イタリア第二の都市であるミラノを州都とするこの州では、素晴らしいワインの生産も行われています。
まずはイタリアを代表するスパークリング・ワインのひとつ、フランチャコルタFranciacortaが挙げられます。それから、ピエモンテ州のバローロやバルバレスコに用いられる品種として有名なネッビオーロがお隣のこの州でも栽培されていて、上質な赤ワインが造られています。
今回は、その赤ワイン、ヴァルテッリーナ・スペリオーレValtellina Superioreとその代表的生産者ニーノ・ネグリNino Negriをご紹介いたします。
ニーノ・ネグリが居を構えるのはロンバルディア州北部、東西に開かれているヴァルテッリーナ渓谷のキウロChiuroという小さな町です。
ワイナリー入口
町の北側には小川が流れる。
近くのソンドリオSondrioという比較的大きな町は、ミラノから直線で95kmほどの距離があります。
ヴァルテッリーナ、そしてその上級ワインであるヴァルテッリーナ・スペリオーレは、このヴァルテッリーナ渓谷の北側、南向き斜面に開かれたぶどう畑のぶどうで造られます。西端から東端まで約50kmほど。中でも特に条件の良い斜面がD.O.C.G.であるヴァルテッリーナ・スペリオーレ用の畑として指定されています。
急斜面にテラス状に畑が拓かれています。
用いられるぶどう品種はネッビオーロと上述しましたが、この土地ではキアヴェンナスカChiavennascaと呼ばれています。キアヴェンナスカ90%以上で、10%以下他の黒ぶどうを用いることが認められています。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレのワインはバローロやバルバレスコに比べると軽やかでフルーティですが、上質なぶどうを用い熟成を長く取ったリゼルヴァRiservaや、下述5つの特定地域が表示されているものはより凝縮度の高さや複雑さがあり上質です。
ヴァルテッリーナ・スペリオーレの特定地域、西から
Maroggia マロッジャ 補助品種としてメルリーナMerlinaが用いられます。
Sassella サッセーラ 岩がちな土壌で、日照量が多い。良い年のものは非常に長い熟成に耐えます。
Grumello グルメッロ 城の名前が付けられています。若うちから飲み易いですが良い年のものは長期熟成に向きます。
Inferno インフェルノ 地獄の意味。アクセスし辛い非常に日あたりの良い約50haほどの地域です。ワインは強い個性があり、長期熟成に適し、複雑な香りを放ちます。飲めば天国。
Valgella ヴァルジェッラ 5つの中で最大の地域です。ワインは厳格かつエレガント。ネッビオーロの特徴を良く表します。
そしてこの土地の偉大なワイン、スフォルツァートSforzato di Valtellina(またはスフルサット Sfursat di Valtellina)は凝縮度の高い、堂々たる赤ワインです。収穫したぶどうを陰干しして造られます。ぶどう果汁のエキス分が凝縮しますので、あらゆる要素が濃いワインが生まれます。このようなワインもロンバルディア州で造られていることを忘れてはいけません。
ニーノ・ネグリはそれぞれのテロワールの特徴が良く出たキュヴェを造っています。中でもやはりぶどうを干すことによって約40%の重量を失った凝縮されたぶどうから造られるスフォルツァートは素晴らしい赤ワインです。できればある程度の熟成を経たものを、上質な料理と合わせて楽しみたいところです。
未経験でしたら、是非お試しください。ピエモンテ州のネッビオーロとはまた違った趣があります。
Clos Yは、3月22日のイタリア・ワイン基礎講座のテーマをロンバルディア州とし、この州の風土、ワイン、郷土料理などをご紹介いたします。3種類の試飲ワインの中にはニーノ・ネグリのヴァルテッリーナ・スペリオーレ・リゼルヴァも含まれております。ご興味がございましたらご連絡ください。
講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com
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