トラディション N.V. ピエルソン・キュヴリエ やはりシャンパーニュもグラン・クリュは格別。
冷前菜と プティ・シャブリ 2009 ルネ・エ・ヴァンサン・ドーヴィサ 偉大な作り手が登場!プティ・シャブリも上質です。
魚料理と ヴァン・ド・ペイ・デ・コート・カタラン グルナッシュ・ブラン ヴィエイユ・ヴィーニュ 2005 ドメーヌ・デュ・クロ・デ・フェ 豊かな、深みのある白ワインです。
肉料理と マーガレット・リヴァー カベルネ・ソーヴィニヨン メルロ 2005 ピエロ 西オーストラリア州、マーガレット・リヴァー屈指の生産者!
フロマージュと マーガレット・リヴァー カベルネ・ソーヴィニヨン メルロ リザーヴ 2005 ピエロ 上記ワインの上級キュヴェです。
デザートと ラザーグレン マウント・カーメル N.V. チェンバーズ・ローズウッド・ヴィンヤーズ とろりとした、味わいの幅が広い甘口ワイン。一度飲んでいただくと、常備したくなる?!ワインです。
オザミ・サンカントヌフ杉原シェフによる、ワインに合わせた特別料理にもご期待ください!
冬はジビエも!
極上のパエリア!(スペイン編)
キャラメリゼした洋梨。
受講ご希望の方、使用予定のワイン、料理などについて気になる方はメールでご連絡ください。
※以上の予定ワインは変更になる場合があります。また、予期せぬワインの劣化(ブショネなど)が起こり得ることを予めご了承ください。
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
ワイン・コラム 第113回 シャンパーニュ地方の話 ボランジェ編
寒くなってまいりましたが、ワイン業界は熱い季節を迎えております!
年末は特にシャンパーニュChampagneの需要が高まります。やはり、クリスマスの乾杯にシャンパーニュは欠かせないですよね。
しかし世界のスパークリング・ワインの中でも特に重厚で熟成感の強いシャンパーニュは、乾杯用だけにとどめておくのはあまりにもったいなさすぎます。上質なシャンパーニュはフランス料理でも和食でも、料理と共に楽しむことにより、さらにその魅力を高めることができると思います。
今回は、上質なシャンパーニュ・メゾンの中でも常にトップにおかれるボランジェBollingerをご紹介いたします。
ボランジェはシャンパーニュ地方のピノ・ノワールの聖地とも言えるグラン・クリュGrand CruのアイAÿ村に居を構えています。
樽熟成をしたワインを使って造られるシャンパーニュは重厚で、複雑な風味を備えています。
ボランジェのシャンパーニュの高品質の秘密はたくさんあります。実際、「ボランジェ10の誓いLes 10 Engagements Bollinger」という厳格な自社規定を掲げ、変わらぬ高品質を保っています。中でも私が注目するのは、
1、 自社畑の比率の高さ
2、 樽を使っての一次発酵
3、マグナム・ボトル、コルク栓でのリザーヴ・ワインの保管
です。
まず1、自社畑の比率の高さですが、ぶどう栽培農家からぶどうや果汁を買い、それからワインを造ることが多いシャンパーニュの大手メゾンの中で、必要量の約2/3のぶどうをボランジェは自社畑でまかなっています。一般的な大手メゾンの自社畑のぶどうが占める割合は全体の約11%ということですから、相当に高い比率です。ボランジェの高品質なシャンパーニュに値する素晴らしいぶどうを厳しい基準の下自社で栽培しているということです。そして、ピノ・ノワールに比率が高いこともボランジェの大きな特徴の一つです。このことにより、骨格があり、華やかというより質実剛健な力強いシャンパーニュが生まれます。
2、樽を使っての一次発酵ですが、ここ10年ほどで樽を使用するシャンパーニュ・メゾンが増えてきており、今となってはそれほど珍しく感じられないかもしれませんが、やはり今でもシャンパーニュ造りに樽を使用するメゾンは少数派です。中でもボランジェは樽に強いこだわりを持ち、社内に樽工場を設けているほどです。
ボランジェ社内の樽工場
樽を使ってアルコール発酵を行うことにより、緩やかな酸素との接触が進み、ワインは複雑味を有し、長期の熟成に耐える構造になります。
3、マグナム・ボトル、コルク栓でのリザーヴ・ワインの保管に至ってはこだわりの極致と言えるでしょう。リザーヴ・ワイン(シャンパーニュは一般的にはヴィンテージがラベルに記されることが無いワインです。それは、複数の収穫年のワインをブレンドしてひとつのシャンパーニュを造っているからです。ブレンド用にストックしてある過去の年のワインのことをリザーヴ・ワインと呼びます。)は複雑な風味を持つ重厚なタイプのシャンパーニュ造りには命とも言える重要なものですが、大手メゾンのその量は膨大なものになります。一般的にはステンレス・タンクなどで保管されていますが、これをマグナム・ボトルで、しかもコルク栓をして置いておくというのです。理由は、マグナム・ボトルはゆっくりとした理想的な熟成が期待できる容器だということ。そして栓として王冠ではなくコルクを用いるのはコルクは穏やかに瓶内に酸素を供給し、理想的な熟成環境を作る、また王冠は酸化が早く進んでしまうということです。品質のためにこのようなこだわりを実行しているわけですが、これは大変なことです。ひとつのリザーヴ・ワインを例えばひとつのステンレス・タンクで保存しておくことは比較的容易ですが、僅か容量1.5リットルの瓶で長い間ワインを保存するにはスペースも必要ですし、瓶詰め、抜栓という仕事が増えます。さらにコルクを使用するということはブショネの可能性も出てくるわけですから、これをチェックする必要もあります。いやー、本当に大変です!
他にもドザージュは控えめにする、ですとかルミュアージュについて、デゴルジュマンなどもいろいろあるのですが書ききれません!
どうしても紹介したいのはこのメゾンの特別なキュヴェ、ヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズVieilles Vignes Françaisesです。ワイン造りに適したぶどう品種ヴィティス・ヴィニフェラVitis Viniferaは世界中に生息しているフィロキセラという害虫に抵抗力が無く、やられると死んでしまいます。その対策のため、耐性のあるアメリカ系のぶどうの台木に接ぎ木をして一般的に栽培されています。ところが、ボランジェはフィロキセラが生息できないという砂質の土壌に接ぎ木無しの自根でピノ・ノワールを植えて、そのぶどうからこの特別キュヴェを造っています。畑は本社前のアイ村にありますが、少し離れたブジーBouzy村(ここもグラン・クリュです。)にもあります。
Aÿ本社前のV.V.F.の畑
砂地に自根で植えられている
私はボランジェを2005年に訪問させていただいたのですが、何と2004年にブジー村のヴィエイユ・ヴィーニュ・フランセーズ用の畑がフィロキセラにやられたと伺いました。やられた木は引き抜いてしまったとのことです。
リスクを負いながらも特別なワインを造る。職人気質のこのメゾンのワインは単なる商品ではなく、1本1本に魂の入った芸術品のようにも思えます。
Clos Yは、12月8日(土曜日)の12時から、「偉大なワインを飲む!シャンパーニュ・ロゼ」をテーマに単発講座を行います。ルイ・ロデレールのクリスタル・ロゼ、ボランジェのグランド・アネ・ロゼを含む4種類のシャンパーニュ・ロゼの試飲を含んでおります。ご興味がございましたらご連絡ください。
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
ワインコラム 第112回 ローヌ地方の話 ル・サン・デ・カイユー編
野山にいる鳥獣を狩って得た肉、ジビエもレストランのメニューを賑わせています。
ジビエと聞くと、私はローヌRhône地方のワインと合わせたくなります。
一言でローヌと言っても、シラーSyrahやヴィオニエViognierなど主に単一品種でワインを造るローヌ北部と複数品種をブレンドしてワインを造ることが多いローヌ南部に分かれます。北部と南部は同じ「ローヌ地方」として括るのはどうかと思うほどワインのスタイルが異なります。
今回はローヌ南部のヴァケラスVacqueyrasというアペラシオンに注目してみたいと思います。
ローヌ南部で代表的なアペラシオンと言えばまずシャトーヌフ・デュ・パプChâteauneuf-du-Papeが挙げられます。グルナッシュGrenacheを主体とした力強い赤ワインが一般的に知られています。それに迫る品質のアペラシオンとしてジゴンダスGigondasがあります。ヴァケラスはジゴンダスから4kmほどしか離れておらず、ワインも似たスタイルとなります。
ヴァケラスでトップの生産者としてドメーヌ・ル・サン・デ・カイユーDomaine Le Sang des Caillouxが挙げられます。「小石たちの血」という風変わりな名前を持つこのドメーヌを、私は2004年の12月に訪問させて頂きました。この辺りは山の麓ののどかな田舎なのですが、突然現れた赤い色の建物に驚かされました!
収量を低く(22~25hl/ha)抑え、天然酵母によるアルコール発酵、無ろ過で瓶詰めというこだわりを持つ当主に案内して頂きました。内部はきれいに保たれていました。
お隣のジゴンダスと異なり、ヴァケラスは白ワインの生産も認められています。ごく少量しか生産されていませんが、この白がびっくりするほど素晴らしいのです!もちろん、赤も凄いです。当主の娘さんの名前が付けられていて、家族、そしてワインに対する愛情が感じられます。
この造り手のワインもそうなのですが、南ローヌの赤ワインは是非熟成させて飲みたいものです。一般的なコート・デュ・ローヌCôtes du Rhôneというアペラシオンのものは若くても楽しめますが、シャトーヌフ・デュ・パプなどのクリュに関しては、若い状態で飲んでしまっては強すぎて素直においしいと思えず、ワインの本質も引きだされておらず、とてももったいないと思います。
良い造り手の、きれいに熟成した南ローヌのワインは、それは素晴らしいものです。ジビエと合わせるもよし、単体でもじっくりと味わうことができます。
これからの季節、まさに熟成南ローヌの出番です。ヴァケラスのようにあまり知名度が高くないワインは熟成したものでも比較的お手頃です。試してみてはいかがでしょうか?
Clos Yは、11月21日のレストラン講座のテーマを「ローヌ地方」とし、ローヌ地方の上質なワインをそれに合わせたフランス料理と共にお楽しみ頂きます。ドメーヌ・ル・サン・デ・カイユーのヴァケラス赤2000も登場します!ご興味のある方はご連絡ください。
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。
- Comments: 0
- Trackbacks: 0
ワインコラム 第111回 ボルドー地方の話 シャトー・パヴィ編
ブルゴーニュ地方にもワインの格付けがありますが、ブルゴーニュ地方では畑が格付けの対象になっているのに対して、ボルドー地方では造り手が格付けの対象になっています。
有名なものは、1855年にナポレオン3世がボルドーの商工会議所に作らせたメドック地区Médocとソーテルヌ地区Sauternesのものがあります。
他に、また別の格付けとして、グラーヴ地区Graves、そしてサンテミリオン地区Saint-Emilionの格付けがあります。
今回はサンテミリオンの格付けを取り上げてみたいと思います。
格付けされたシャトーは「特級」としてグラン・クリュGrand Cruの文字をラベルに表記することができますが、サンテミリオンではシャトーの格付けとは別に、アペラシオンとして単なるサンテミリオンとサンテミリオン・グラン・クリュという2つのアペラシオンが存在しています。
アペラシオンとしてのサンテミリオン・グラン・クリュは、それほど重要なものではないかな、と個人的に考えております。実際、サンテミリオン・グラン・クリュでも特に上質ではないワインが少なからずあるように感じます。
サンテミリオンのグラン・クリュとして重要なものは、格付けされたシャトーです。それをラベルから読み取るのは簡単です。Grand Cruという文字の後にClasséという文字があれば良いのです。この「Classé」という文字が、格付けに選ばれたシャトーの証です。
サンテミリオンの格付けは他の地区の格付けと異なり、大体10年毎に見直しがされています。そのため、150年以上前に行われたメドックやソーテルヌの格付けより、「今」を反映している格付けと言えると思います。
最新の格付けの見直しは、今年、2012年に行われました。そしてこの最新の格付けは「事件」でした...!
長い間、サンテミリオンと言えば2つのトップ・シャトーが君臨している構図でした。シャトー・オーゾンヌChâteau Ausone Châteauとシャトー・シュヴァル・ブランCheval Blancです。これらのシャトーは、グラン・クリュ・クラッセの中でもトップ集団のプルミエ・グラン・クリュ・クラッセPremier Grand Cru Classéという更なる高みに格付けされており、その中でもプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに指定されています。サンテミリオンの全てのシャトーの中で、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに指定されているのは長い間オーゾンヌとシュヴァル・ブランだけでした。名実ともにトップ2シャトーだったわけです。
それが、今回の格付けで、シャトー・アンジェリュスChâteau Angélusとシャトー・パヴィChâteau Pavieがプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに昇格したのです!
確かに、アンジェリュスとパヴィは素晴らしいワインを造っています。
私は2008年にシャトー・パヴィを訪問しました。このシャトーは1997年にジェラール・ペルス氏がオーナーになり、1998ヴィンテージからはそれ以前のワインとは別物のように品質が向上しています。
偉大なオーゾンヌから、直線にして1kmも離れていない場所にあるパヴィは、偉大なワインを生みだす可能性を秘めた畑を以前から所有していました。設備投資と徹底した品質管理により、オーゾンヌに迫るところまでワインの品質を高めたのはペルス氏の功績と言えるでしょう。
低く収量を抑え、凝縮したぶどうを収穫し、98年からは木製の発酵槽で天然酵母によるアルコール発酵。樽内でマロ・ラクティック発酵を行い、熟成は樽(新樽70~100%)で24ヵ月行います。技術的には、アルコール発酵中にはボルドーで一般的に行われているルモンタージュではなくピジャージュにより抽出を行います。
この情報を見るだけで、手間暇をかけて偉大なワインを造っている様子が伺えます。実際、メルロを主体としたワインは強い凝縮感を備え、ボリュームがあり、噛めるようです。
1997以前も高価だったパヴィ。1998からは倍近くに値上がりし、現在でも高い価格を維持しています。格付けの上昇により、更なる値上がりは必至のように思われます。
試してみたい方は早めのほうが良いかもしれません...!
Clos Yは、11月10日に単発講座「偉大なワインを飲む!サンテミリオン プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ」を企画しております。最新の格付けでプルミエ・グラン・クリュ・クラッセに昇格した4シャトー(ヴァランドロー、ラ・モンドット等)全ての試飲を含んでおります(パヴィは出ません)。ご興味のある方はご連絡ください。
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。
- Comments (Close): 0
- Trackbacks (Close): 0
ホーム > ワインを愉しむ
- サイト内検索
- Feeds
- Meta