軽いタイプの赤、白が造られますが、近年では優良生産者はなかなかしっかりとした赤白を生みだしていて、注目に値します。
この村のワインと言えば、赤も白も良いのですが、何と言ってもロゼRoséが有名です。100%ピノ・ノワールで造られる、淡い色調のマルサネイ・ロゼは、ピノ・ノワールのワインであることをしっかりと感じさせてくれる、とてもエレガントなワインです。エレガントなロゼ・ワインとしては、フランスの中でもトップ・クラスの品質であると言えます。
そのマルサネイ・ロゼを生みだしたのが、今回ご紹介するブルノ・クレールBruno Clairの祖父に当たるジョゼフ・クレール氏です。ブルノ氏は偉大な祖父を持ちながらも、相続問題で苦労し、自分の名のドメーヌを立ち上げたのは1979年のことでした。
当時は4つの村に僅かな畑を持つのみでしたが、今日ではグラン・クリュを含む22のアペラシオンを手掛ける、重要なドメーヌに成長しました。
私がこのドメーヌを訪問したのは2013年の2月末。雪の降る寒い日でした。
試飲は地下のカーヴで行われました。
温度は年間を通じてほぼ一定に保たれています。やはりシャンベルタン・クロ・ド・ベズなどグラン・クリュが素晴らしいのはもちろんですが、マルサネイ・ラ・コート村に居を構える造り手ですので、マルサネイのワインも大変興味深いものです。
マルサネイにはプルミエ・クリュもグラン・クリュもありませんが、ブルノ・クレールは畑の個性を尊重し、ワインを造り分けています。
1級畑に昇格するかもしれない可能性を秘めたレ・ロンジュロワLes Longeroies、しっかりした果実味、細かいタンニンを備えるレ・ヴォードネル、Les Vaudenelles、そして凝縮感が強く、力強いワインが生まれるレ・グラス・テットLes Grasses Têtes。
マルサネイのワインに端的に現れていますが、ブルノ・クレールのワインは現代的なきれいな造りで、過度の抽出など無く、気品のあるスタイルのように感じられます。
「苦労人」ブルノ・クレール氏が醸すワインには、どのアペラシオンでもそのテロワールがきれいに反映されていると思います。
Clos Yは、8月16日の夏のワイン会でお楽しみ頂くワインの中に、ブルノ・クレールのマルサネイ・ロゼ2010も含めております。ご興味がございましたらご連絡ください。
講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com
- Newer: ワイン・コラム 第159回 チリの話 コノ・スル編
- Older: ワイン・コラム 第157回 ロワール地方の話 トゥール・グリーズ編