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ワインコラム 第36回 美食の話 ジビエ編

もうすぐクリスマス。本格的な冬の季節ですね。 

ガストロノミーの世界では、この季節、ジビエGibierから目が離せません。

ジビエとは、鹿、猪、鴨など、野生動物のお肉のことを指します。 

野生の動物を狩るわけですが、狩猟の時期は限定されています。その時期が、ちょうど秋から冬に当たるわけですね。なのでこの季節にレストランに行くと、選べるお肉の種類が多くなります。 

それは、日本でも、フランスでも同じです。 

今回は、フランス東部、ジュラJura地方、アルボワArboisの町のレストランをご紹介いたします。 

アルボワは、小さいながらもワイン産地ジュラ地方の中心となる町で、ミシュラン2つ星のジャン・ポール・ジュネJean-Paul Jeunetなどの優れたレストランがあります。おいしいワインと良質な郷土料理を味わえる町です。 

Arbois2008 アルボワの教会

今回ご紹介するのは、ガイドに載っていないものの、地元の人たちで賑わうカフェ・レストラン ラ・キュイザンスLa Cuisanceです。普段から、この地方特産のヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)を使った鶏のクリーム・ソースなどのおいしい料理を提供していますが、ジビエの季節になるとその名も猟師のメニューMenu Chasseurが出てきます。 

このコースは5皿で構成されていました。 

まずは前菜。鹿のテリーヌTerrine de Chevreuilです。フランスの一般的なテリーヌは主に豚肉で作られますが、それに比べやはり野性味が感じられます。前菜からテンションが上がります! 

続いて、Croût Folestière。ガーリック・トーストに、クリームを使ったきのこのソースをかけた温かい一皿です。地元で採れた新鮮なきのこは香りも歯触りも良く、ジュラ地方の森の豊かさを感じさせてくれます。 

メインは、猪のシヴェCivet de Sanglier。シヴェとは、食材の血も使った煮込み料理で、猪や野兎などに用いられる調理法です。食材を最大限に生かしたこの料理は、濃厚な風味を満喫できますが、場合によっては風味が強すぎてしまうことがあります。それを緩和するためにも、赤い果実をソースに使うことが多いですが、この料理もグロゼイユ(赤スグリ。酸味の強い小さな赤い果実。)が入っていました。臭みなど全くなく、限られたこの冬の味覚を満喫させていただきました。 

コースはこの後、地元のチーズ(コンテComtéモルビエMorbierなど好きな種類を、好きなだけ!)とデザート、コーヒーで締めくくられます。 

合わせたワインは、もちろん地元のワインです。アルボワ・トルソーArbois Trousseau 2002でした。やや熟成感のあるこの赤ワインは、強いジビエの風味に負けることなく、お互いを引き立て合う絶妙なマリアージュを見せてくれました。 

いやあ、ジビエって、本当にいいものですね! 

ジビエは今、日本でもいろいろな種類を楽しむことができます。だいたい2月くらいまでありますので、興味のある方は是非試してみてください。合わせるワインはお好みですが、しっかりしたタイプの赤ワイン(ローヌ、ボルドー、ブルゴーニュのグラン・クリュなど)、それも若いものより熟成感のあるもののほうが良いでしょう。 

それと、ジビエは野生動物を狩ってきたものなので、場合によっては散弾(散弾銃に使われる鉛玉。米粒より小さい。)が残っている場合があります。仕込みの時点で料理人ができる限り取り除くのですが、小さい玉が肉の中に入ってしまっているとどうしても取り除ききれないことがあります。それを承知の上、注意してお召し上がりくださいね。 

私も過去に、口にしたジビエの肉から散弾が出てきたことがあります。これは「当たり」とされ、その弾を財布に入れておくとお金が貯まると言われていますが...私はまだその効果が出ていません。来年に期待しています(笑)。 

 

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