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ワイン・コラム 第150回 オーストラリアの話 タンバランバ編

オーストラリアのワイン。

そう聞くと、アルコールのヴォリュームが強く、果実味が主体で酸味が控えめのワインが想像されるかもしれません。

それは正しくもありますが、もちろんそうではないワインも多く存在しています。

今回は、オーストラリアの南東部、ニュー・サウス・ウェールズ州New South Walesの中でも冷涼な南部に位置するタンバランバTumbarumbaをご紹介いたします。

ワイン造りの歴史の長いヨーロッパなどでは、シャブリChablisやポイヤックPauillacなどワイン産地とその土地で造られるワインの特徴が認識されています。例えば、シャブリと言えばブルゴーニュ地方北部のシャルドネで造られる軽やかな白ワイン、というように。

ではオーストラリアはどうでしょうか。ハンター・ヴァレーHunter Valleyやマーガレット・リヴァーMagaret River、ヤラ・ヴァレーYarra Valleyなどある程度広く認知されつつある産地が出てきておりますが、それぞれの土地で複数のぶどう品種が栽培されていますし、まだ産地自体とその産地を代表するワインのスタイルが確立されていない部分があるように思われます。

それは問題なのかもしれませんが、逆に考えるとそれぞれの土地に多様性があり、知られざる部分が多いとも言えると思います。

特に、注目したいのが、知名度は低いもののしっかりとした特徴を持つ、冷涼な気候に属するワイン産地です。

タンバランバはまさにそのようなワイン産地のひとつです。

James Halliday氏のWine Atlas of Australiaによると、標高は300~800m。ぶどう栽培上の主な懸念事項としては「霜」が挙げられる、冷涼な産地です。栽培されている主要な品種はピノ・ノワールとシャルドネです。

Tambalunba
Tambalunba3

上質なぶどうが収穫できるのに、タンバランバの名前はあまり知られておりません。なぜかというと、大手生産者が、上質なスパークリング・ワインの原料の一部としてこの土地のぶどうを購入し、ブレンドして用いるためです。必要不可欠なのですが、最終的な商品の一部を成すに過ぎませんのでタンバランバの名前がラベルに表記されることはありません。このような事情のため、この土地の名前を聞いたことが無くても、この土地で栽培されるぶどうから造られたワインを口にしている方もいらっしゃると思います。

稀に、タンバランバの名を記したラベルのワインに出会うことがあります。そのワインは、冒頭で書いたようなヴォリュームのあるタイプではなく、シャブリのようとまでは言いませんが、線が細めながらも充実した果実味を備えた素晴らしいものが多いです。まさに「テロワール」が良く表現されています。当然のことなのですが、オーストラリアにもテロワールの妙があるのです!

このようなワインは、ワインが好きながらもあまり新世界のワインを飲まないような方に是非試して頂きたいと思います。

人生にまたひとつ楽しみを増やしてみてはいかがでしょうか?

Clos Yは、3月19日のレストラン講座のテーマを「オーストラリア」とし、オーストラリア全土から選りすぐった素晴らしいワインをそれに合わせた特別料理と共にお楽しみ頂きます。ハンギング・ロックのマセドンやデ・ボルトリのノーブル・ワン、そしてペンフォールドのタンバランバ シャルドネも登場します!ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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