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ワインコラム 第106回 ぶどう品種の話 サグランティーノ編

ワイン愛好家、といっても世界中に様々なタイプのワインがありますので、ワイン愛好家の中でも好みのワインのタイプは分かれるようです。

 

専ら白ワイン、という方もいらっしゃいますし、魚でも生牡蠣でも赤ワイン、という方もいらっしゃいます。シャンパーニュは特に女性に人気があるように感じています。

 

ワインの中でも特に赤ワインが好き、という方でも、ブルゴーニュ一筋の方もいれば濃いボルドーが好きな方もいらっしゃいます。

 

濃い赤ワインと言えば、温暖な産地を真っ先に思い浮かべます。南仏やカリフォルニア、スペインやイタリアなど...

 

濃い赤ワインを生むぶどう品種としては、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、場合によりグルナッシュ、ムルヴェードル、タナ、ジンファンデル、シラーズ、マルベックなどが挙げられます。

 

しかし、広い世界の中で、ごく一部の地域でしか栽培されていない希少なぶどう品種も少なくありません。そのような品種の中で、世界でも最も濃厚な赤ワインを生みだす力を秘めているぶどう品種があります。それこそ、今回ご紹介するサグランティーノSagrantinoです。

 

サグランティーノはイタリアのウンブリアUmbriaで栽培されています。数年前の調査では、この品種の最大の産地と言われるモンテファルコMontefalcoでさえ僅か100haほどの栽培面積しかない希少なぶどう品種です。

DSC00508 Montefalco

 DSC00507 Montefalcoからの風景

この黒ぶどうから造られる赤ワインは、色が濃く、果実味が豊かで、豊富なタンニンを含んでいます。極上のものは、時に「大地を揺るがすような」と形容されるほどです!

 

サグランティーノはサンジョヴェーゼとブレンドされることがありますが、D.O.C.G.に指定されているサグランティーノ・ディ・モンテファルコSagrantino di Montefalcoではサグランティーノを100%使用することが義務付けられています。

 

サグランティーノ・ディ・モンテファルコは、甘口と辛口、2種類の赤ワインがあります。甘口はぶどうを陰干ししてぶどうの水分を飛ばし、糖度を上げることにより造られる「パッシート」ワインです。濃厚でヴィンテージ・ポートのような印象があります。この甘口も良いですが、この品種の個性は是非辛口(甘くない)赤ワインで体感して頂きたいものです。特に極上の造り手によるサグランティーノ・ディ・モンテファルコは、数多くのワインを飲んできたワイン愛好家にも忘れがたい経験を与えてくれるはずです。

 

Clos Yは、9月2日のレストラン講座のテーマを「多彩なイタリアワイン」とし、極上のイタリアワインをそれに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。サグランティーノの最高峰のひとつ、パオロ・ベアのサグランティーノ・ディ・モンテファルコ2003も登場します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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ワインコラム 第105回 ボルドー地方の話 シャトー・ラフィット・ロートシルト編

ワイン愛好家なら一度は口にしてみたいワインがあると思います。

 

シャンパーニュのドン・ペリニョンDom Pérignon、ブルゴーニュのアンリ・ジャイエHenri Jayer、オーストラリアのグランジGrange、スペインのウニコUnico、アメリカのハーラン・エステイトHarlan Estateなど...

 

中でも多くの人が憧れるのはロマネ・コンティRomanée-Conti、そしてボルドーの5大シャトーでしょう。

 

いずれも10年前は少し頑張れば購入できるくらいの金額でしたが、近年では飲み物としては非常識な高値が付けられています。もはや投機の対象にもなっていて、原産国のフランスに行っても値段は高いので、純粋なワイン愛好家には悲しい状態です。

 

今回はそんな5大シャトーの中でも、1855年の格付け時に筆頭に選ばれたシャトー・ラフィット・ロートシルトChâteau Lafit Rothschildをご紹介いたします。

 

ボルドーの中でもその品質で名を轟かせるポイヤックPauillac村の北部に位置するこのシャトーは、現在約103haの畑を持ち、年間15,000から20,000ケースを生産しています。

 

まずこのシャトーのすごいところは、生産量に対する品質の高さです。世界中を見渡すと、驚くべき品質の極上ワインがいろいろな産地で見られますが、生産量は数千本から、多くても1万数千本というところがほとんどだと思います。中には1年の生産量が僅か300本というものもあります。ワインに限った話ではないと思いますが、極上の品物を作るときに、あらゆる労力を集中させて極僅かな、極めて完成度の高いものを作るということはそれほど難しいことではないかもしれません。しかし、その完成度を保ちつつ、かつある程度の量も作ろうと思うと大変です。ラフィットはそれを可能にしているのです。

 

では、どのようにラフィットは高品質なワインを安定して生産できるかと言うと、まず一番重要な点として挙げられるのが、畑(テロワールの優位)でしょう。

 

実際に畑に立って驚きました。世界的に有名なメドック地区ですが、大半の畑は平坦です。迫力を持って迫り、見上げてしまう急斜面のローヌ北部やドイツの銘醸畑のような神々しさは感じられません。そんな中にあり、ラフィットの畑には起伏があります。傾斜のある畑は効率良く陽を浴びて、雨の時は排水を促します。結果として良く熟したぶどうが収穫できるということです。

Lafite畑 

メートル・デュ・シェ(醸造長)のシャルル・シュヴァリエ氏を筆頭とした醸造チームの努力は言うまでもありません。細部にこだわり、新旧の道具を巧みに使い、熟成用の樽の一部は自社で作るというこだわりようです。

 

品質には直接関係ないかもしれませんが、マーケティングに注目してみても面白いです。マーケティングと言えばシャトー・ムートン・ロートシルトChâteau Mouton Rothschildの毎年変わるアート・ラベルが有名ですが、ラフィットも2008年ヴィンテージのボトルに「八」と漢数字を入れています。近年重要な顧客になっている中国市場を意識したものでしょう。実際ラフィットは高級ワインの大切なマーケットになりつつある中国で最も人気のある銘柄であるようです。

 

そのような一部の高い需要により、ラフィット(と残りの5大シャトーなど)の価格の上昇にはため息が出ます。2005年や2009年、2010年など出来の良かった年の価格の上昇には苦い顔をしながらも納得をするしかありませんが、そうではない年に劇的に値段が下がるかと言えばそうではありませんので困ったものです。

 

ワイン愛好家のみならず、多くの人が気軽に上質なワインを楽しめるようになってもらいたいものです。Clos Yは恐らく(日本の)どのお店よりも優しい値段で上質なワインを販売しています!

 

Clos Yは、8月26日(日曜日)12時から、シャトー・ラフィット・ロートシルト1960の試飲を含む単発講座を企画しております。受講料は低めにしてありますので、ラフィットを試してみたい方、古いワインに興味のある方はこの機会をお見逃しなく!

 

 

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ワインコラム 第104回 イギリスの話 ナイティンバー編

オリンピックで盛り上がっているイギリス。料理が美味しくないという不名誉な評判が定着してしまっておりますが、ワインという点で見ると、ボルドーをはじめとする高級ワインの消費国として長い歴史があります。また、世界的に有名なワイン・ジャーナリストを数多く輩出しています。

 

まさに、イギリスはワインの先進国と言えます。

 

しかし、ワイン生産国としてイギリスを見てみると、ほとんど無名の国になります。イギリスでワインが造られていること自体あまり知られていないでしょうし、イギリスのワインを飲んだことがある方は、とても少ないのが現状だと言えるでしょう。

 

ですが、知名度は低くても、生産量は少なくても、とても上質なワインが造られております!

 

イギリスでは、上質なワイン用のぶどうはイングランドの最南端のあたりで栽培されています。ドーヴァー海峡を渡ればフランスまですぐ、というところです。

 

この辺りの土壌はシャンパーニュ地方と同じと言われています。気候も似ています。となると、上質なスパークリング・ワインが造れるのではないかと思いますよね。実際、イギリス・ワインで有名なものは、現時点ではスパークリング・ワインです。

 

上質なイギリスのスパークリング・ワインは(安くはありませんが)高品質なシャンパーニュに比肩し得る品質を備えています。イギリスが秘めている高品質スパークリング・ワイン造りの可能性は、シャンパーニュ地方の造り手がイギリスにワイン生産用に土地を購入している事実を見ても確認できるでしょう。

 

特に有名なイギリスのワイン生産者として挙げられるのはナイティンバー・ヴィンヤードNyetimber Vineyardです。その歴史が始まるのは1986年からで、現時点で26年ほど経っております。世界的に見るとまだ新しい造り手ですが、イギリスでも20年以上前から上質なワインが造られていたということですね。

 

この造り手は、シャンパーニュと同じ手間暇のかかる製法でスパークリング・ワインを造り、6年もの長い熟成を経てから初めてワインを売りに出します。そのため、私たち消費者は熟成感を伴った複雑な風味のスパークリング・ワインを楽しむことができます。

 

今日では世界中で素晴らしいスパークリング・ワインが造られています。世界的にこのナイティンバーのスパークリング・ワインを見てみると、やはりシャンパーニュに近い個性を備えていると思います。

 

ワインが好きな方は、一度試すべきイギリスのワインでしょう。オリンピックを見ながら、というのも今だけの粋な飲み方かもしれないですね!

 

Clos Yは、8月15日のレストラン講座のテーマを「イギリス」とし、高品質なイギリスのワインをそれに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。ナイティンバーもブラン・ド・ブラン2001とクラシック・キュヴェ2001と、2種類登場いたします!ご興味のある方は是非いらしてください。

 

 

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ワインコラム 第103回 カリフォルニアの話 フリーマン編

アメリカ合衆国を代表する上質ワイン産地、カリフォルニア。一般的には濃厚で、力強く、ボリュームのあるワインが造られています。
 

旧世界のワインに慣れ親しんだ人の中には、銘柄によっては15%を超えるアルコール度数を持つようなカリフォルニアのワインを敬遠する人もいるでしょう。

 

しかし、一言でカリフォルニアと言っても広いです。中には冷涼な気候の場所もあります。そのようなところではボリュームが強すぎることが無く、エレガントなスタイルのワインが造られています。

 

今回ご紹介するフリーマンFreemanは、まさにエレガント系ワインの造り手です。

 

ソノマSonoma地区、ラシアン・リヴァー・ヴァレーRussian River Valleyの中でも特に冷涼なグリーン・ヴァレーGreen Valleyに位置するこの小さなワイナリーは、ひと組の夫婦が経営しています。奥様は日本人のあきこさんで、彼女の祖父が学者であり、フランスの上質ワインを好んでいたために、あきこさんも自然にエレガントなワインが好きになったとのことです。

 DSC00340 フリーマンのセラー入口

偉大なワインに長らく親しんできた人は、ワインを造るならおいしいワインしか造りたくないと思いますよね。

 

手掛ける品種はブルゴーニュ系。ピノ・ノワールとシャルドネです。

 

ブルゴーニュのスタイルを目指していて、白はリッチですが過度な重さは無く、赤はヴィンテージにもよりますが概ねブルゴーニュ風に仕上がっています。

 

キュヴェにより使用するぶどうの産地は異なりますが、ソノマ・コーストSonoma Coastやラシアン・リヴァー・ヴァレーなど、冷涼な気候の土地のぶどうを使用します。しっかりと土地の様子をワインに投影した、テロワールのワインと言えるでしょう。

 

私は2010年にこのワイナリーを訪問させて頂きました。その時に伺ったお話によると、2007年は過去10年で最高の年で、ワインに濃縮感があり、2008年は長期熟成タイプにはならないかもしれませんが例年よりエレガントさが際立っているとのことでした。

 

日本人が手掛けているので、あるキュヴェには「涼風Ryo-fu」という名が付けられています。日本人には分かり易いですが、その名の通り、涼しい風が吹く冷涼な土地のぶどうから造られるワインです。

 

カリフォルニアにおけるエレガントなワイン、未経験の方は是非試してみてください。緑に溢れた美しいソノマの土地を感じられるかもしれません。

 

Clos Yは、8月5日のレストラン講座のテーマを「半年に一度の豪華版」とし、フリーマンのRyo-fu Chardonnay 2008を含めた素晴らしいワインを、それに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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ワインコラム 第102回 フランスの話 コルシカ島編

7月4日現在、東京はまだ梅雨ですが、これから先1週間の天気予報を見ると、傘マークが見られません。

 

梅雨明けが近いのでしょうか?梅雨が明けるといよいよ真夏の到来ですね。

 

夏の空を想像すると、コルシカ島Corseの情景が浮かんできます。私はいろいろなワイン産地を訪れましたが、コルシカ島、特に北西部の海沿いの道からの景色は、強く心に残る美しさでした...

 

私がコルシカ島を訪れたのは、2004年5月のことでした。当時私はボルドーに住んでおりましたが、ボルドーから東へひた走り、サヴォワSavoie、ピエモンテPiemonteなどのワイン産地を訪問し、トスカーナToscanaのリヴォルノLivornoという町からコルシカ島の北東に位置するバスティアBastiaという町まで、車ごと船で移動しました。

 

バスティアから海沿いに南下し、島の西に位置するアジャクシオAjaccioに行き、そこから島の中央の道を通り北東方面に行き、それから海沿いを西へ。ちょうど「&」の字を書くように島を回りました。

 

鮮明に覚えているのは、海から山が突き出しているような島の様子、それから海の美しさです。

 

海は透明度が高く、ハーバーではとげの長いウニが生息している様子が見られます。島の北西部は、一部舗装されていない、土煙がもうもうと立ち上る道をうねうねと長時間走り閉口しましたが、その後の岩、海、夕陽の風景には感動させられました。

 

この島は海と同時に、「山」らしい要素が多い土地です。食文化で言えば羊乳の新鮮なチーズ、ブロッチュBrocciuや土地の生ハム、サラミ類は、コルスを訪れる際には是非試してみたい逸品です。

 

さて、ワインですが、全般的に見ると、正直あまりぱっとしない印象を私は持っています。それなりにおいしいのですが、心を打つほどの品質のものは少ないようです。

 

しかし、もちろんこの島でも極上のワインが造られています。特に注目すべき土地は、島の北東部に位置するパトリモニオPatrimonioというアペラシオンです。「あの」、もしくは「伝説の」と形容したいアントワーヌ・アレナAntoine Arenaはこの土地の畑から素晴らしいワインを造っていますし、他にも注目すべき生産者がいます。

 

私が訪問したのはドメーヌ・レッチアDomaine Lecciaです。島北部の港町、サン・フローランSt-Florentから細い道を内陸に入って行きます。サン・フローランの東には、小さな山がありますが、その山を西から南へ回り込むように移動します。山の南側の斜面は一部地盤がむき出しになっていて、その麓に畑が拓かれています。

Leccia 

土壌は粘土・石灰質とのことですが、表面はやや黄色っぽい砂状のように感じられます。

 Leccia2 Lecciaの畑 

レッチアのワインは品質が高く、フランスでは高く評価されているのですが、生産量が少なく、日本ではほとんどお目にかかることができません...しかし、幸いにも大御所アントワーヌ・アレナのワインはレッチアより比較的容易に入手可能です。

 

美しい島、コルスが育んだワインで、夏の訪れに乾杯してみてはいかがでしょうか?

 

Clos Yは、7月22日のレストラン講座のテーマを「オマール海老と地中海のワイン」とし、高級食材オマール海老を使用したフル・コースの料理と、地中海の上質なワインを合わせてお楽しみ頂きます。アントワーヌ・アレナのパトリモニオ白も登場します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

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ワインコラム 第101回 イタリアの話 チンクエ・テッレ編

ワインの生産量が少ないため、あまり目にする機会がありませんが、上質なワインを産するイタリア、リグーリアLiguria

美しい海沿いに細長く伸びるこの州では、ピガートPigatoロッセーゼRosseseなどの地場品種が栽培されており、おいしいワインになります。

 

中でも最高の知名度を誇るのはチンクエ・テッレCinque Terreでしょう。

 

チンクエ・テッレと言えば、一般的には世界遺産に登録されている、リグーリア州、ラ・スペツィア県にある5つの村々を指します。

 

ワインのチンクエ・テッレは、まさにその世界遺産のチンクエ・テッレのエリアにあるぶどう畑のぶどうから造られる白ワインです。ボスコBosco、アルバローラAlbarola、ヴェルメンティーノVermentinoなどのぶどう品種が使われます。

 

私は2010年に、5つの村々のうちのひとつ、リオマッジオーレRiomaggioleに行ってまいりました。

DSC00485 - コピー もうすぐリオマッジオーレ 

海からすぐに絶壁がそそり立っており、ぶどう畑はぽつん、ぽつんと小さな区画であちらこちらに点在しています。

DSC00489

エルミタージュやドイツの急斜面を見ると、あのような環境の畑で作業をするのは大変だろうと思いますが、まさにこの地もそうでした。畑に行くだけで疲れてしまいそうです。

 

町では、家々の壁はカラフルに塗られていて目を楽しませてくれます。険しい土地ですので、家を建てられるスペースも少ないためでしょう、波しぶきを浴びるような場所に建てられている家もあります。

DSC00490

窓からの眺めは素晴らしいでしょうね!

 

ワインに話を戻しますと、辛口白ワインのチンクエ・テッレはとても上質です。あまり多くの種類をテイスティングしておりませんが、傾向としてミネラル感が強く、シャブリを思わせるような部分があります。

 

希少なチンクエ・テッレですが、語る上で外すことができないのがさらに希少なシャケトラCinque Terre Sciacchetràです。原料となる白ぶどうの果皮を、太陽熱が赤くする年にのみ生産されると言われています。

 

シャケトラ用のぶどうは、収穫後2ヵ月ほど乾燥させられます。その結果水分が飛んで凝縮したぶどうを絞り、濃厚な果汁を得ます。この果汁を発酵させますが、果汁が含有している糖分を全てアルコールに変化させないため、甘口のワインになります。これがシャケトラです。ただでさえ量の少ない原料ぶどうを、乾燥させて凝縮させるので、まさに稀有なワインです。

 

辛口には辛口の、シャケトラにはシャケトラの良さがあります。もし幸運にも出会う機会がありましたら、是非試してみてください。その品質は期待を裏切らないと思います。

 

Clos Yの7月22日のレストラン講座のテーマは「オマール海老と地中海のワイン」です。高級食材オマール海老を使用したフル・コースの料理に、地中海の上質なワインを合わせます。デザート(デザートにはオマール海老は使用しません。)時にはチンクエ・テッレ・シャケトラが出ます!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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ワインコラム 第100回 ブルゴーニュ地方の話 アルマン・ルソー編

2009年にClos Yクロ・イグレックを立ち上げ、ワインに関するコラムを細々と書いてまいりましたが、今回で100を迎えました。

 

今回は、ブルゴーニュを代表する生産者のひとり、アルマン・ルソーArmand Rousseauについてご紹介したいと思います。

 

ジュヴレイ・シャンベルタン村Gevrey-Chambertinに居を構えるこの造り手は、多くのブルゴーニュ・ワイン愛好家が憧れる赤ワインの名手です。巨匠という言葉が相応しい造り手さんでしょう。

 

所有する畑の面積は約14ha。そのうち8haほどがグラン・クリュであり、その他にもプルミエ・クリュの筆頭格であるクロ・サン・ジャックClos Saint-Jacquesなど豪華なクリュを所有しています。そのため、見かけるワインはグラン・クリュが多く、ヴィラージュ・クラスのワインにはほとんどお目にかかることができません。

 

畑はほとんどGevrey-Chambertin村内にあり、唯一の例外がお隣のモレイ・サン・ドゥニ村Morey-Saint-Denisのクロ・ド・ラ・ロシュClos de la Roche(これもグラン・クリュ)です。

 

かねてから訪問してみたいと思っておりましたが、それが実現したのは2004年の11月でした。私はひとりで予約を取り、伺ったのですが、北欧からのワイン関係者のグループと一緒にドメーヌを案内して頂きました。

 

地下のセラーに降りて、当時まだ樽熟成中だった2003年を中心に試飲です。

 

大きめのグラスを受け取り、まずは自慢のモノポール、リュショット・シャンベルタン クロ・デ・リュショットRuchottes-Chambertin Clos des Ruchottesから。瓶詰め前のサンプルの状態ですが、甘く、華やかな香り、豊かに広がる果実味、長い余韻にいきなり圧倒されました。次いでクロ・ド・ラ・ロシュマジ・シャンベルタンMazis-Chambertinシャルム・シャンベルタンCharmes-Chambertinとグラン・クリュが続き、次いでプルミエ・クリュのラヴォー・サン・ジャックLavaux Saint-Jacquesクロ・サン・ジャック。そして真に偉大な2つのグラン・クリュ、クロ・ド・ベズClos de BèzeシャンベルタンChambertinで締めくくりです。

 

まだ樽熟成中の、しかも熱波に襲われた2003年でしたが、畑ごとの違いははっきりとワインに示されており、興味深い試飲となりました。上質なワインは若いうちから素晴らしいものです。例年よりもタンニンの強いヴィンテージで、しかもまだ瓶詰め前の若過ぎる状態なのに、口中がぎしぎしなどせずに、タンニンが溶け込んでいたことには驚かされました。

 

高い平均樹齢低収量によるぶどうの凝縮など、この造り手の高評価の理由はいくつでも挙げられますが、根底にあるのは丁寧なぶどう栽培と、それを実現させるワインへの情熱、ぶどうへの優しさ、ひいては人柄の優しさにあるのだなと、お話をうかがいながら思いました。

 

近年では若い世代による上質なワインも出てきているブルゴーニュですが、時にはルソーのような巨匠のワインを飲むことが必要なように思われます。少なくとも、ジュヴレイ・シャンベルタンという村、そしてそのワインを理解するうえでは欠くことのできない生産者です。

 

アルマン・ルソーを未体験の方は、まずはヴィラージュのジュヴレイ・シャンベルタンから試されることをお勧めいたします。入手困難ですが、その品質の高さに驚かされるでしょう。そしてジュヴレイの真髄に触れることになります。

 

Clos Yは、6月23日の単発レストラン講座で、アルマン・ルソーのジュヴレイ・シャンベルタン・プルミエ・クリュ・レ・カズティエ2006を含む、2006年の上質ブルゴーニュ・ワインの水平比較を企画しております。名高いグラン・クリュも登場します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

ワインコラム100回記念!このコラムを読んでくださった方への特典として、3名の方を対象に、無料出張ソムリエを行います。友人が集まるワイン会などで、ソムリエによるプロのサービスをご提供いたします。(※企業によるご依頼は除かせて頂きます。)ご希望の方はワイン会が行われる場所、ワイン会の規模(参加する人数)、日時と代表者の氏名、ご連絡先をご連絡ください。

 

 

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ワインコラム 第99回 ブルゴーニュ地方 畑の話 ル・クロ・ブラン・ド・ヴージョ編

偉大な畑がひしめく、フランス、ブルゴーニュ地方。

 

名高いワインを生みだす高名な畑には、歴史と物語があります。

 

今回は、コート・ド・ニュイCôte de Nuitsにおける白ワインの畑、ル・クロ・ブラン・ド・ヴージョLe Clos Blanc de Vougeotをご紹介いたします。

 

シャンベルタンChambertin、ミュジニーMusigny、ロマネ・コンティRomanée-Contiなど、錚々たる赤ワインの産地として知られるコート・ド・ニュイ。ニュイ・サン・ジョルジュNuits-Saint-Georges村やモレイ・サン・ドゥニMorey-Saint-Denis村などで、僅かに白ワインも生産されていますが、あまり話題に上ることもありません。

 

そんな赤ワイン王国のコート・ド・ニュイにおいて、白ワイン専門の畑として名を馳せるのがヴージョVougeot村にあるル・クロ・ブラン・ド・ヴージョです。

Le Clos Blanc de Vougeot 

有名なグラン・クリュであるクロ・ド・ヴージョClos de Vougeotに隣接し、起源を同じくするこの畑は、シトー派の修道僧によって1098年に拓かれました。1110年が最初のヴィンテージとされ、9世紀に及ぶ歴史を誇ります。かつてはル・プティ・クロ・ブラン・ド・シトーLe Petit Clos Blanc de Cîteaux(シトーの小さな白いクロ)やラ・ヴィーニュ・ブランシュ・ド・ヴージョLa Vigne Blanche de Vougeot(ヴージョの白いぶどうの樹)などとも呼ばれていたようです。

Le Clos Blanc de Vougeot2 白ぶどうに適した白い土壌。 

今日に至るまで、フランス革命などの危機を乗り越え、常にモノポール(単独所有されている状態)を維持していることもこの畑の特徴のひとつです。

 

今日この畑を所有しているのはドメーヌ・ドゥ・ラ・ヴージュレDomaine de la Vougeraieです。ブルゴーニュ地方の巨人、ボワセBoisset社が1999年に立ちあげた、高品質ワインに特化した造り手です。

 

複数のグラン・クリュを所有するヴージュレから見ても、歴史あるこの畑は宝石のように大切で、ビオディナミ農法で管理され、馬による耕作が行われています。面積は2.28ha。生産量は年により異なりますが、2008年は10,502でした。

 

ワインの醸造面では、選別された健全なぶどうはゆっくりと優しく搾られ、樽でアルコール発酵が行われます。樽に使用される木材は上質なことで知られるアリエと、ブルゴーニュのシトーの森のものというこだわり。発酵後、20ヵ月という長い期間熟成されます。

 

電気や車の無かったはるか昔から脈々と引き継がれてきた伝説の畑。労働と学習を重んじたシトー派の修道僧たちは、日の出から日の入りまで働く日々を過ごしていたのでしょう。2012年で903回目の収穫を迎えるこの畑のワインを飲むことは、連綿と続くブルゴーニュの歴史の一部を体感することにつながっています。

 

Clos Yは、6月3日のレストラン講座のテーマを「ドメーヌ・ドゥ・ラ・ヴージュレ」とし、同ドメーヌのワインをそれに合わせた特別料理と共にお楽しみ頂きます。伝説のル・クロ・ブラン・ド・ヴージョも登場します。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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ワインコラム 第98回 オーストラリアの話 ピエロ編

いろいろなワイン産地を巡ると、特に印象に強く残る産地もあれば、その逆の産地もあります。

 

ワインも同様で、ふとした瞬間に思いだし、また飲みたいな、という衝動に駆られるワインがあります。

 

訪問したワイン産地の中で、オーストラリアAustraliaの各地はそれぞれ印象深く、同時に非常に魅力的なワインも少なからずありました。

 

今回は、そのような魅力的なワインを産する、西オーストラリア州、マーガレット・リヴァーMagaret River地区のワイナリー、ピエロPierroをご紹介いたします。

 

西オーストラリア州を回ったお話はこのワインコラム第24回に綴ってあります。西オーストラリア州の雰囲気などは第24回のコラムをご覧ください。ピエロについても少し触れております。

 

さて、ピエロですが、1980年に、知的なマイケル・ペターキン氏が創立した、マーガレット・リヴァーを代表するワイナリーのひとつです。覚えやすい名前、印象的なラベルは、ペターキン氏が銀行に融資を申し込みに行った時の行員の困った顔がモデルと言われています。医師であるペターキン氏から突然このような相談を受け、困る行員の気持ちもわかる気がします...(笑)

 

ワインは、複数のキュヴェを造っています。特にシャルドネの評価が高いことで知られています。

 

私が訪問したのは2008年の2月上旬。畑には収穫を迎えるぶどうが健全に実っていました。

 

海から3kmほどの場所に位置するこのワイナリーでは、シャルドネの他にセミヨン、ソーヴィニヨン・ブラン、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、シラーズ、ピノ・ノワール等が栽培されています。

Pierro P.N. ピエロのピノ・ノワール 

海洋性の、ボルドーに近いと言われる気候のもと、ピノ・ノワールを栽培しているワイナリーは多くありません。この辺りで、ピノ・ノワールで有名なのは、やや南に下った産地、ペンバートンPembertonのピカーディPicardyくらいでしょうか。

 

ピカーディもピエロも、ブルゴーニュとは異なるスタイルですが、上質なピノ・ノワールを造っています。

 

ぶどう栽培はうねりのある丘陵地で行われ、灌漑をするにも考え抜かれた独自の技術を取り入れています。醸造は、例えばシャルドネの熟成にバトナージュを行うなど、ブルゴーニュ風の様式も取り入れています。

 Pierro3 醸造所内部の様子

このワイナリーは、ファイアー・ガリー・ヴィンヤードFire Gully Vineyardのぶどうから造るワインを、Fire Gullyとしてピエロとは別ブランドで販売しています。ラベルにはファイアー・ガリーを表す「火谷」と漢字で書かれています。これは、太極拳を行っているペターキン氏のアイデアだとか。

 

素晴らしいワインを生みだすオーストラリア。その最西端に位置するピエロのワイン、一度試す価値があると思います!

 

Clos Yは、5月16日のレストラン講座のテーマを「半年に一度の豪華版」とし、上質なワインと料理のマリアージュをお楽しみ頂きます。希少なピエロのピノ・ノワールも登場します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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ワインコラム 第97回 レストラン講座の話

Clos Yは、毎月レストラン講座を行っております。

 

レストラン講座とは、テーマのワインを、それに合わせた料理と共に講師の解説付きで楽しむことができる、ワインの勉強と楽しみを同時に体験して頂ける講座です。

 

参加者はレストラン講座に参加すると、テーマのワインについて学ぶことが出来、またワインと料理のマリアージュもお楽しみ頂けることになります。

 

今回は、そんなレストラン講座がどのように組み立てられているのか、その裏側をご紹介したいと思います。

 

まずはワインのテーマを決めることから始まります。毎月第3水曜日の20時から、池袋のオザミ・サンカントヌフにて行われる「世界の銘醸地を巡る!」を例にしたいと思います。この講座はその名の通り、世界のワイン銘醸地がテーマになっております。

 

1年分、つまり12回分のテーマを決めるにあたり、まずはボルドー、ブルゴーニュなど、外すことのできない人気の産地をテーマとして決定します。残りは、スペインなど今勢いのある産地や、イギリスなど認知度は低いものの要注目の産地を取り上げます。

 

その後、季節に合わせてテーマを割り振ります。例えば、ボルドーやローヌのように重厚な赤ワインが中心となる産地は冬季に、シャンパーニュやロワールなど軽快な白ワインが中心となる産地は夏季に持って行きます。

 

テーマが決まったら、具体的にワインの選定に入ります。これは正直、楽しくも難しい作業です。例えばひと口にボルドーと言っても、上質な白ワインもあればメルロ主体の赤ワインもあり、カベルネ主体の赤ワインもあります。比較対照するのであれば、例えばメドック地区のカベルネ主体の赤ワインばかりを用意すればワインの比較は面白いでしょうが、食事と合わせることも考えると同じタイプのワインばかり揃えても食事の流れがうまくいかなくなってしまいます。結果として、食事を通すバランスが良く、かつ有意義な比較対照ができる構成にならなければなりません。

 

例えば2012年1月のボルドーがテーマの講座では、以下のようなワインを用意いたしました。

 

2004     Pessac-Léognan Blanc   Ch. Latour Martillac

1995     Pessac-Léognan Blanc   Ch. Latour Martillac

2006     Haut-Médoc                    Ch. Belgrave

2006     Haut-Médoc                    Ch. Cantemerle

2005     Berry’s Sauternes 375ml             Ch. Doisy-Védrine

 

造り手は全てグラン・クリュで、水平(同じヴィンテージで、異なるワインを比較すること)、垂直(異なるヴィンテージで、同じ銘柄のワインを比較すること)を織り交ぜた内容です。

 

ワインが決まったら、ワインをどのような順番で、どのような料理と合わせるかを考えます。通常は泡、白、赤、甘口という流れになりますが、ワインの質とそれに合わせる料理を考えると必ずしもそのようにはなりません。

 

この例の場合、私が悩んだのは1995年のペサック・レオニャンの白ワインです。2006年の2つの赤ワインより、熟成したこの白ワインのほうが風味が強いのではないか...特にシャトー・ラトゥール・マルティヤックはボルドー地方の辛口白ワインとして高い評価を確立しています。レストラン講座の舞台はレストランです。料理は会場となるレストランの料理人の方々が作ってくださいますので、最終的には料理長と相談しながら料理を決めて行くことになります。

 

以下、実際に交わされた会話の一部をご紹介いたします。

 

中西「今回の講座のテーマはボルドーです。ワインはこの銘柄で(と言ってワイン・リストを料理長に差し出す。オザミ・サンカントヌフの杉原料理長はソムリエの資格を持っていらっしゃるので、話が早いです!)行きたいと思っています。」

 

料理長「今回はボルドーですか。料理はどうしましょうか?」

 

中西「そうですね。今回は赤が2006のオー・メドックが2種類あるのですが、メインは、シャトー・ベルグラーヴに合わせてアントルコート・ボルドレーズ(ボルドー風の牛ステーキ)にして頂きたいと思っております。悩んでいるのが、1995のラトゥール・マルティヤックの白とカントメルルの順番です。95のラトゥール・マルティヤックを最初に冷前菜と合わせるよりも、温前菜のほうに持ってきて、比較的メルロの割合が高くて柔らかいカントメルルを最初に何か肉系の冷前菜と合わせたほうが面白いかな、と思うのですが...」

 

料理長「ベルグラーヴとアントルコート・ボルドレーズですね。合うでしょうね。あとはどうしましょうか。最初にカントメルルと肉系の冷前菜で、次に魚系の温前菜にしましょうか?」

 

中西「...はい。(少し考えて)例えば、白に合わせてグラティネ(オニオン・グラタン・スープ)など出来ますでしょうか?(1月は寒いですし)温かい料理で、魚系も良いですが、香ばしい風味があるとワインとも相性が良いかな、と思います。」

 

料理長「グラティネですね。トリップ(牛の内臓ハチノス)入りで行きますか?」

 

中西「良いですね!ありがとうございます。では温前菜はラトゥール・マルティヤック白95と、トリップ入りグラティネで。あとはプルミエ(最初の冷前菜のこと)ですね。例えばパテですとか、肉系の冷前菜で...」

 

料理長「カントメルルとですね。メルロが多くて柔らかいのですよね?パテもありますけど、仔牛で作ったフロマージュ・ド・テット(通常は豚肉で作る、ゼラチン質の豚頭肉のゼリー寄せ)はどうですか?フォワ・グラのソースを添えて。」

 

中西「ありがとうございます!ではそれで、お願いします!」

 

...といった具合です。今回はカベルネ主体で力強いシャトー・ベルグラーヴをアントルコート・ボルドレーズで、というのが私の中でほぼ確定しており、まずメインから決まりましたが、料理の相談は毎回様々です。すんなり決まることもあれば、一度の話し合いで決まらずあれこれ考えることもあります。しかし料理が決まる瞬間は、興奮させられる時があります。例えば、私ひとりでは、仔牛を使ったフロマージュ・ド・テットなんてまず思い浮かびませんから!

 

ワインと料理の組み合わせで心を砕くことは、大きく以下の3つです。

1、ワインと合わせる食材

2、食材の調理法

3、ソース、付け合わせ

 

他にも気をつけるべきことはありますが、絶対に外せない点です。

 

さて、実際にレストラン講座が始まると、料理はプロに任せて、私はワインの状態の管理に気をつけます。どのワインにどのグラスを使うか、提供するワインの温度、デカンタージュの有無...グラスは事前に決めておきますので、当日は特に刻々と変化するワインの温度管理に細心の注意を払います。

 

レストラン講座ではもはや手に入らないワインをご紹介することも多いので、事前に料理長とワインのテイスティングを行うことはありません。当日、場合によっては試飲して頂くこともありますが、試飲の結果急きょソースを変更した、ということも過去に1、2度ありました。

 

いろいろ書きましたが、レストラン講座に限らず、私が一番伝えたいことは「ワインの魅力」です。嗜好品としての性質も持つワイン、100人中100人に満足して頂くことは難しいかもしれませんが、好みで無いワインにも、造り手の情熱が込められていて、生まれ育った風土を反映した物語があることを楽しんでいただければこの上ない喜びです。

 

この場を借りて、お忙しい中料理の相談に応じてくださる料理長、また実際に調理を担当してくださっている全ての料理人の方々、円滑に進めてくださるサービスの方々に感謝申し上げます。

 

毎回が一期一会のレストラン講座です。ご興味のあるテーマがございましたら是非ご参加ください!

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

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