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ワインコラム 第26回 オーストラリア横断の話 南オーストラリア州編 その2

南オーストラリア州の旅は続きます。

 

リヴァーランドからアデレードに戻った私は再びバロッサ・ヴァレーBarossa Valleyに向かいました。グラント・バージGrant Burgeジェイコブス・クリークJacob’s Creekなどの大手を訪問し、安定した品質のワインに感心させられました。

grant-burge グラント・バージの畑

jacobs-creek ジェイコブス・クリークの近代的なセラー・ドア。レストランも併設されていて、たくさんの人が集まっていました。

 

jacobs-creek2 ジェイコブス・クリークの畑

 

少量の上質ワインを造ることよりも、良質なワインをたくさん造るほうが難しいのでは、と思います。

 

この日はバロッサ・ヴァレーの中心地であるタヌンダTanundaという町で夜を過ごしたのですが、ホテルがどこも満室で、町のはずれにあるキャラバン・パークに泊まりました。キャラバン・パークとは、広大な敷地にキャンピング・カーが置かれていて、利用者はそこに宿泊します。キャンピング・カーの内部にはベッド(私が利用した車には4人分のベッドがありました。)、キッチン、テレビ、冷蔵庫など必要なものはほとんど備わっています。トイレとシャワーは無く、パーク内の設備を使うことになります。4人で泊まれば安いですが、一人では一般的なホテルよりも高くつきました。一人旅は切ないものです...

 

ただ、夜の星の奇麗だったこと!オーストラリアでは美しい自然に何度も感動したものでした。

 

翌日は、エデン・ヴァレーEden ValleyヘンチキHenschkeを訪れました。英語を見て、どのように発音すればよいのかわからなかったのでワイナリーの人にどのように発音すればよいのか尋ねたところ、日本の発音そのままに「ヘンチキ」で良いとのことでした。面白い名前ですね!

 

名前は面白いですが、ヘンチキは実に高品質なワインの造り手です。トップ・キュヴェのヒル・オブ・グレースHill of Graceは恐らくオーストラリアで最も高価なワインです。試飲できなかったので、ワイナリーからやや離れた所にある畑を、舗装されていない道を走り見てきたのですが、見た感じはそれほど偉大なテロワールには見えませんでした。でも何か特別な要素があるのでしょうね。

hill-of-grace2 ヒル・オブ・グレース。貴重なぶどうを鳥に食べられないよう、ネットで保護されています。

 

続いて向かったのは、動物園です!ワインの話とそれるので、このお話は次回に番外編としてお届けいたします。

 

さて、次に向かったワイン産地はアデレードからやや南に下ったマクラレン・ヴェールMacLaren Valeです。ここも重要なワイン産地です。ダーレンベルグd’ArenbergピラミマPiramimma2つのワイナリーを訪れました。ダーレンベルグは老舗ワイナリーで、ワインは安定した品質を誇っています。品質の割に値段が安いので、感心させられます。ピラミマも優良生産者です。この造り手の甘口ワインは、私の心を打ちました!オーストラリアの甘口ワインは全体的にレベルが高いと思います。

 

この地区にはヌーンNoonというカルト・ワイナリーがあります。高品質なワインを造るものの生産量が少なく、常に高い値段が付けられています。ワイナリーの入口には訪問者を受け付けない「Soled Out」の文字が!

noon ヌーン入口。

 

残念ながらワイナリーの訪問はできませんでしたが、畑を見ることはできました。収穫間近の黒ぶどうが健やかに育っています。小粒で、いかにも濃いワインができそうです。後にシドニーでこのワイナリーのワインを飲んだのですが、私のワイン人生の中でも最も濃く、凝縮されたワインのひとつでした!

 

次に向かったのは、もしかするとオーストラリアで最も有名なワイン産地、クナワラCoonawarraです。クナワラはお隣のヴィクトリア州に近く、マクラレン・ヴェールから離れています。途中川を渡ったのですが、川には橋が無く、定期的に船が行き来していて、車を運んでくれます。

pict0104 向こうから、移動式橋(?)がやってきます。

面白い体験でした!

 

クナワラは、赤い土テラ・ロッサで有名な産地です。写真で見ると確かに赤い!のですが、オーストラリアには赤い土は珍しくないと思います。クナワラに限らず見られます。

katnooke795912 クナワラの畑。土が赤いでしょうか...?

 

ですが事実として、クナワラのワインは高品質です。カベルネ・ソーヴィニヨンが特に評価されていますが、実際に素晴らしいワインが多く造られています。

 

続いて、旅はお隣のヴィクトリア州へ続いていきますが...

次回はオーストラリア番外編、動物のお話です!

 

 

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ワインコラム 第25回 オーストラリア横断の話 南オーストラリア州編 その1

楽しかったマーガレット・リヴァーMagaret Riverの訪問を終えた私はパースに戻ってきました。

 

レンタカーを返し、電車で南オーストラリア州のアデレードAdelaideへと向かいます。約2,700kmの長旅です。駅で昼食に食べたのは「ステーキ・バーガー」。牛ステーキの入ったハンバーガーです。肉が豪快に入っているのはいいのですが、この食べ物はステーキをパンで挟んだようなもの。食べると、ステーキが噛みきれずに出てきてしまいます。...気をつけてください。

 

さて、壮大な自然の真ん中を突っ走り、無事にアデレードに着きました。

train2 オーストラリアの車窓から

 

早速レンタカーを借り、ワイン産地へと向かいます。

 

途中、町に車を止めて買い物をして、戻ったら駐車違反の紙が貼られていました。標識を見て確認して、大丈夫だろうと思ったのですが、標識を見誤っていたようです。...気をつけてください。

 

さて、南オーストラリア州は、オーストラリアのワイン生産量の半分近くを占める重要な生産地です。

 

まず私が向かったのは、上質なリースリングRieslingで有名なクレア・ヴァレーClare Valleyです。慣れない車に少し苦労しながらたどり着いたこの産地はなだらかな起伏に富んでいます。訪れたワイナリーはパイクスPikesです。

pikes1

 

pikes2 ちょうどぶどうの収穫時期でした。

 

さわやかな風味のリースリングのほかに、温暖な土地で栽培されるヴィオニエviognierサンジョヴェーゼSangioveseなどのワインもありました。

 

冷涼な気候のもと栽培されるリースリングで有名な産地なのに、なぜ温暖な気候のもと栽培されるぶどう品種が植えられているのか?この辺りに「新世界」と呼ばれるグループに属するオーストラリアのワイン産地としての歴史の浅さ&将来への可能性を感じます。

 

パイクスの人の説明によると、やはりクレア・ヴァレーは冷涼な気候のワイン産地のようです。その後リージングハムLeasingham社を訪問し、クレア・ヴァレーを後にしました。

 

次いでバロッサ・ヴァレーBarossa Valleyに向かいました。ここではペンフォールドPenfolds社を訪れました。シャルドネChardonnayシラーズShirazなど、複数のワインをテイスティングさせてもらいました。ここは比較的暖かいワイン産地ですが、冷涼な気候に適しているピノ・ノワールPinot Noirのワインがあったことには驚きました。

 

さらに私はこの後別のワイン産地を目指しました。大規模にワイン造りが行われているリヴァーランドRiverlandです。このワイン生産地区は少し離れたところにあるので、車を走らせましたが...

 

時速120kmほど出して、彼方まで真っ直ぐな道を延々と30分以上走っていると、何か妙な気持になります。所々丘を回ったりするのですが、基本はどこまでもまっすぐな道を走ります。

pict0067 まっすぐな道。

 

他の車はほとんど走っていませんし、ところどころにカンガルーの亡骸があったりして、不安な気持ちにさせられます。

 

なんとかたどり着いたリヴァーランドは、フランスでは考えられない規模の「大工場」が見られます。マレー川という大河の水を利用した灌漑設備が整った広大な畑が広がっています。

pict0066 マレー川。川に枯れた木が!

 

こうした光景をみると、オーストラリアだなあ、と実感します。フランスにないものを見るためにオーストラリアに来ているので、このようなところに来られて良かったと思いました。

 

次回は南オーストラリア州の続きです。

 

 

 

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ワインコラム 第24回 オーストラリア横断の話 西オーストラリア州編

前回のコラムでは、オーストラリアのワイン産地を旅するために真夏のパースPerthに着き、車を購入したその日にその車が廃車になったお話をしました。

 

嘆いていても始まりません。早速レンタカー屋さんを巡り、車を借りました。新しい車にテンションが上がり、意気揚々とマーガレット・リヴァーMagaret Riverを目指して出発です!

 

マーガレット・リヴァーは西オーストラリア州を代表するワイン産地です。海に近く、海洋性気候でフランスのボルドーBordeauxに似ていると言われています。しかし、実際両者を比較してみると日差しの強さが違います。マーガレット・リヴァーの太陽は、何と言いますか、フィルターを通していないというか、ぎらぎらと大地を焼きつけるような直接的な日差しを放っています。例えば、日陰にいて、手の甲などに少しだけ光が当たると、その部分に何かものが当たったようで反応してしまうほどです。

 

実際ぶどうの熟度は高く、ワインの平均アルコール度数もボルドーよりマーガレット・リヴァーのほうが高いようです。

 

マーガレト・リヴァーには、特にシャルドネChardonnayが高く評価されているワイナリー、ピエロPierroで働いている友人がいます。彼と合流してワイナリーを案内してもらいました。

 

このあたりは海に近く木が多く、比較的平坦な土地が続いています。

 

pierro4 Pierroの畑。上質なワインができる畑には起伏があるようです。

 

ヨーロッパに比べ、「土地が広いな」と感じました。訪れたワイナリーはビオディナミ農法を取り入れているカレンCullenシラーズShirazが印象深かったヴァス・フェリックスVasse Felix

vasse-felix Vasse Felix

 

ソーヴィニヨン・ブランSauvignon Blancが秀逸なケープ・マンテルCape Mentelle、大規模で美しいヴォエジャー・エステイトVoyager Estate、「アート・シリーズ」が素晴らしいルーウィン・エステイトLeeuwin Estateなどです。どのワイナリーも予約なしで行ったのですが、セラー・ドアCellar Doorというワイン試飲&販売所を設けてあり、いろいろテイスティングさせていただきました。ワイナリーごとの個性はありましたが、どのワインもぶどうの熟度が高いことを思わせる、しっかりした味わいでした。オーストラリアを代表するシャルドネのひとつ、ルーウィン・エステイトのアート・シリーズ・シャルドネのスケールの大きさ、充実した味わいはさすがでした!

 

夜は友人が働いているピエロの醸造責任者のお宅に泊めていただきました。食事は豪快なバーベキューです!途中ピエロのオーナーがワインを持って加わり、みんなで食べて、飲みました。毎日移動、移動の一人旅では寂しい食事が多いので、久し振りの大人数での食事は楽しかったです!

 

pierro7 Pierroワイナリー入口

 

町から離れた、ぶどう畑に囲まれた場所で迎えた夜、星がびっくりするほど美しかったです。空が近くて、飲み込まれそうでした...

 

翌日は、友人と、マーガレット・リヴァーの南東に位置するワイン産地を回りました。まず向かったのはグレイト・サザンGreat Southernです。地図を見る限りそれほど遠くない感じでしたが、ノン・ストップのドライヴで4時間かかりました!車をほとんど見かけない、まっすぐな道を走り、時に森を超え、グレイト・サザンの中の小地区であるマウント・バーカーMount BakerプランタジェネットPlantagenet社を訪れました。なかなか評価の高いワイナリーですが、私は特に甘口ワインが気に入りました。ポート・ワインタイプのものと、ヨーロッパでは珍しい樽熟成をさせたミュスカMuscatは上質でした!

 

次いで、ペンバートンPemberton地区にあるラスト・レイクLast Lakeを訪れました。

last-lake Last LakeのChardonnay

 

ここのセラー・ドアの方はとても陽気で、楽しかったです!オーストラリアの人々は心が開放的で、親切でした。一人旅をしていて、その優しさに救われたことが何度もあったものです。ラスト・レイクのすぐ隣に、ピカルディPicardyというワイナリーがあります。閉まっていて訪問できませんでしたが、比較的暑い西オーストラリア州では珍しく、上質なピノ・ノワールPinot Noirが成功しています。トップ・キュヴェであるテット・ド・キュヴェTête de Cuvéeは一度試してみる価値のあるワインだと思います。

 

朝出発して、マーガレット・リヴァーに戻ったのは夜でした。往復700km!思った以上に走り、疲れました!

 

お世話になった友人との最後の夜、またバーベキューをして、ピエロのワインを飲んだのでした。

 

次回は、大きく移動をして、南オーストラリア州のお話です。

 

 

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ワインコラム 第23回 オーストラリア横断の話 その1

私は昨年1月から3月にかけて、オーストラリアのワイン産地を巡る旅をしてきました。

 

南半球に位置するオーストラリアは北半球とは季節がほぼ逆になっているので、一年でも最も暑い時期だったわけです。

 

128日、真冬の日本を出た私は、真夏のオーストアリアに着きました。西オーストラリア州最大の都市、パースPerthです。空の青さ、日差しの強さが眩しかったです。最初はこの日差しが気持ち良かったものでしたが、後々この光に悩まされました...!驚くほど強い日差しで、とても「熱く」、車の運転も苦労したものです。

 

さて、私の計画は、パースで車を手に入れ、海岸沿いに点在するワイン産地を東へ東へと移動し、シドニーから帰国する、というものでした。ひたすら、ワイン修行の日々です!

 

初めてのパースには興味がありましたが、「車を買うこと」だけに専念しました。広大なオーストラリアは車社会ですから、車の売買が個人間でも一般的に行われているとの前情報を頼りに行動開始です。

 

まずは着いて数時間で、携帯電話を買いました。プリペイド式のもので、カードを買ってチャージして使うものです。慣れない英語に苦労しましたが、なんとかチャージして準備O.K.です。

 

...今考えると、ここで携帯を買っておいて本当に良かったです。その話はまた後ほどいたします...

 

車の売買がどのように行われているかと言うと、人が多く集まる場所(観光、情報センターなど)に貼り紙がしてあります。車のメーカー、車種、走行距離、値段などが書いてあり、連絡先の電話番号も書かれています。そこに電話して、アポを取って、車を見せてもらうわけです。

 

早く車を手にしてワイン産地巡りをしたかったものですから、2日ほどで数件の車を見て、早速購入しました。

beech 車の試運転で訪れたビーチ。

 

私はパース在住の日本人から個人的に購入しました。お金を払い、「オーナー交代書」にお互いサインします。それを持って役所に行くとオーナーの交代が公的に成立します。いろいろ大変でしたが、手続きを済ませて「これでこの車のオーナーはあなたです。」と言われたときはかなり嬉しかったものです!

 

さて、ここで大まかにオーストラリアのワイン産地のご紹介をいたします。オーストラリアは大きく7つの州に分かれていますが、その中でも特に重要なワイン産出州は西オーストラリア州Western Austraria南オーストラリア州South Australiaヴィクトリア州Victoriaタスマニア州Tasmaniaニュー・サウス・ウェールズ州New South Walesです。上記の順に、西から東へと効率よく旅をしようと思い、私はパースに入ったわけです。

 

まずは西オーストラリア州のワイン産地の訪問です。

 

パースのすぐ東に位置するスワン・ヴァレーSwan Valley。それほど重要な地区ではありませんが、今回初めて訪れる産地で期待が膨らみます。

 

びっくりしたのは、見慣れたヨーロッパのぶどうと仕立て方が全く異なる点です。

swan-valley3 幹が細く、樹齢が若そうな木に大粒の黄色いぶどうがなっています。

 

今回オーストラリアを訪問したのは、伝統的ワイン生産国であるフランスと異なる点の多いワイン産地に行ってみたかったからで、ぶどうの栽培法ひとつ見てもここに来てよかったと思えるものでした。

 

フランスで造り手巡りをするときは、必ず事前にアポを取ってから行くのですが、今回のオーストラリアの旅ではほとんどアポなしでワイナリーを巡りました。ありがたいことにこの国には「セラー・ドア」なるものがあります。一言でいうとワイナリーの「試飲販売所」のようなもので、アポなしで行ってもワインをテイスティングすることができます。

 

スワン・ヴァレーでは数件のワイナリーを訪問しました。私はいつも試飲のときワインを飲みこまずに吐き出すのですが、暑い中よく冷えた白ワインは思わず飲み込みたくなるほどおいしかったです!

 

さて、続いて西オーストラリア州のハイライト、マーガレット・リヴァーMagaret Riverへ移動します。パースから、地図を見るとすぐなのですが、200km以上離れています。オーストラリアの旅では、この「距離感」にやられた部分がありました。真夏の暑い中、長時間の運転は楽ではないですね。

 

マーガレット・リヴァーを目指し運転していた時に、「事件」は起こりました。車を購入した初日、初めての道を運転するので、いろいろ気を使いながら走っていました。車のメーターを見ると、エンジンの温度が上がっています。暑い国なのでこんなものなのかなと思っていたのですが(今考えると、そんなことはないのですが)、どんどん温度が上昇していくのでこれはまずいなと思い、どこか車を止められるところがあればそこで様子を見てみようと決めました。しかし行けども行けどもまっすぐな太い道が続いて、車を止められそうな場所がありません。

 

その時です。今でもあの感覚は忘れられませんが、急にアクセルが上がり、メーターのあらゆるランプが一斉に点灯しました。最初はパンクかと思いました。路肩に車を寄せ、止めたのですが、明らかに様子が変です。

 

...オーバーヒートでした。買った車に不備があったのでしょうね。どうにも身動きが取れなくなってしまったので、日本のJAFのような会社に電話をしました。本当に、携帯を買っておいて良かったです!私は英語が流暢に話せない上に、自分が今どこにいるのかも正確にわからない状況でいろいろ説明しました。1時間ほどでしょうか、来てくれた方が車を見てくれたのですが、どうやらエンジンが完全に壊れてしまったようで、レッカー車を呼ぶとのこと。今度は2時間近く寂しく待つことになりました。

 

このときの気持ち、暑さ...思い出したくありません(泣)。

 

結局レッカー車で車ごとパースに戻りました。今後どうしようかな、といろいろ考えましたが、もはや新たに車を探す気力もなく、とりあえず西オーストラリア州はレンタカーで回ろうと決めました。

 

いやー、実際パースでの数日は大変でした。豪ドルも高かったですし、今後も未知のワイン産地を旅しなければならないわけですから、気分的にも下がっていましたね。

 

でも、実際のところ今後の旅は順調に、楽しく進んで行くのでした。次回は、マーガレット・リヴァーのお話です。

 

 

 

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ワインコラム 第22回 シャンパーニュChampagneの話

暑い日が続きますね。夏はやはりさっぱりとした白ワインか、よく冷えたスパークリング・ワインがおいしいですよね。

 

今回はスパークリング・ワインの王様、シャンパーニュChampagneのお話です。

 

スパークリング・ワインの一種であるシャンパーニュは、フランス北東部のシャンパーニュ地方で造られるワインです。

 

シャンパーニュ地方の中心都市はランスReimsです。パリから北東へたったの145km。フランスの歴代国王が戴冠式を行った立派なノートル・ダム大聖堂は、世界遺産に指定されています。

reims1 目を奪われる彫刻が施されたランスの大聖堂。

 

市内には料金を支払って見学できるシャンパーニュ・メーカー(メゾン)が少なからずあります。

 

ワイン産地は5つの地区に分かれています。特に重要とされているのが、17あるグラン・クリュの村を含むモンターニュ・ド・ランスMontagne de Reims地区、ヴァレ・ド・ラ・マルヌVallée de la Marne地区、コート・デ・ブランCôte des Blancs地区です。

 

モンターニュ・ド・ランス地区からは上質なピノ・ノワールPinot Noir(黒ぶどう)が、ヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区からはピノ・ムニエPinot Meunier(黒ぶどう)が、コート・デ・ブラン地区からは極上のシャルドネChardonnay(白ぶどう)が収穫されます。

verzenay1 モンターニュ・ド・ランス地区、ヴェルズネイ村。

 

シャンパーニュは主に上記3品種のブレンドからワインを造っています。私たちが乾杯!しているシャンパーニュの多くはこのブレンド・タイプ(ブレンドのことをフランス語でアッサンブラージュassambageと言います。以下、ブレンドのことをアッサンブラージュと表記します。)ですが、中には特別なアッサンブラージュのものがあります。黒ぶどうのみ(ピノ・ノワールとピノ・ムニエ)から造られた場合はブラン・ド・ノワールBlanc de Noirs、白ぶどうのみ(シャルドネ)から造られた場合はブラン・ド・ブランBlanc de Blancsと表記されます。

 

一言で「シャンパン」といってもいろいろなタイプがあるのですね。では、実際に造り手さんを訪問してみましょう。

 

まずは、モンターニュ・ド・ランス地区、グラン・クリュのアンボネイAmbonnay村のエグリ・ウーリエEgly Ourietさんです。モエ・エ・シャンドンMoët et Chandonやヴーヴ・クリコVeuve Clicquotなど大手メゾン(メゾンとは、シャンパーニュ地方におけるワインの造り手のこと)が市場の大半を占めるシャンパーニュにおいて、家族単位で頑張っている造り手さんです。小規模ながらワインの品質はトップクラスで、高い評価を得ています。

 

「完璧主義者」とされるこの造り手は、醸造はさることながら畑仕事に力を入れています。本当に、ワインとはぶどうですから、いかに良いぶどうを得るかが重要です。私は彼の畑仕事を1年中観察したわけではないのですが、少なく見ても人の倍以上の仕事はしているはずです。そうして得られた上質なぶどうをシャンパーニュへと造っていきます。発酵に樽を用いるなど、手間暇をかけた一流の仕事の結果できたシャンパーニュは尊敬に値する品質です。

 

シャンパーニュ地方では、スパークリング・ワインだけでなく、泡のないワイン(スティル・ワイン、つまり普通のワイン)も造られています。エグリ・ウーリエの赤ワイン「アンボネイ・ルージュ Ambonnay Rouge」はブルゴーニュの上質ワインに劣らない、驚くほどの品質です。

 

さて、今度はコート・デ・ブランの造り手さんです。グラン・クリュのメニル・シュール・オジェMesnil sur Oger村にあるメゾン、サロンSalonを見てみましょう。

salon1

 

サロンは特別な生産者です。通常シャンパーニュのボトルにはヴィンテージの記載がありません。複数の収穫年のワインをブレンドして造られているからです。しかしサロンのボトルには必ずヴィンテージが記載されています。サロンは、良年に、その年のぶどう100%でしかワインを造りません。逆に言うと、良いヴィンテージとならなかった年にはワインを生産しないのです。ワインを造らないワインメーカーなんて、絵を描かない画家みたいなものですよね。本当に特殊な生産者です。

 

その分、品質に対するこだわりは並大抵のものではありません。良年の偉大なぶどうを丁寧に発酵させ、シャンパーニュを造ります。それを10年ほど熟成させてから、ようやく出荷します。10年!果物を収穫して10年後に発売するなんて、通常考えられませんよね!今が旬のすいかも、10年経ってから販売しようと思ったら、影も形もなくなっているのではないでしょうか。

 

しかし、サロンのシャンパーニュは、10年の熟成を経てもぴちぴちしています。まだまだ飲むには若い状態です。すごいですね。これが極上ワインの姿なのですね。

 

エグリ・ウーリエやサロンはなかなか気軽に飲めるものではありませんが、暑い夏に飲む冷たいシャンパーニュは格別ですよね!シャンパーニュとともに素敵な夏をお過ごしください。

 

 

 

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ワインコラム 第21回 ブルゴーニュでの生活 ジュヴレイ・シャンベルタン村Gevrey-Chambertin訪問編

偉大なるワイン生産地ブルゴーニュの中でも、ひときわ精彩を放つ村がいくつかあります。世界一高価な赤ワインであるロマネ・コンティRomanée-Contiを産するヴォーヌ・ロマネVosne-Romanée村、世界一高価な白ワインであるモンラシェMontrachetを産するピュリニー・モンラシェPuligny-Montrachet村とシャサーニュ・モンラシェChassagne-Montrachet村。この村々に並び称されるのが、ブルゴーニュ一勇壮な赤ワインとされるシャンベルタンChambertinを産するジュヴレイ・シャンベルタンGevrey-Chambertin村です。

 

今回は、そのジュヴレイ・シャンベルタン村を訪問した時のお話です。

 

この村はブルゴーニュの中でも偉大なワイン生産地区であるコート・ドールCôte d’Or北部に位置しています。村自体はとても小さく、住民全員が顔見知りであるようなところです。数件のレストランとワインショップ、小さなたばこ屋さんなどがありますが、スーパーマーケットなどはありません。本当に静かで小さな村です。

 

ワイン産地として有名ですので、村は畑に囲まれています。今回は歩いて見て回った畑の様子をご紹介しようと思います。マニアックになりますので、ご注意ください。

 

まずは北から順に見ていきましょう。正確に言うと、ジュヴレイ・シャンベルタンというワインは、北隣りのブロション村の畑で取れたぶどうからでも造ることができます。今回は1級畑=プルミエ・クリュPremier Cru特級畑=グラン・クリュGrand Cruのご紹介に限らせていただきますので、純粋にジュヴレイ・シャンベルタン村のみをご案内いたします。

 

最北に位置する格付け畑はシャンポーChampeauxという名の畑です。ブロション村との境目にあります。標高約350m、丘の斜面やや上部に位置しています。白っぽい茶色の痩せた土壌には小石が多く含まれています。さすがプルミエ・クリュ、いいぶどうが取れそうです!

 

シャンポーの上部には、グーロGoulotという畑があります。隣ですのでお互い似た感じです。

 

グーロの南隣には、コンブ・オ・モワヌCombe au Moineという畑があります。

gevrey-combe-aux-moines

この畑も一部がシャンポーと接しているのですが、この畑は見るからに急斜面の、偉大な畑です。丘の上部にある畑で、森と接しています。畑の表面は石ころだらけで、いかにも水はけがよさそうです。水はけが良いと粒の小さな凝縮されたぶどうが収穫できます。

 

コンブ・オ・モワヌの東隣にはプティ・カズティエPetits Cazetiers、その南隣にはカズティエCazetiersという、これも評価の高い畑があります。

 

そしてその南隣りがクロ・サン・ジャックClos Saint-Jacquesです。

clos-st-jacques3

この畑はジュヴレイ・シャンベルタンのプルミエ・クリュの中でも最高評価を受けています。南東向きの斜面畑で、良いテロワールであることが一目瞭然です。その斜面下部にはクロ・デュ・シャピトルClos du Chapitreがあります。この丘にはその西側にラヴォー・サン・ジャックLavaut Saint-Jacques、エストゥルネル・サン・ジャック、Estournelles Saint-Jacques、ポワスノPoissenot、レ・ヴァロワーユLes Varroilles、ラ・ロマネLa Romanée、ラ・ボッシエールLa Bossièreのプルミエ・クリュがあります。

 

ジュヴレイ・シャンベルタン村にはこの丘の向かいにもう一つ別の丘があります。その斜面に、この村を代表するグラン・クリュがあり、その周辺にさらにプルミエ・クリュがあります。

 

クロ・サン・ジャックから斜面を下ってくると、反対の丘の麓にクレピヨCraipillot、シャンポネChamponnet、フォントニーFonteny、コルボーCorbeaux、イザールIssartなどのプルミエ・クリュがあります。イザールの南隣りから、いよいよグラン・クリュ畑の登場です。

 

斜面上部、標高300mほどのところにリュショット・シャンベルタンRuchottes-Chambertinがあります。この村のグラン・クリュの中で最も標高が高い所にあり、比較的エレガントなワインができます。その斜面下部にあるのがマジ・シャンベルタンMazis-Chambertinです。色が濃く、タンニン豊富な凝縮されたワインができます。

 

さて、マジ・シャンベルタンの南隣りが、この村で一番長い歴史を誇るシャンベルタン・クロ・ド・ベーズChambertin-Clos de Bèzeです。

clos-de-beze1

ベーズ修道院が所有していた畑で、その歴史を630年まで遡ることができます。球体のように調和のとれたワインができると言われています。

 

そしてその南隣りが、この村(ジュヴレイ・シャンベルタン)の名にもある、シャンベルタンChambertinです。

chambertin

この畑があまりに有名になったため、ジュヴレイ村の人たちはこの畑の名前を村の名前にくっつけたわけですね。シャンベルタン・クロ・ド・ベーズに次ぐ歴史を誇る、銘醸畑です。かつてベルタンという農民がその畑(畑はフランス語でシャンchampsといいます。)を所有していたためその名がついたようです。力強い、長期熟成に耐え得るワインを生み出します。現在この村には9つのグラン・クリュがありますが、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズとシャンベルタンがトップ中のトップとして評価されています(シャンベルタン・クロ・ド・ベーズのぶどうから造られたワインは、シャンベルタンとして販売することができます。その逆は不可)。

 

さて、続いて南隣りには、ラトリシエール・シャンベルタンLatricières-Chambertinがあります。「野性的」とか「軽い」とか評論家により意見が分かれていますが、私はどちらかというと軽めのワインを産する畑かな、と思っています。とはいえ、グラン・クリュの中での比較なので、一般的な水準からみれば上質なワインを産する畑です。

 

さて、このグラン・クリュが並ぶ地区には、グラン・クリュ街道と呼ばれる小道が通っています。車がやっとすれ違うことができるくらいの道です。シャンベルタン・クロ・ド・ベーズからこのグラン・クリュ街道を挟んだところ(斜面下部、一段低くなっている)にシャペル・シャンベルタンChapelle-Chambertinがあります。この村のグラン・クリュの中で最も繊細で優雅なワインを生むと言われています。その南隣りがグリオット・シャンベルタンGriotte-Chambertinです。わずか2.7haほどの小さな畑で、そのためワインの生産量も少ないのですが、ワインはその名の通りグリオット(さくらんぼ)の香りがすると言われています。正直、グリオット・シャンベルタンでなくてもグリオットの香りがするワインはたくさんあるのですが、この畑のワインは特にグリオットの香りが際立っている、とか...

 

その南隣りにシャルム・シャンベルタンCharmes-Chambertinがあり、さらにその南隣りにはマゾワイエール・シャンベルタンMazoyères-Chambertinがあります。シャルム・シャンベルタンは西側に、グラン・クリュ街道を挟んでシャンベルタンと接しています。マゾワイエール・シャンベルタンでとれたぶどうからできたワインはシャルム・シャンベルタンとして販売できます(マゾワイエールの名で売られるのはごくわずか)。シャンベルタンとは正反対のような、しなやかで優美なワインが生まれますが、両者合わせて30ha以上もの広さがあり、造られるワインも様々です。中にはがっかりさせられるものもあります。

 

以上、リュショットからマゾワイエールまで、9つのグラン・クリュをご紹介いたしました。

 

これらのグラン・クリュの周りにもプルミエ・クリュ畑があります。リュショットの南隣りかつクロ・ド・ベーズの西隣りにベレールBel-Airがあります。斜面上部で傾斜がきつく、日当たり、水はけともに良さそうな、見るからにいい畑です。マジ・シャンベルタンの東隣には、オ・クロゾーAu Closeau、ラ・ペリエールLa Perrière、クロ・プリウール・オーClos Prieur-Haut、シェルボードCherbaudes、プティット・シャペルPetite Chapelle、アン・エルゴEn Ergotとプルミエ・クリュが続きます。そしてラトリシエール・シャンベルタンの南隣りにはオ・コンボットAux Combottesというプルミエ・クリュがあります。

 

以上、ジュヴレイ・シャンベルタン村の全てのグラン・クリュとプルミエ・クリュ畑をご紹介いたしました。

 

この村最南端のオ・コンボットから南は隣村のモレ・サン・ドゥニの領域になり、クロ・ド・ラ・ロシュClos de la Rocheクロ・サン・ドゥニClos Saint-Denisなどのグラン・クリュが続いていきます(82日のレストラン講座で、極上の造り手によるクロ・サン・ドゥニをご紹介いたします。詳しくはこちらをご覧ください。)

 

長々と畑をご紹介いたしました。興味のない方には、長いしつまらないし最悪でしたね。

 

訪問したドメーヌの話も書きたかったのですが、また別の機会にさせていただきます。

 

 

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ワインコラム 第20回 ブルゴーニュBourgogneでの生活 その1

私は20059月から12月にかけて、ブルゴーニュ地方のワイン産業の中心地、ボーヌBeauneに滞在していました。目的はもちろん「ワインの勉強」です!

 

この町には何度か来たことがあり、まさに「ワインまみれ」の様子にすっかり惚れこんでいて、いつか住んでみたいものだなあと憧れていました。

 

家探しは苦労しましたが、泊っていたホテルの親切なマダムの紹介で、一人暮らしのおばあちゃんの家を紹介してもらいました。食事付きです!貴重な家庭料理を食べさせてもらいましたが、この話は次回以降にさせていただきます。

 

ブルゴーニュ地方は、フランスでボルドーと並ぶ銘醸地です。その名声はフランスのみならず世界中に広がっています。この産地の特徴は、白ワインはシャルドネChardonnay、赤ワインはピノ・ノワールPinot Noirという単一品種で造られるのですが、同じぶどうを原料としているのにもかかわらず、隣り合う村で微妙に味わいが異なります。さらに言うと、隣り合う畑でもワインの風味が異なるのです。これこそブルゴーニュの醍醐味でしょう!

 

私がしたかったのは、地図を見ながらブルゴーニュの村々を歩いて回ることでした。ブルゴーニュ地方では畑が細分化されていて、それぞれに名前があり、格付けがなされています。有名な畑を実際に見て、立地条件などを確認したかったのです。時間は90日あるので、1つの村を1日かけて見ることができます!

 

具体的な訪問のお話は次回以降に譲るとして、今回はブルゴーニュの魅力についてご紹介したいと思います。

 

ブルゴーニュと言えば、まずはワインが思い浮かびますね。前述のとおり白ワインはシャルドネ、赤ワインはピノ・ノワールから主に造られます(それ以外の品種もあります。)。

chevalier-montrachet2008-3 シャルドネ

clos-de-beze2 ピノ・ノワール

この2つの品種、ブルゴーニュが原産のようですが、今日では世界中で栽培されています。外国にも上質なものが多くありますが、本場ブルゴーニュのワインには、他の産地がどんなに頑張っても出せない独自の魅力があります。これが「テロワールterroir」なのですね。

 

土地に根差したワインと切っても切れないのが郷土料理です。ブルゴーニュはおいしい料理の宝庫です。ちょっと挙げるだけでも、ハムのパセリゼリー寄せjambon persillé、雄鶏のワイン煮coq au vin、ブルゴーニュ風ポーチド・エッグoeuf en mouretteなどなど...どれもおいしい料理です!また、ワインとの相性がいいんですよね!

 

おいしい料理はおいしい素材から。ブルゴーニュの料理がおいしいのは、ブルゴーニュにおいしい食材がたくさんあるから、と言えるでしょう。料理にたっぷり使われるワインは言うまでもありません。他にもマスタード、カシス、チーズ、シャロレ牛...

 

ほんとうに土地に根付いた「郷土料理」ですね。書いていてつらいです。食べたくなってきました。話題を変えて、ボーヌの町をご紹介しましょう。

 

ブルゴーニュ地方の中心都市はボーヌの北にあるディジョンDijonですが、ワイン産業でいうとボーヌが中心になります。古い城壁で囲まれた町は、端から端まで歩けるほどの広さです。ワイン好きにとってたまらないのは、その中にワインショップ、レストラン、ワイン関連グッズ店、ワインの造り手などが密集しているところです。

 

観光客は少なくないですが、いわゆる観光名所というところに比べればその比ではなく、のんびりと過ごせます。

 

今こうして書いていて、ふと思い当ったボーヌの魅力は、たくさんあるお店の個々のレベルが高いところにあるようです。ワインショップには日本では手に入りづらい希少品がありますし、ワイン関連用品も便利なもの、面白いものが安く手に入ります。レストランも高級店からビストロまで総じてレベルが高いようです。

 

なかなかこのような町はないと思います。ほんとうに素敵な町です。

 

さて、この町には面白い特徴があります。さて、何でしょう?4択で考えてみてください。

 

1、小学生が朝、学校に着いたら、とりあえずワインで乾杯する。

2、町の中央にメリー・ゴー・ラウンドがあるのですが、その回転がやたら速い。

3、ワインと美食のおかげか、この町の住民の平均寿命は130歳である。

4、地下にワインの熟成スペースがあるため、町の地下は空洞だらけになっている。

 

さあ、今回も難しいですね!

 

正解は...4番です!

 

ブルゴーニュの魅力、みなさまにも伝わりましたでしょうか?

 

次回は、実際にブルゴーニュの村を訪問した時のお話です。

 

 

このコラムを読まれて、何かご意見、ご感想がございましたらご連絡ください。

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ワインコラム 第19回 フランスのミシュラン星付きレストラン その2 3つ星編

前回に引き続き、今回はミシュラン・ガイド星付きレストランのお話です。

 

最新のミシュラン2009では、最高評価の3つ星レストラン29軒あります。大都市であるパリに集中するのは当然として、パリ以外の3つ星レストランは意外な田舎にあることが多いようです。それも、電車やバスを乗り継いで...といったレベルでさえなく、タクシーや車でないと行けないようなところです。さすがに3つ星だけあって立派な美しいレストランなのですが、そのような施設がひっそりとした田舎にあると妙に違和感を感じるものです。

 

私が初めて訪れた三つ星レストランロジュ・ドゥ・ローベルガードLoges de l’Aubergade(舌を噛みそうな名前ですね!私が訪れた2005年はこの名前でしたが、現在ではミシェル・トラマMichel Tramaというシェフの名前に変更されています。)も、そのような場所にありました。

 

ピュイミロールPuymirolという小さな小さな村にあるのですが、よそ者が足を踏み入れるのをためらってしまうようなひっそりとした村です。近くに大きな町があるわけでもありません。本当に、「よくこんな所(ちょっと、失礼ですね)に!」と思ってしまうような場所に天下の三つ星レストランがあります。たどり着くまでに少し苦労しました。この辺りは起伏が多く、細い田舎道をくねくねと走り続けました。

duras3フランス南西部の風景です。

 

当時ボルドーBordeauxに住んでいた私はプロヴァンスProvence地方へ出かけた帰り道だったので寄ったのですが、そうでもなければなかなか来られない所だと思います。

 

村は数分で端から端へ歩けるほど小さく、村についてからレストランを探すのに苦労はしませんでした。特にこれといった商店も見当たらないこの村に、シンプルな外観のこのレストランはひっそりと佇んでいました。

 

緊張しながら、初の三つ星レストランに入ります。5月。気持ちの良い時期だったので、テラスに案内されました。もはや、小村ピュイミロールの面影は微塵もありません。どこか南国の高級リゾートにでも来たような雰囲気です。静かで格調高い空気がゆったりと流れています。

 

席に着くと、ソムリエが食前酒を伺いに来ます。日本では大体シャンパーニュになりますが、フランスには各地に地元で消費される食前酒があります。このお店で勧められたのは、シェフのトラマ氏が造っているワイン、ソーヴィニヨン・ブランsauvignon blancでした。このあたりで造られているワインに興味があり、頼んでみるとほのかに樽香のある上質なワインでした。食前酒がおいしいといいですよね!これから始まる食事への期待が高まります。

 

私がオーダーしたのは、市場のメニュー Le Menu du Marché (76ユーロ) でした。三つ星というとかなりの出費の覚悟が必要と思いますが(実際パリではそうですが)、田舎にある三つ星レストランでは意外と安いところもあるのですね。

 

まず、アミューズ・ブーシュamuse-boucheとしてキャラメリゼしたプチ・トマト、刻んだきゅうり入りの白いムース、アボガドのクリーム、小さなえびせん(?)などが出てきました。見た目にも楽しく、今後の食事への期待が高まります。

 

続いて、前菜の前にもう一品。竹串に刺したフォワ・グラのテリーヌに、アーモンドなどのナッツがまぶしてあるものです。竹串を使うところは意外性がありますが、料理自体はクラシックなおいしいものです。

 

力の入った前菜entréeは、輝くような美しい野菜です。トマトや、緑、黄色のズッキーニなど。酸味のあるキャラメル風味のジュレがソースとして使われています。白インゲン豆のように見えるものが入っていますが、実はこれ、フォワ・グラでした!このような遊び心は楽しいですね!この野菜のおいしさは特筆ものでした。

 

どきどきの主菜platは、リー・ダニョーris d’agneau(仔羊の胸腺)をからりと揚げたものです。これも竹串に刺された状態で出てきました。なんだか日本の焼き鳥みたいな様子です。これといって複雑なソースがかけられているわけでもなく、素材の味わいを素直に楽しめるシンプルなものでした。私としてはちょっと残念でした。味つけ、そして特に見た目が...

 

フランス人なら、竹串に刺さって出てくる料理に新鮮さを感じるのかもしれませんね。私の場合は出てきた時点で「焼き鳥か!」とひとりで突っ込んでしまう(今考えてみると、串揚げか!でもよかったです。)ような気分でした。料理は見た目も大事ですよね。

 

続いてデザートに移っていきます。まず柑橘類風味の爽やかな一口サイズの飲み物が出ます。このあたりに三つ星の洗練を感じます。そしていよいよメインのデザートです。アーモンド・ムースのカプチーノ仕立て、カカオとアーモンドのアイスクリームが添えられています。カカオのアイスクリームが濃厚でおいしかったです!

 

最後はコーヒーとプティ・フール(小さな焼き菓子などの盛り合わせ。この店の場合、ほおずきがついていました。)で終わりです。 

 

食事を通して供されたパンは、グリッシーニ(イタリアにある、細長いかりかりのスナック)のほかに3種類ほど用意してありました。特に優れていた印象はありませんでした。

 

ワインは、この地のものをと思っていたのですが、残念なことに「これぞ地元の宝だ!」というものを見つけられず、好奇心からルーマニアピノ・グリPinot Gris 1990をオーダーしました。熟成感が出ていて、ほのかに甘みのあるタイプで、フォワ・グラと特によく合いました。なんとここのソムリエ、私が当時働いていたボルドーのビストロ・デュ・ソムリエBistro du Sommelierで過去に働いていたらしく、急に親近感がわきました。食後に蒸留酒をサービスしてくれたり、意外な出会いでした。

 

全体を通してみると、正直、うーん、こんなものか...と言った感じです。料理は全体的に軽く、特に主菜が残念でした。竹串も2度使っているし、フォワ・グラも連続で出ています。インパクトの強いものを使うのは1度で良かったのでは?と思ってしまいました。

 

サービスについては、私が「三つ星はどんなサービスをしてくれるのだろう?」と期待しすぎていたところがありましたが、それを差し引いてもやはり最高!とは言えませんでした。しばしばサービス・スタッフがホールから消え、一度自分でワインを注いでしまいました。

 

なんだか良くないように書いてしまいましたが、素直にレストランとして見るとやはりレベルは高いと言えると思います。ビストロなどと比べるとその洗練は圧倒的です。あとは価格とのバランスですね。あと、たまたま日本人の私がこのコースを食べたわけですが、フランス人などから見ると竹串も高評価に転じるのかもしれません。

 

結果として、経験できてよかったです。このあと、いくつかの他の三つ星レストランに行ったのですが、それらは忘れ難いような素晴らしいものでした。いつか、またご紹介できればと思っています。

 

次回はブルゴーニュBourgogneのお話です。

 

 

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ワインコラム 第18回 フランスのミシュラン星付きレストラン その1

前回のコラムでは、フランスの食文化やレストランの業態についてご紹介いたしました。

 

今回は、ミシュラン・ガイドお勧めのレストランに実際に行った時のお話です。

 

2年ほど前から、日本でもミシュラン・ガイドによるレストランの格付けが行われていますね。どうやら日本の審査では、味のみを見ているようですが、フランスではレストランをトータルで見ます。つまり、料理だけでなく、内装、サービスなども含めての「星☆」というわけです。

 

実際星付き(一つ星から三つ星)のレストランは例え一つ星でもきれいなお店で、食器も美しいものを揃えています。ただ、フランスのミシュラン・ガイドには星のないお店も紹介されています。そのようなお店はカジュアルな雰囲気のところが多く、おいしく食べて、飲んで、高くつかないコストパフォーマンスに優れたお店です。東京のミシュラン・ガイドには星付きのお店しか載っておらず、残念に思います。

 

さて、それでは実際に私が訪れたお店のお話です。

 

初めて星付きのレストランに行ったのは、2005年のことでした。南西部にある一つ星レストランGindreauです。数百年前から時間が止まっているような、緑の美しい、人の姿がほとんど(全く?)見かけられないような小村にあります。流れている時間が違うように感じられました。お店は意外に明るくてモダンな内装です。

 

オーダーしたコースはアミューズ・ブーシュ、前菜、主菜、デザートで構成されていました。まずアミューズ・ブーシュです。ハムを挟んだ小さなトースト、塩味のかぼちゃのタルトなど、小さなフィンガー・フードで食事が始まります。

 

続いて前菜は豚足のキャベツ包み。

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豚足はカジュアルな食材で、よくビストロ料理などに使われますが、星付きレストランでは上品な料理になって出てきました。素材独特の香りがありながら品よくまとまっていて、繊細な料理でした。

 

メインは仔羊です。地元(Quercyケルシー)で育った仔羊をロゼ(焼き方。牛肉ではレアsaignant、ミディアムà point、ウェルダンbien cuitなどありますが、仔羊に関してはロゼroséに焼くのが一般的です。)に焼きあげ、付け合わせにはやはり地元のチーズ、ロカマドゥールrocamadourとじゃがいもを和えたものが添えられています。

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臭みなど全く感じられない、上品な料理でした。

 

デザートは装飾的で、薄くスライスしてぱりぱりにした洋梨が添えられた洋梨のシャーベットと栗入りのクリームです。あと、食後にコーヒーと一緒にプティ・フール(ショコラやマカロン等の焼き菓子など)が運ばれてきます。

 

地方のレストランの楽しみは、地元の食材を使った料理と地元のワインのマリアージュですよね!選んだワインは白はシャルドネchardonnay主体のVin de Pays du Lot Blanc、赤はCahors 1990でした。白は心地よく樽が効いているタイプでとても上質でした。赤は熟成が進み穏やかな状態で、ケルシーの仔羊と寄り添うようでした。これが地元のマリアージュなのでしょうか?!

 

初めての星付きレストランは、1つ星でしたが大満足でした。やはり料理だけではなく、内装を含めて「そこで過ごす時間を楽しんだ」ようです。

 

次回は三つ星レストランのお話です。

 

 

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ワインコラム 第17回 フランスにおけるミシュランガイドとレストラン

私は3回に分けて、合計で2年と3ヵ月フランスで暮らしましたが、どの滞在中も期限付きだったためにできるだけいろいろな経験をしようと思っていました。殊に、「食」に関してはいろいろ冒険しました。フランスの食材、調理法などにとても興味があったので、日本食が恋しくなることもなく、ひたすらフランスの食文化を探っていました。

 

みなさまは、「フランス料理」というとどのようなイメージをお持ちでしょうか?

 

恐らく、絵画のように美しく飾り立てられた、目にも鮮やかな高級料理を連想される方が多いかと思います。

 

それはそれで一つの真実です。フランス料理を世界に知らしめたのはそのようなスタイルの料理でしょう。しかし、私たち日本人が毎日懐石料理や寿司を食べていないのと同様、フランス人も毎日フォワ・グラやキャビアを食べているわけではありません。

 

例えば日常生活でいうと、一般的なフランス人は大きなスーパーマーケット(もしくは巨大なハイパー・マーケット)で食材を買います。ハム、サラミなどの肉類、チーズ、バターなどの乳製品、野菜、果物...

 

日本と比べて驚くほど異なる食文化ではないと思います。食生活において、日本とフランスの大きな違いは、やはりパンか米か、でしょうか。パンの消費量は日本人の比ではないと思います。フランス人はそれこそ小さな小さなときからパンを食べて育ってきているので、パンに対するこだわりというか、パンに対する「慣れ」があり、他の食材はスーパーで買ってもパンだけは専門店(パン屋=ブランジュリー)で買うという人もいます。フランスにも様々なパンがありますが、一番消費されているのがバゲットbaguette(=棒の意。日本人が使う箸のこともバゲットと言います。)です。俗に言うフランス・パンですね。細長くて普通の袋には入らないので、みんな手に持って歩いています。よく見ると先端が食べられていたりします(笑)。

 

私が大好きだった(今でも大好きですが)のはおいしいバゲットと、状態のいいチーズ、それにワインだけの、シンプルですが贅沢な組み合わせでした。この「黄金の」組み合わせは、驚くほどお互いを引き立て合い、まさにマリアージュmariage=結婚だなあと思ったものです。

 

この組み合わせの、チーズの部分を肉類加工品に換えても最高です。フランス料理で「豚肉」のイメージはあまりないかもしれませんが、フランス人は実にたくさんの豚肉を加工品として(もちろん加工品としてではなくても)消費します。代表的なものが生ハムJambon Cruです。他にパテpâté、サラミsaucissonなどなど。

 

これらは家庭でよく消費されますが、レストランでも登場します。

 

ここで、フランス料理の構成について少しお話します。

 

フランス料理は一般的に、前菜Entée、主菜Plat、デザートDessertで構成されています。もっと豪華な場合は主菜が魚料理と肉料理両方出たりして、皿数が増えます。逆にお昼などはより簡単に、皿数が減ります。レストランなどでは、最初の前菜が出されてそれを完食するとお皿が下げられ次の料理が出てくる流れになっています。

 

話を戻すと、肉類加工品は前菜として頻繁に登場します。レストランの格にもよりますが、一般的に家庭で食べるものより上質なものが提供されます。

 

ワインもそうですが、ヨーロッパでは「高級食材=限定された原産地で育った個性的な食材」と定義できると思います。なので、例えばレストランで出される生ハムは「バイヨンヌの生ハム」など産地表示があることがあります。このような食材は素直においしいのですが、やはりその土地が育んだ特有の風味があるようです。

 

さて、レストランの格と書きましたが、具体的にはどのような違いがレストランの格の違いに結びつくのでしょうか?

 

元となるのが、オーナーの意向でしょう。高級食材を使った最高の料理をきちんとしたホール・スタッフがお客様に提供する高級店か、カジュアルな雰囲気で、気取らない料理を出す普段使いの店か...

 

日本で「レストラン」というと単に外食をする店というイメージですよね。「ファミリー・レストラン」というものがそれを象徴しているように思います。フランスでは、料理店はそのスタイルにより呼び名が変わります。いわゆるカジュアルなレストランは「ビストロBistro」、もっとくだけた雰囲気のところは「カフェcafé」と表記するところもあります。「レストランrestaurant」は一般的にはテーブルクロスがかけられたきれいなテーブルで、手間暇かけて調理された料理を味わう高級店です。

ajaccio ビストロのテーブル

bernard-loiseau2 レストランのテーブル

 

それぞれの目的=スタイルを確立するために、自然と内装、料理が決まってきます。ビストロでは布のクロスではなく紙のクロスがテーブルに敷かれることが多いようです。高級なレストランで家庭でもできるようなシンプルな料理を出すお店はほとんどないでしょう。

 

重要な事柄として、「サービス」も忘れてはなりません。サービスとは、ホール・スタッフによる接客を意味します。スタッフからお客様へのアプローチ、お客様からスタッフへの要望に対する対応などです。最高の料理を出すお店があるとして、それを提供するスタッフのサービスが悪かったら、最終的にそのお店に対して良い印象は残らないですよね。逆に、料理は最高とは言えなくても、サービスが良いからまた行きたくなる店というのもあると思います。そう言った意味でサービスとは実に重要な要素だと思います。

 

日本でも話題になりましたが、フランスには「ミシュランMichelin」社によるレストラン・ガイドが広く普及しています。その実態は、レストランとホテルを独自の基準で格付けして紹介しているものです。レストランの評価において、特に優れたレストランは星☆付きで紹介されています。一つ星☆から三つ星☆☆☆まであり、最高評価の3つ星評価を手に入れたレストランには成功が約束されます。単なるレストラン・ガイドの枠を超えた、社会的に注目される出版物です。

 

次回は私が実際に訪れた、ミシュラン推薦のお店のお話です。

 

 

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