実際には数えきれず、その数は5,000以上になるようです。
今回ご紹介するぶどう品種プティット・シラーPetite Sirahは、その名からシラーSyrahの仲間と思ってしまいますが、実際はシラーとは関連が無いようです。
よく見ると、シラーのスペルがSirahとSyrahで異なりますね。
ワイン用ぶどう品種のバイブルとも呼ぶべきジャンシス・ロビンソン氏による「ワイン用葡萄ガイド」によりますと、
「おそらく本物のシラーには関連が無く(中略)幾つかの異なる、あまり知られていない品種を総称して適用される名称」
衝撃です!ひとつの名前が、複数のぶどう品種に対して使われていると言うのですから。
つまり、A社のプティット・シラーとB社のプティット・シラーは異なる品種である、という可能性があるわけです。
このようなこともあるのですね。実際ぶどうは突然変異を起こしやすく、同じぶどう品種でも複数の色を持つ(例えばグルナッシュ・ノワールとグルナッシュ・ブランなど)ことは少なくありません。
プティット・シラーの場合、複数の品種の総称と言うことですが、流石に全くタイプが異なるぶどうが同じ名前で呼ばれることは無いと考えるのが普通ですよね。
私は今までそれほどたくさんのプティット・シラーに接してきていませんが、この品種の最高峰と評されるのがサッカリーThackreyのワインです。
ただこの造り手は、数百年前の醸造文献を解読し、「昔の」ワイン造りにこだわっています。そのためこの生産者のプティット・シラーを「この品種の特徴が良く出た基準」にするのはやめておいた方が良いかもしれません。
私が言えることは、プティット・シラーのワインは、主にカリフォルニアで生産されており、ワインの特徴としては色が濃く力強く、ボリュームがあります。繊細な北ローヌのシラーとは方向性が違います。
現時点では謎に包まれているプティット・シラーですが、謎の多いものは私たちの身近に多いですよね。
いろいろ想像を巡らせながらワインを楽しむのも一興でしょう。
Clos Yは、3月2日のレストラン講座のテーマを「アメリカ」とし、素晴らしくリッチなシャルドネや冷涼地の酸味の美しいワインなどを、それに合わせた特別料理とお楽しみ頂きます。鬼才サッカリーのプティット・シラーも登場します!
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