- 2009-09-20 (日) 17:20
- ワインコラム
すっかり秋らしくなってきましたね。
夏は良く冷やした白ワインが飲みたくなりましたが、そろそろ赤ワインも似合う季節です。
おいしい食材もたくさん出てくる、まさに食欲の秋!
今回はそんな秋に相応しい美食のお話です。
コラムの19回で、三ツ星レストランのロジュ・ドゥ・ローベルガードLoges de l’Aubergadeをご紹介いたしました。
今回はパリの3つ星レストラン(2005年当時。現在は2つ星です。)ル・サンクLe Cinqをご紹介したいと思います。
ル・サンクはホテル・フォーシーズンズ・ジョルジュ・サンク内にあるフレンチ・レストランです。洗練された美しい内装、一流の料理...ここを訪れる理由はいくつでもありますが、私がこのレストランを訪れた一番の目的は「ソムリエ」でした。
3年に一度、「世界ソムリエコンクール」なるものが開かれます。その頂点に立つためには世界中のワインに関して問われる筆記試験と非常に高度な技術を要求される実技試験、そしてコンクールの花形であるブラインド・テイスティングで優秀な成績を収めなければなりません。
1995年は東京でこのコンクールが行われ、田崎真也氏が見事チャンピオンになりました。彼は、恐らく日本で一番有名なソムリエでしょう。実際尊敬に値する素晴らしい方です。
そんな偉大な世界ソムリエ・チャンピオンがル・サンクにはいたのです。2004年に、史上最年少で優勝したエンリコ・ベルナルド氏(現在はル・サンクから離れています。)です!
彼にお会いして、お話を伺うのを楽しみにしていたのですが...残念ながら私が行った日には彼は不在でした。
しかし素晴らしいワインに出会いました!
アンヌ・マリー・エ・ジャン・マルク・ヴァンサンAnne-Marie et Jean-Marc Vincent(造り手) オークセイ・デュレスAuxey-Duresses(ワイン名) 白 2003です。
白桃、あんずなどの熟した果実、ミネラル、樽からのロースト香が素晴らしく調和し、2003年という猛暑を反映した溢れるほどの果実味を持った、今でも忘れられないワインでした...
あまりに感動したので後日この造り手を訪問するに至るのですが、ブルゴーニュの静かな村にいながら先取の気鋭に満ちた、素晴らしい人物が造るワインでした。有名な造り手ではなく、私もル・サンクで飲んだのが初めてだったのですが、このような隠れた上質ワインを見つけ出してくるのはさすがですね!
ル・サンクで飲んだのとは別のワインですが、同じ造り手のものです。
さて、料理はというと...
お昼の75ユーロ コース
最初のアミューズ・ブーシュは、脂身をきれいに取り除いた甘味を感じる生ハム、ナッツの入った塩味クグロフ(アルザス地方のパンのようなお菓子のようなたべもの。)など。
最初に提供される料理と向き合う瞬間は、いいものですね!アミューズ・ブーシュは簡単なものが多いのですが、このレストランではきちんと仕事がされていて、今後のお料理への期待が高まりました!
続いて、前菜の前のお料理が、サーモンのマリネ、キャビアソース。塩加減が絶妙でした。
いよいよ前菜です。私が選んだのは、サーモンの頭肉のハーブジュレ寄せ。これも記憶に残る一皿でした。臭みなど全くない、透明感すら感じさせるようなサーモンは絶品で、ワインと良く合いました...
メインは、海の幸のリゾット。フランス料理にしては珍しい一皿だと思います。そういえば、提供されるパンもフォカッチャがあったり、イタリアの影響を感じました。
さて、そのリゾットはやはり素晴らしかったです。テーブルでかけられるソースは車海老など贅沢な海の幸の旨味を凝縮させた濃厚なもので、まさにメインを飾るにふさわしいものでした。
続いてデザートに移りますが、まずデザート前にパンナコッタ、エキゾチックフルーツ、パイナップルのソルベ。
そしていよいよデザートです。クリーム状のチョコレート、エキゾチックフルーツのソルベ、エキゾチックフルーツのかけら...上質なチョコレートは濃厚で、なめらかでした。
これでコースは終了です。別途コーヒーを頼んだのですが、リストにはコーヒー豆の産地が書かれていて、産地により値段も異なっていました。私がオーダーしたのはサン・ドミング。酸味がしっかりとしていました。
コーヒーとともに供されたプティ・フールは柔らかい、恐らく自家製のヌガー、各種ショコラ、カリソン(南フランス名産の、アーモンド粉のお菓子)など。
素晴らしい内装に始まり、上質な料理、最高のワイン、とてもよい時間を過ごすことができました。
特筆しておきたいのは、サービスです。きっちりとした隙のないサービスでしたが、決して堅苦しくなく、話をすると気さくな感じで、とてもリラックスして食事をすることができました。
このときは、さすが三つ星、と思ったものです。
...なんだか、今またおいしいレストランに行きたくなってしまいました(笑)
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