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ワインコラム 第45回 美食の話 オーベルジュ・ド・リル編
- 2010-03-05 (金)
- ワインを愉しむ
南フランス、ルシヨン地方にあるオーベルジュ・デュ・ヴュー・ピュイAuberge du Vieux Puitsが新たに3つ星を獲得し、現在フランスには26軒の3つ星レストランがあることになります。
ミシュランの格付けは、毎度有名店が星を失ったり、ドラマがありますね。今回私が注目したのは、ボルドー地方、マルティヤックMartillac村にあるレ・スルス・ド・コダリLes Sources de Caudalieです。これはシャトー・スミス・オー・ラフィットChâteau Smith Haut Lafitteというシャトーが経営しているホテル・レストランで、ぶどう由来のポリフェノールなどを使うヴィノテラピー・スパがあることでも知られています。今回のミシュランの格付けで、このレストランがひとつ星を獲得しました。ボルドー地方にはまだ3つ星レストランがありませんが、素敵なお店は多く、それが評価されてきていることを嬉しく思いました。
さて、今回は1967年から3つ星を守り続けている、アルザス地方のオーベルジュ・ド・リルAuberge de L’Illeをご紹介いたします。
40年以上も3つ星を守り続けるのは大変な偉業です。これより歴史があるのはただ一つ、かの有名なポール・ボキューズPaul Bocuse(1965年から)しかありません。
オーベルジュ・ド・リルが位置するのはアルザス地方南部の町、コルマールColmarのすぐ北にある、イラウゼンIllhaeusern村です。美しい小川が流れる小さな村ですが、オーベルジュ・ド・リルはその小川のほとりに佇んでいます。
そんな牧歌的な村にあるこのレストラン、扉を開けるとまずは赤いサロンがあります。次いでメイン・ダイニングへと移動すると、まるでニューヨークの近代的レストランかというような、ガラスを使った照明が印象的な内装が待っています。
まずはアペリティフ。私は自家製のカクテルを注文しました。花のリキュールを、シャンパン(テタンジェ)で割ったもので、ほのかな甘みと微かな苦みがアペリティフに最適でした。アミューズ・ブーシュはかりかりの小さなトーストにサーモンとキャビアが乗ったもの、かりかりにしたパルメジャーノ、そしてパエリアの揚げ物でした。
私は149ユーロのコースを取りました。ワインはアルザス・グラン・クリュ カステルベルグ・リースリング 2001Alsace Grand Cru Kastelberg Riesling。このレストランを訪れたのが2008年の秋でしたので、7年の熟成を経たものです。グラン・クリュならではの密度のあるワインで、まだ若い状態でしたがさすがに素晴らしい状態でした!
コースの最初の料理は魚のムースで、下にはガスパチョのジュレが敷いてあります。さっぱりとした繊細な味で、コースの幕開けにふさわしい一品です。
続いて、絶妙な火の通し加減の帆立、かぼちゃのムースやセップが添えられています。肉厚の帆立を、表面には焼き色を付けて、中は半生という状態でいただくと最高ですね!
次は白身魚の蒸し物で、雲丹やムールなど魚介類のソースとともにいただきます。魚は上品で、ソースは濃厚でした。
次はオマールです。きれいに取りだされた大きな爪肉、尾肉はオマールの頭の殻に詰められ、オマールのみそや様々なスパイスでできたペーストで覆われています。スープ状のソースには赤インゲン豆や細かく刻んだ野菜が入っています。海の無いアルザス地方ですが、どの地方に行っても高級レストランのコースにはオマールが組み込まれていることが多いようです。
メインの肉料理はフランス産仔羊のフィレ肉のローストです。肉の周りを野菜を使った緑色のペーストで覆っています。火の通し加減が絶妙でした!付け合わせはアーティチョークのベニエ(揚げ物)。中にはトリュフ入りのピュレが入っており、香り高いものでした。
続いてワゴンでサービスされるチーズ、好きなものを好きなだけいただけます。私はアルザス地方のワイン、ゲヴュルツトラミネールGewurztraminerで洗ったチーズ、ロワール地方のワイン、ミュスカデMuscadetで洗ったキュレ・ナンテ、日本では珍しいアルザス地方のシェーヴル(山羊のチーズ)などをいただきました。やはり3つ星レストランはチーズの質も素晴らしいものがあります。
ようやくコースはデザートへと進みます。まずはデザート前にシャーベットが出て、マカロンやチョコレートなどのプティ・フールが出ます。
メインのデザートはプラムが入ったミルフィーユ、アイスクリーム添えです。このアイスクリームにはクルミなどナッツ類が入っていて、私がいままでに食べたアイスクリームの中で最高においしいものでした!食事の締めですから、デザートは大切ですよね。
最後にコーヒーを注文すると、またしてもチョコレートが出てきます...食べすぎです!
歴史が長いだけあって、3つ星レストランの中でも評価の高いオーベルジュ・ド・リル。全体的な感想は、さすが!というものでした。サービスも完璧です。
冬も終わりに近づき、市場には既に春の食材が出てきています。この週末にでも、美味しい料理&ワインを楽しみに出かけてみてはいかがですか?
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