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ワインコラム Archive
ワイン・コラム 第176回 シャンパーニュ地方の話 ジャック・セロス編
シャンパーニュ地方におけるシャルドネの適地、コート・デ・ブランの特級格付けアヴィーズAvize村に居を構えるレコルタン・マニピュランR.M.です。自ら栽培するぶどうのみを用いてシャンパーニュを造っています。
近年ではレコルタン・マニピュランの形態のシャンパーニュ生産者が増え、日本にも多くの銘柄が入ってくるようになりましたが、ジャック・セロスは仲の良いR.M.エグリ・ウーリエEgly-Ourietや、最高のネゴシアン・マニピュランN.M.クリュッグKrugなどと並びシャンパーニュ地方トップ生産者のひとりであることは間違いないでしょう。
当主アンセルム氏は後進に大きな影響を与え、ジャック・セロス風のやり方でシャンパーニュを造る若手も少なくない状況です。
なぜこれほどまでに人気があるのでしょう。やはりその個性的なシャンパーニュは全シャンパーニュの中でも一際異彩を放っています。
軽やかで清々しいシャンパーニュを飲みたい気分の時には、ジャック・セロスのシャンパーニュは飲まない方が良い、と言って良いと思います。この生産者のシャンパーニュは味わいが複雑で重厚、余韻が長いです。良く冷やして、ではなくその複雑さを楽しむために少し高めの温度で楽しみたいところです。
その品質の鍵は、アヴィーズだけでは無く、他の村のぶどうも使いますが、まずはぶどうの質が良いこと。あらゆるワインの基本です。
醸造は天然酵母により、ブルゴーニュ樽を用います。酸素との穏やかな接触をすることにより香りや味わいに複雑さが生まれます。
私が2011年にこの造り手を訪問させて頂いた時にはアンセルム氏は不在でしたが、ご子息が案内してくださいました。
V.O.、アイAÿ村のリウ・ディ、1999、そしてラタフィアRatafiaを試飲させて頂きましたが、いずれも複雑で豊かな味わい、余韻が長いものでした。
乾杯に、というよりも食事の際にじっくりと味わいたい、未経験の方は試す価値のあるワインです。
Clos Yは5月27日のシャンパーニュ地方のワイン講座のテーマをレコルタン・マニピュランとし、ジャック・セロスほか4種類のシャンパーニュの試飲を含む講義を行います。ご興味がございましたらご連絡ください。
講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com
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ワイン・コラム 第175回 ブルゴーニュ地方の話 ピュリニー・モンラシェの赤ワイン ジャン・シャルトロン編
世界最高の白ワインである、と言った場合に最も反論の少ないであろう偉大なワインです。
このワインはフランス、ブルゴーニュ地方のモンラシェと言う名の畑のぶどうから造られます。
この畑はピュリニーPulignyとシャサーニュChassagne両村にまたがっていて、どちらの村もこの偉大な畑の名を村の名前に付け、それぞれピュリニー・モンラシェPuligny-Montrachetそしてシャサーニュ・モンラシェChassagne-Montrachetと言う名にしています。
今回は、ピュリニー・モンラシェ村の造り手、ジャン・シャルトロンJean-Chartronをご紹介いたします。
グラン・クリュであるシュヴァリエ・モンラシェChevalier-Montrache、バタール・モンラシェBâtard-Montrachetなど素晴らしい畑を所有し、上質なワインを生産しています。
シャサーニュ・モンラシェ村では赤ワインの生産も多いのでシャサーニュ・モンラシェ赤を飲まれたことがある方は少なくないと思いますが、法的にピュリニー・モンラシェでも赤ワインの生産は認められています。
しかし土壌との相性のためなのか、ピュリニー・モンラシェの名を冠した赤ワインを見かけることはほとんど無いと言っていい状況です。
そんな中、ジャン・シャルトロンは、ピュリニー・モンラシェ、しかも1級格付け畑に黒ぶどうピノ・ノワールを植え、赤ワインの生産を行っています。
私の知る限り、ピュリニー・モンラシェの赤ワインを生産している造り手は他にあと1軒。わずか2生産者しかピュリニー・モンラシェンの赤ワインを造っていないということは、やはりこの土地は白ワインの生産に向いているということでしょう。
肝心のワインですが、白は果実味が十分ありますがそれを上回る酸味が主体のエレガントな構成で樽は強すぎず適度にボワゼが表現されています。赤はブルゴーニュ、ポマールPommard、シャサーニュも試飲しましたが、なかなか凝縮感があり、キュヴェによっては塩味がしっかりと感じられました。
ピュリニー・モンラシェの赤ワイン、1級畑クロ・デュ・カイユレClos du Cailleret2004は2005年秋の時点ではガーネット系の濃い色調を呈し、赤い果実を主体に胡椒などのスパイシーさがある香り。味わいは果実味がしっかりとしていて豊か、少し青い雰囲気があり全体的に少し硬い印象が残りました。
Clos du Cailleretの畑
ピュリニーの赤はなかなかお目にかかることができない希少なワインですが、このようなワインを経験することによってピュリニー・モンラシェという土地の理解が深まると思います。機会がありましたら試されると良いでしょう。
Clos Yは5月6日のレストラン講座のテーマをブルゴーニュのグラン・クリュとし、素晴らしいワインに料理を合わせてお楽しみ頂きます。ジャン・シャルトロンを所有するシャルトロン・エ・トレビュシェのコルトン白も登場いたします。ご興味がございしたらご連絡ください。
講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
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ワイン・コラム 第174回 シャンパーニュ地方の話 テタンジェ編
フランス北東、シャンパーニュ地方で造られる発泡性のワインであり、食前から食中、食後まで、華やかに場を盛り上げ、ラグジュアリーな雰囲気を放つ、他にあまり類の無いワインです。
近年では小規模生産者の「ワインらしい」個性を備えたシャンパーニュが人気ですが、いわゆる大手メゾンも素晴らしいシャンパーニュを世に送り出していますね。
今回は、人気メゾンのひとつ、テタンジェTaittingerをご紹介いたします。
1734年創立のこのメゾンは、シャンパーニュ地方の都市ランスReimsに本拠地があるため、訪問し易く、また時間を取って訪問する価値のある、シャンパーニュ地方の中でも特に重要なワイナリーのひとつだと思います。
個人的な話ですが、ワインの勉強を始めた頃、有名どころ(とそうでもないところも)のシャンパーニュを並べて比較試飲する機会を友人と設けました。その中でテタンジェのシャンパーニュは華やかで香り豊か、味わいもバランス良く全体として気品があり、特に心惹かれたことを覚えています。
私がこのメゾンを訪問させて頂いたのは2008年のことでした。
テタンジェに限った事ではありませんが、ランスのシャンパーニュのメゾンは地下に深く長いカーヴを所有しており、その訪問の大部分の時間を地下で過ごすことになります。
お決まりのルミュアージュに関することなど見させて頂きましたが、テタンジェは一部のキュヴェに樽を使用しています。
今でこそシャンパーニュ造りに樽を使うことはそう珍しくなくなりましたが、今日でも樽を使って造られたシャンパーニュは少数派です。
特筆すべきキュヴェは
コント・ド・シャンパーニュComtes de Champagne。テタンジェのトップ・キュヴェ。全体の5%を新樽を含む樽で4ヵ月熟成。良い年にのみ造られ、10年ほどの熟成を経てからようやく出荷されます。常に品があり、複雑で余韻が長いプレステージ・シャンパーニュです。
コレクションCollection
良い年にのみ造られ、世界の有名芸術家にボトルのデザインを依頼するアーティスティックなキュヴェ。
1978年のヴィクトル・ヴァザルリがファースト・ヴィンテージ。その後
1981 アルマン
1982 アンドレ・マッソン
1983 ヴィエラ・ダ・シルヴァ
1985 ロイ・リキテンスタイン
1986 ハンス・アルトゥング
1988 今井俊満
1990 コルネイユ
1992 マッタ
1998 ザオ・ウーキー
2000 ラウシェンバーグ
2002 アマドウ・ソウ
といった芸術家がボトル・デザインを手がけています。
他にも甘めに仕上げたノクターンNocturneや複数のロゼなど、魅力的なシャンパーニュが揃っています。まずはブリュット・レゼルヴBrut Réserveから試してみてはいかがでしょうか?
Clos Yは4月22日のシャンパーニュ地方のワイン講座のテーマを「グラン・メゾン」とし、シャンパーニュ地方の代表的な大手メゾンの基本的なキュヴェを試飲し、それぞれのメゾンの特徴を探っていきます。テタンジェもご紹介いたします。ご興味がございましたらご連絡ください。
講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
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ワイン・コラム 第173回 ぶどう品種の話 アルバンヌ編
国際品種と呼ばれる、世界各地で栽培されている品種によるワインは、やはり人気のある品種から造られますので多くの人に好まれ易い特徴を持っていますし、ひとつの品種が表現するそれぞれの土地の個性が感じられて楽しいと思います。
その一方で、ある狭い範囲の土地でしか栽培されていないいわゆる地場品種によるワインは、その品種が育まれた土地と深いつながりを持っていて、飲み手にその土地を思わせたり、個性的な香味を持っていたりして興味深いと思います。
ぶどう栽培の歴史が長い旧世界では各地で地場品種が栽培され続けておりますが、今回ご紹介するのはフランス北部シャンパーニュChampagne地方の白ぶどう品種です。
シャンパーニュ地方のワインと言えば瓶内二次発酵方式で造られるスパークリング・ワインで、使用されるぶどう品種はシャルドネ、ピノ・ノワール、そしてムニエ(ピノ・ムニエ)と認識されていらっしゃる方が多いと思います。
実際のところ、シャンパーニュ地方には非発泡性の赤ワイン、ロゼワイン、白ワインの生産も行われております。そしてワイン醸造に用いられるぶどう品種は、上記3種の他にアルバンヌArbane、プティ・メリエPetit Meslier、ピノ・ブランPinot Blancそしてピノ・グリPinot Grisがあります。もっとも、アルバンヌ以下4種類が占めるシャンパーニュ地方の栽培面積は全体の0.3%にも満たない状況です。
今回は特にアルバンヌについてご紹介いたします。
この白ぶどう品種はシャンパーニュ地方南部オーブ県の古い地場品種です。
オーブ県Les Riceys村
小さく濃い色の葉を持ち、ぶどうの房は小さく、果粒も小さくとても糖度が高くなります。かつてはロゼ色そして黒い色の果皮を持つアルバンヌも存在していたようです。ベト病やうどんこ病に侵され易く、オーブ県以外ではあまり良く熟さないと言われています。1988年には僅か2haの栽培面積しかなかったようです。しかし収量の低いこの品種からは、暖かい年には特に良い品質のワインができていました。
最近では主要3品種の他に、残り4品種を使ったシャンパーニュも探せば見つかるようになってきています。とは言えやはり希少であることは変わりなく、複数品種のブレンドものがほとんどですのでアルバンヌ100%のシャンパーニュは探してもあまり見つけることはできない状況です。
私は一度、ランスでアルバンヌ100%のシャンパーニュを見つけ、買って飲んでみたことがあります。明るめの色調で、良い意味では無い植物的な香りが支配的でびっくりしたことを覚えています。後に生産者と話す機会があり、アルバンヌについて質問してみたのですが「そのように青っぽい香りが強く香ることがあります。」とのこと。少なくとも複数回経験しないとワインについて語るには不十分なので今はあまり詳しいことは言えませんが、今後も機会を設けて希少品種のシャンパーニュを試してみたいと思っております。
見かけることすらままならない、高価でその割に品質がいまひとつ?!のアルバンヌ。なかなか試す機会が無いと思いますが、Clos Yの3月25日のシャンパーニュ地方のワイン講座でアルバンヌ100%のシャンパーニュをご試飲頂けます!この回のテーマは「シャンパーニュ地方のぶどう品種」で、他にシャルドネ100%のシャンパーニュ、ピノ・ノワール100%のシャンパーニュ、ムニエ100%のシャンパーニュの比較試飲を行います。ご興味がございましたらご連絡ください。
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ワイン・コラム 第172回 イタリアの話 ニーノ・ネグリ編
イタリア第二の都市であるミラノを州都とするこの州では、素晴らしいワインの生産も行われています。
まずはイタリアを代表するスパークリング・ワインのひとつ、フランチャコルタFranciacortaが挙げられます。それから、ピエモンテ州のバローロやバルバレスコに用いられる品種として有名なネッビオーロがお隣のこの州でも栽培されていて、上質な赤ワインが造られています。
今回は、その赤ワイン、ヴァルテッリーナ・スペリオーレValtellina Superioreとその代表的生産者ニーノ・ネグリNino Negriをご紹介いたします。
ニーノ・ネグリが居を構えるのはロンバルディア州北部、東西に開かれているヴァルテッリーナ渓谷のキウロChiuroという小さな町です。
ワイナリー入口
町の北側には小川が流れる。
近くのソンドリオSondrioという比較的大きな町は、ミラノから直線で95kmほどの距離があります。
ヴァルテッリーナ、そしてその上級ワインであるヴァルテッリーナ・スペリオーレは、このヴァルテッリーナ渓谷の北側、南向き斜面に開かれたぶどう畑のぶどうで造られます。西端から東端まで約50kmほど。中でも特に条件の良い斜面がD.O.C.G.であるヴァルテッリーナ・スペリオーレ用の畑として指定されています。
急斜面にテラス状に畑が拓かれています。
用いられるぶどう品種はネッビオーロと上述しましたが、この土地ではキアヴェンナスカChiavennascaと呼ばれています。キアヴェンナスカ90%以上で、10%以下他の黒ぶどうを用いることが認められています。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレのワインはバローロやバルバレスコに比べると軽やかでフルーティですが、上質なぶどうを用い熟成を長く取ったリゼルヴァRiservaや、下述5つの特定地域が表示されているものはより凝縮度の高さや複雑さがあり上質です。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレの特定地域、西から
Maroggia マロッジャ 補助品種としてメルリーナMerlinaが用いられます。
Sassella サッセーラ 岩がちな土壌で、日照量が多い。良い年のものは非常に長い熟成に耐えます。
Grumello グルメッロ 城の名前が付けられています。若うちから飲み易いですが良い年のものは長期熟成に向きます。
Inferno インフェルノ 地獄の意味。アクセスし辛い非常に日あたりの良い約50haほどの地域です。ワインは強い個性があり、長期熟成に適し、複雑な香りを放ちます。飲めば天国。
Valgella ヴァルジェッラ 5つの中で最大の地域です。ワインは厳格かつエレガント。ネッビオーロの特徴を良く表します。
そしてこの土地の偉大なワイン、スフォルツァートSforzato di Valtellina(またはスフルサット Sfursat di Valtellina)は凝縮度の高い、堂々たる赤ワインです。収穫したぶどうを陰干しして造られます。ぶどう果汁のエキス分が凝縮しますので、あらゆる要素が濃いワインが生まれます。このようなワインもロンバルディア州で造られていることを忘れてはいけません。
ニーノ・ネグリはそれぞれのテロワールの特徴が良く出たキュヴェを造っています。中でもやはりぶどうを干すことによって約40%の重量を失った凝縮されたぶどうから造られるスフォルツァートは素晴らしい赤ワインです。できればある程度の熟成を経たものを、上質な料理と合わせて楽しみたいところです。
未経験でしたら、是非お試しください。ピエモンテ州のネッビオーロとはまた違った趣があります。
Clos Yは、3月22日のイタリア・ワイン基礎講座のテーマをロンバルディア州とし、この州の風土、ワイン、郷土料理などをご紹介いたします。3種類の試飲ワインの中にはニーノ・ネグリのヴァルテッリーナ・スペリオーレ・リゼルヴァも含まれております。ご興味がございましたらご連絡ください。
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ワイン・コラム 第171回 プロヴァンス地方の話 シャトー・シモーヌ編
高級リゾート地コート・ダジュールでは美しい地中海を臨み、一歩内陸に入ると山の雰囲気になり、ラベンダー、松、芳香豊かなハーブ類、ひっそりとした鷲の巣村が息づいています。フランスの中でも最も美しい地方のひとつと言えるでしょう。
ワインはというと、フランス3大ロゼ・ワインのひとつコート・ド・プロヴァンスCôtes de Provenceのロゼが観光客の渇いた咽を潤しています。このロゼ、中には息を飲むような素晴らしいものもありますが、一般的にはワイン愛好家が貴重な時間を費やして口にするに値しないような品質のものです(とは言えこの土地の美しい雰囲気の中ではそれなりに美味しく感じられるのですが...)。
今回ご紹介するシャトー・シモーヌChâteau Simoneは、パレットPaletteという極小アペラシオンで、プロヴァンス地方でトップクラスのワイン(白、ロゼ、赤)を造り続けている素晴らしい造り手です。
まずはパレットというアペラシオンですが、エクサン・プロヴァンスAix-en-Provenceの町の南東に位置する、僅か45haほどの土地で、グルナッシュ、ムルヴェドル、サンソー、クレレット、ユニ・ブランなどからワインが造られ、5社の生産者が存在しています。
シャトー・シモーヌが造るワインは白、ロゼ、赤、いずれも素晴らしいものです。
畑は山中にあり、21haの土地は森に囲まれています。小川も流れていてミクロ・クリマがあり、多くのぶどう品種が栽培されています。中には樹齢100年を超えるものもあるようです。
シャトー・シモーヌの畑
全てのワインは天然酵母でアルコール発酵を行い、樽熟成を経ます。ロゼ・ワインを樽熟成させるのは世界的に見ても珍しいことですが、それもありシャトー・シモーヌのロゼは他のプロヴァンス地方のロゼとは一線を画した仕上がり。複雑味を備えています。
一般的なプロヴァンスのロゼは夏の太陽の下飲みたいものですが、シャトー・シモーヌのロゼは冬のワインのような気がします。冷やし過ぎずに、少し大きめのグラスで楽しむとその素晴らしさを存分に楽しめることでしょう。
冬の間に、試してみてはいかがでしょうか?
Clos Yは3月1日のレストラン講座のテーマを「偉大な生産者の夕べ」とし、フランス各地の偉大な生産者のワインをそれに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。シャトー・シモーヌのロゼ2010も登場します!ご興味がございましたらご連絡ください。
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ワイン・コラム 第170回 シャンパーニュ地方の話 ニコラ・フィアット編
フランスの首都であるパリからシャンパーニュ地方の都市ランスReimsまで、直通のT.G.V.で最短46分で行くことができます。
この土地では白ワイン、ロゼワイン、赤ワインも造られていますが、何と言っても特産品はスパークリング・ワインです。
シャンパーニュ地方の中でも限定された区域の、指定された品種から指定された方法で造られたスパークリング・ワインは、シャンパーニュという名を名乗ることができます。今日では世界中で優れたスパークリング・ワインが造られていますが、シャンパーニュの名を名乗ることができるスパークリング・ワインはこのシャンパーニュ地方でしか造られることができません。
近年は小規模な生産者も増えましたが、大手生産者も健在です。
今回は、協同組合であるニコラ・フィアットNicolos Feuillatteをご紹介いたします。
ランスから南下すると、やがてこの地方の重要な町エペルネイEpérnayにたどり着きます。ニコラ・フィアットはエペルネイの東、シュイィChouilly村にあります。
石灰質の白い土壌が見えます。
フランスでシェアNo.1を誇るこの生産者は、やはり大規模な醸造設備を備えています。
施設内を案内して頂きましたが、見上げてしまう大きなタンクがたくさんあり、フォーク・リフトが忙しそうに動き回っていました。
ワインの品質はというと、一般的な協同組合のイメージは大量生産、低品質、というものがあると思いますが、それとはかけ離れた、上質なものです。トップ・キュヴェのパルム・ドールPalmes d’Orはもちろん、グラン・クリュごとに造り分けたり、バリックを使った野心的なキュヴェもあります。
素晴らしいワインを造る協同組合をいくつか挙げることができますが、ニコラ・フィアットはその良い例のひとつだと思います。いろいろなキュヴェがありますので、気になるものがありましたら試してみてはいかがでしょうか?
Clos Yは、2015年2月よりシャンパーニュ地方のワイン講座を行います。第1回、2月25日のテーマはシャンパーニュ概要です。シャンパーニュ地方の歴史、風土や郷土料理、シャンパーニュ造りの方法、使用する道具、理想的なサービスの仕方など、広くシャンパーニュ地方をご理解いただけます。3種類のシャンパーニュの試飲の中には、ニコラ・フィアットも含まれています。ご興味がございましたらご連絡ください。
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ワイン・コラム 第169回 ブルゴーニュ地方の話 ギィ・アミオ編
今回ご紹介するギィ・アミヨGuy Amiot & Filsが居を構えるシャサーニュ・モンラシェChassagne-Montrahet村は、近隣のムルソー、ピュリニー・モンラシェと並んで世界屈指の上質な白ワインの産地として知られています。
実際のところこの村の土壌は黒ぶどうの栽培に適しているようで、赤ワインも少なからず造られており、白に比べコスト・パフォーマンスが高く、試す価値があります。
ギィ・アミヨは、そのワインの品質から、この村を代表する生産者のひとりです。所有する畑は偉大な特級畑ル・モンラシェLe Montrachetを筆頭に、シャサーニュ・モンラシェ村の複数の1級畑、サン・トーバン村の1級畑やピュリニー・モンラシェの1級畑など、12haを超える畑を所有しています。
私がこのドメーヌを訪問したのは2005年の10月。白はまだ若い状態の2004年を、赤は2003年を中心に試飲させて頂きました。印象的だったのは
白 シャサーニュ・モンラシェ・プルミエ・クリュ クロ・サン・ジャンClos St-Jean 熟した白い果肉の果実、しっかりとした樽香。果実味豊かで酸味はやや穏やか。ボリュームがあり、ミネラル感も強く、余韻が長い。
Clos St-Jeanの畑。
赤 シャサーニュ・モンラシェ・プルミエ・クリュ マルトロワ Maltroie 2002 木いちご、さくらんぼなど華やかな赤い果実の香り。果実味は十分で、酸味の強さは中程度。マロ・ラクティック発酵による乳的な香りがあり、タンニンはそれほど多くなくなめらかで、余韻はやや長い。
赤の2003年も良いものが多かったですが、全体的にジャムっぽい、果実の成熟度が高いことを伺わせる雰囲気がありました。
ヴィンテージの性質やワインの状態(まだ若過ぎる状態)も考慮にいれる必要がありますが、赤の質の高さに心を打たれました。もちろん白も良かったですが。
やはりその土地、テロワールに合った適正品種というものがあるようです。市場で白の需要が多く、そのため高値で売れるので白ぶどうを栽培している部分があると思うのですが、シャサーニュ・モンラシェ村の土壌の大部分は黒ぶどうの栽培に適しているというのは事実なのでしょう。
土地、そしてそこに植えられたぶどうが表現するテロワール。ギィ・アミオのワインはそれをしっかりと表現していました。
Clos Yは、ブルゴーニュ・ステップ・アップ講座の2月のテーマをシャサーニュ・モンラシェとし、グラン・クリュを含む4種のワインの試飲も行います。ギィ・アミオの赤ワインも登場します。ご興味がございましたらご連絡ください。
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ワイン・コラム 第168回 ボルドー地方の話 ドメーヌ・ド・シュヴァリエ編
長期熟成に向く、重厚な赤ワイン、そして甘美な貴腐ワインとして知られるソーテルヌを産出するこの土地で、上質な白ワインも造られていることはあまり知られていないかもしれません。
辛口白ワインとして、高級銘柄ではシャトー・マルゴーが造るパヴィヨン・ブラン、シャトー・ムートン・ロートシルトが造るエール・ダルジャンなどメドック地区にもありますが、ボルドーの高品質白ワインと言えばグラーヴGraves地区が筆頭に来ることでしょう。
5大シャトーのひとつシャトー・オー・ブリオンの白ワインを始め、シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオン、シャトー・ラトゥール・マルティヤックなど、上質な白ワインを挙げればきりがありません。
その中でも特に、この地区で白ワインと言えば、ドメーヌ・ド・シュヴァリエDomaine de Chevalierを抜きには語ることができません。
グラーヴ地区の中でも特に高品質なぶどうが収穫できるペサック・レオニャンPessac-Léognan。ペサックとレオニャン、2つの村の名前を組み合わせてできている小さなワイン生産地区の名前ですが、実際にはカドジャックCadaujac、カネジャンCanéjan、グラディニャンGradignan、レオニャンLéognan、マルティヤックMartillac、メリニャックMérignac、ペサックPessac、サン・メダール・デイランSaint-Médard-d’Eyrans、タランスTalence、ヴィルナーヴ・ドルノンVillenave d’Ornonの10のコミューンがペサック・レオニャンのワインを産することができます。
ドメーヌ・ド・シュヴァリエは、ペサック・レオニャンA.C.、レオニャンの村の近くに位置しています。
私がこのシャトーを訪問したのは2014年9月、ちょうど収穫の最中でした。グラーヴ=小石の名の通り、小石が多く見られる畑には収穫を直前に控えたぶどうが見られました。
美しい形状のシャトー内部には、赤ワインのアルコール発酵に使うステンレス・タンクや熟成、そして白ワインの発酵に使うバリックが整然と並べられています。
この日はちょうどオーナーがいらして、貴重な古酒1981の白、ハーフ・ボトルも開けて頂きました。コーヒーの様な余韻。ドメーヌ・ド・シュヴァリエの白は長く熟成させても楽しむことができます。
樽熟成タイプのボルドーの白ワインは、冬季にもじっくり楽しむことができます。魚介類だけでは無く、白身の肉料理と合わせて頂いても良いでしょう。
Clos Yは、2015年もレストラン講座「世界の銘醸地を巡る!」を続けてまいります。1月21日のテーマはボルドー地方、グラーヴ地区です。アペリティフに希少なドメーヌ・ド・シュヴァリエのロゼをお楽しみ頂きます。ご興味がございましたらご連絡ください。
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ワイン・コラム 第167回 イタリアの話 フェッラーリ編
本年も引き続き、訪問したワイン産地の話などをコラムに綴っていきたいと思います。
2015年第1回目のコラムでは、イタリア、トレンティーノ・アルト・アディジェ州で上質なスパークリング・ワインを造るフェッラーリFerrariをご紹介いたします。
ワイナリーは、同州の州都トレントTrentoの町にあります。
私はお隣のヴェネト州のヴェローナから北上しトレントに向かったのですが、途中の風景は心打たれるものでした。
道は狭い渓谷を南北に走っているのですが、両岸は崖のように聳え立っていて、電車と車は谷の一番下の方を通ります。夕暮れ時、見上げてしまう崖が両側にある中を走っていくのはどこか悪い夢のようで、美しい風景ながらトレントに着いた時はほっとしたのを覚えています。
谷底の比較的平坦な部分から急斜面過ぎて作業ができない部分の間にぶどう畑が拓かれています。
トレントの町の名を取ったD.O.C.トレントという呼称のワインがありますが、それはトレントの町周辺のぶどうを用いて造られるスパークリング・ワインです。私が通った渓谷の斜面畑のぶどうも使われることでしょう。比較的価格は手ごろ。しかし内容はとても充実していて、世界的に見てもコスト・パフォーマンスが高いスパークリング・ワインだと思います。
そのトレントを代表する生産者がフェッラーリです。車のフェッラーリとは関係がありませんが、同じ名前のそれぞれ有名企業であるため、一緒にイヴェントを行うこともあるようです。
シャンパーニュの高級メゾンのように、フェッラーリの建物内部は華やかな雰囲気で、訪問客も多かったです。
マーケティングの華やかな部分が目立ちますが、肝心のワインの品質も注目に値します。
スタンダード・キュヴェのブリュットから、上級のペルレ、そしてトップ・ラインのリゼルヴァ・ルネッリ、圧巻のジュリオ・フェッラーリまで、いずれも素晴らしいワインです。
トレントD.O.C.としては少し高価ですが、トップ・クラスのキュヴェは世界中のあらゆるスパークリング・ワインの中で最高品質の域に達していると思います。
今年、良いことがあった時の乾杯用に今から準備しておくのも手ですね!
Clos Yは、2015年も引き続きイタリア・ワイン基礎講座を続けていきます。1月12日のテーマはトレンティーノ・アルト・アディジェ州です。地場品種の白ワイン、赤ワイン、そしてフェッラーリのスプマンテも試飲して頂きます。ご興味がございましたらご連絡ください。
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