真っ先に思い浮かぶ銘柄は、キアンティChiantiやバローロBaroloなど赤ワインが多いと思います。
白ワインでは、イタリア北部のヴェネトVeneto州やそのお隣のフリウーリ・ヴェネツィア・ジュリアFriuli-Venezia Giulia州などで上質なものが見られます。
比較的低価格で楽しめる銘柄は、ピエモンテ州のガヴィGaviやヴェネト州のソアヴェSoave、そしてマルケMarche州のヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージVerdicchio dei Castelli di Jesiなどがあります。
今回は、マルケ州のお話です。
アンコーナAnconaを州都とするこの州は、イタリア中部の東側に位置しています。北はエミリア・ロマーニャ州、西はウンブリア州、南はアブルッツォ州と接し、東側には美しいアドリア海が広がっています。
この州を代表するワインは、上述したヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージです。日本では、銘柄によりますが1,000円ほどで入手できる、名前の長さに反して(?)カジュアルなワインです。
海に面したマルケ州では新鮮な魚介を使った料理がありますが、そのような料理と気軽に楽しむことができるワインです。
さて、この長い名前のワイン、解読するとカステッリ・ディ・イエージ(地名)のヴェルディッキオ(ぶどう品種の名前)、となります。
イタリア語で緑のことをヴェルデverdeといいますが、ヴェルディッキオという白ぶどう品種は緑がかった色をしていますので、そのように名づけられました。
重要な産地であるイエージの町は、アンコーナから内陸に20kmほどの所に位置しています。この州では比較的大きめの町で、私は車で街中を通っただけでしたが、大きめの通りが長く続いており、落ち着いた雰囲気を感じました。
もうひとつ、挙げるべき産地としてマテリカMatelicaがあります。
マテリカは海から50km以上離れた内陸にあり、イエージと同じヴェルディッキオでできる白ワインながらこちらの産地のものは「山のワイン」というイメージがあります。ヴェルディッキオ・デイ・カステッリ・ディ・イエージよりヴェルディッキオ・ディ・マテリカのほうが、一般的にはよりしっかりした構成をしています。そうなると、合わせる料理はイエージの方には魚介類を、マテリカには魚介も良いですが白身の肉類と合わせても良いと思います。
どちらも軽めのタイプが主流ですが、中には熟成に耐えるワインもあります。そのようなワインはほとんどの場合ClassicoやSuperiore(もしくはその両方)が名前の後に付いています。前者は歴史的に古い、言い換えると長いぶどう栽培の歴史を持つ、特に上質なぶどうが収穫できる限定された地区のワイン、後者は一定の基準よりも良く熟し、糖度が上がったぶどうから造られるワインが名乗ることができる単語です。
優れた生産者のこのようなワインを飲むと、ヴェルディッキオのイメージが変わると思います。
しっかりめのヴェルディッキオのワインは、春の訪れを告げる山菜などと合わせてみても良いと思います。試してみてはいかがでしょうか?
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