- 2009-05-17 (日) 8:45
- ワインコラム
リオハを後にした私は、スペイン北東部に位置するリオハから、スペイン南東部に位置するヘレス(シェリー)へと向かいました。広大なスペインの縦断です!
途中、首都のマドリッドへ寄りました。この町には語学学校で一緒だったスペイン人の友達が住んでいます。マドリッドはとても大きな町で、周りを高速道路が複雑に取り巻いています。初めての大都市での運転にとても苦労しました。初めての土地ですし、スペイン語もわかりません。町の中心に行きたいのですが、どのように行けばよいのかわからないまま、完全には理解できない標識に従い、それらしいところで下りて一度停車しました。しかし、自分が今どこにいるのかまったくわからない状況です。このようなとき、ガソリンスタンドは心強い味方です。言葉が通じなくても、地図と身振りで何とかなるものです。苦労しましたが、なんとか街中までたどり着きました。すぐにホテルにチェック・インし、バルでワインとタパスを食べ、友達に電話し、翌日会う約束をしました。
翌日、大きなスタジアムで友達と待ち合わせです。マドリッドに住んでいる友達がひとりと、スペイン西部に住んでいる友達二人が合流しました。その日は私の誕生日でした。ちょうど良い機会なのでみんなで集まったわけです。夜、マドリッドに住んでいる友達の友達がさらに集まり、大宴会が始まりました。ボルドーでも何度も飲んだ仲間ですが、20歳ほどのスペイン人の集団の「祭り」は、それはそれはすごいものでした...
無事に(?)翌朝を迎えた私は、スペイン西部から来てくれた友達を駅まで見送り、マドリッドを後にしました。観光らしいことは何もしませんでしたが、楽しい思い出のある町になりました。今でも彼らは大切な友達です。
さて、また気ままな一人旅の再開です。スペインはとても広い国なので、途中1泊し、いよいよヘレスにつきました。ヘレスは世界を代表する酒精強化(=アルコール添加)ワインであるシェリーの産地で、正式な名をヘレス・デ・ラ・フロンテラといいます。シェリーはこのヘレス・デ・ラ・フロンテラと、近くにあるサンルカール・デ・バラメーダ、エル・プエルト・デ・サンタ・マリアの3つの町を結ぶ三角地帯で主に造られています。アルバリサと呼ばれる、白い土壌が特徴とされていますが、土壌が本当に白っぽく、感動しました!
世界地図を見ていただければお分かりになると思いますが、この地はアフリカ大陸に程近く、夏はとても暑いところです。8月の午後、日差しが強い時間帯は外を歩く気はとてもしません。太陽は直線的で、その光線を浴びると煙が出そうな勢いです。
スペインの習慣に「シエスタ」とうものがあります。日本語に訳すと「午睡」とでもなるのでしょうか。強烈な日差しが照りつけている時間帯は活動せず(=家で寝て過ごす)、その前後の時間帯に働くようです。レストランのディナータイムが始まるのが21時であったり、私のような旅行者からすると困ってしまうのですが、この日差しを体感すると理解できる習慣です。このような暑い中、疲れ切った体に良く冷えた辛口のシェリーはまさにうってつけだと思います。特に、美しい海岸を持つサンルカール・デ・バラメーダには観光客も多く、バカンス中の人々が昼から(朝から?!)バルでシェリーを飲んでいます。私たちの感覚からすると違和感がありますが、やはり土地のお酒にはその土地ならではの飲み方があるのですね。あの暑い地において、良く冷えた辛口のシェリーは必需品のように思えました。元気が出ますし、たこやいわしのマリネのようなタパスにもよく合うのです!
しかしシェリーは実に奥が深いワインです。きりっとした辛口タイプの「フィノ」から、紹興酒のような酸化熟成タイプの「オロロソ」、さらに甘口タイプまであるので、一口にシェリーと言っても様々なタイプがあるわけです。実に魅力的なワインだと思います。コース料理を、それぞれのタイプのシェリーに合わせて楽しめるくらいです。奥が深いですね!
ヘレスを出た私は、東周りに北上し、バルセロナを経てフランスに戻りました。途中、私が大好きな芸術家であるダリの美術館に寄りました。ワイン以外での稀な寄り道です。彼の作品は奇抜ですが、美術館の外観もすごいですね!
初めてのスペインでしたが、かなりの距離を走りました。大変ではありましたが、楽しく、勉強になる旅でした!
次回は、昨年再び訪れたスペインのお話です。
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