世界で最も名の知れたワインのひとつと言えるでしょう。
名前は知っていてもそれがフランス、ブルゴーニュ地方北部シャブリの町の周辺で栽培されているシャルドネからできる白ワインであることを知っている消費者は多くないでしょうし、ソムリエでもプルミエ・クリュやグラン・クリュを含むシャブリのワインの幅広く奥深い魅力をお客様に熱く語る人は多くないのが現状だと思います。
今回のコラムではシャブリの中でもトップ・クラスの生産者のひとり、ヴァンサン・ドーヴィサVincent Dauvissatをご紹介いたします。
まずはシャブリの場所を確認しましょう。ブルゴーニュ地方北部、イヨンヌYonne県にあるシャブリの町は、ブルゴーニュ地方のワインの中心地であるボーヌBeauneの北西約120kmのところにあります。シャブリから、シャンパーニュ地方南部の都市トロワTroyesまで60km弱。ロワール地方のサンセールSancerreが南西に約90kmという位置です。やはり北のワイン産地ということが確認できます。
街中を流れるスラン川
白ワインのみ生産するシャブリのワインは、北の風土を反映してきりっとした酸が主体の爽やかな辛口タイプになります。プルミエ・クリュ、グラン・クリュと格が上がるとワインはより密度を増し、骨太になり厚みが増します。生産者によっては上級キュヴェには部分的に新樽での熟成を施し、樽から来る香ばしい香りが感じられます。
ドーヴィサは、プティ・シャブリ、シャブリ、シャブリ・プルミエ・クリュ、シャブリ・グラン・クリュとシャブリの中でも4つのアペラシオンを造っています。
シャブリのプルミエ・クリュは、複数のリウ・ディが近隣の有名なリウ・ディの名を名乗るのが一般的です(例えば、フォレForêts、ビュトーButteauxはモンマンMontmainsを名乗ることができる)。
ドーヴィサはこのようなことはせず、例えモンマンのほうが有名でもフォレ(ドーヴィサではLa Forestと綴りますが)はフォレの名でワインを世に送り出します。ドーヴィサのテロワールへのこだわりが感じられる部分ですね。
ワイン造りは、ステンレス・スティールのタンクも用いますが伝統的な132ℓ容量の樽フィエットFilletteも用いて行います。マロ・ラクティック発酵は100%行い、熟成は9~12ヵ月、清澄は行わず軽くろ過して瓶詰め。
ワインは思わず背筋が伸びるような厳格さを持ちつつ小さな樽で熟成したことによる微妙な酸化熟成による複雑さ、奥行きのある所謂グラン・ヴァンです!
これから夏に向け、シャブリのようなスタイルのワインが飲みたくなる場面も増えてくると思います。時にはゆっくりと時間を取って、ドーヴィサのような素晴らしいワインと向き合ってみてはいかがでしょうか。
Clos Yは6月5日のレストラン講座のテーマをブルゴーニュとし、会場であるレストラン・エミュさんの料理とブルゴーニュ・ワインを合わせてお楽しみ頂きます。ヴァンサン・ドーヴィサ2009プルミエ・クリュの水平も含まれております!ご興味がございましたらご連絡ください。
講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com
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