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ワイン・コラム 第147回 ローヌ地方の話 ギガル編

フランス南部に位置するローヌRhône地方。ローヌ川沿いに南北に広がるワイン産地です。

ローヌ地方は北部南部に分けられますが、それぞれ全くと言って良いほど違うタイプのワインを生産しています。北部と南部を別の産地として捉えたほうが良いのではと思います。

簡単に説明しますと、北部では赤ワインも白ワインも主に単一品種で造られ、ワインは力強いながらもエレガントさを備えています。それに対し南部(シャトーヌフ・デュ・パプの生産者、ネルトの方は我々はプロヴァンス地方にいるとおっしゃっていました。)では赤ワインも白ワインも主に複数のぶどう品種のブレンドで造られ、ワインは南の太陽の恩恵を受けふくよかでボリューム感が強く表現されています。

今回は、そんなローヌ地方を代表する生産者のひとり、ギガルGuigalをご紹介いたします。

手掛けるワインは広く、シャトーヌフ・デュ・パプやジゴンダスなど南ローヌ、そしてエルミタージュやコンドリウなど北ローヌ、つまりローヌ全域のワインを生産しています。

本拠地を置くのはアンピュイAmpuisの町です。この町はローヌ地方を代表する高級銘柄であるコート・ローティCôte-Rôtieの産地です。
Cote-Rotie畑2
Cote-Rotie畑3
ギガルを語る上で欠くことのできない看板ワインであるラ・テュルクLa Turque、ラ・ムーリーヌLa Mouline、ラ・ランドンヌLa Landonneの畑はこのギガルの本社の近くに位置しています。

ギガルのワインに限ったことではないのですが、コート・ローティは、フランス語で「焼けた丘」という名前から、いかにも「熱い(=ボリューム感が強くて重い)」ワインを想像してしまうと思うのですが、実際はローヌ地方最北端、ブルゴーニュに近い場所のワインなので、その名に反してエレガント系です。

加えて、コート・ローティに使われるシラーSyrahも少し誤解を受けている品種であるように私は感じています。

北ローヌが原産地とされるこの品種は、北ローヌではある程度高価なワインになります。オーストラリアなど別の産地では廉価なシラー(もしくはシラーズ)がたくさんあり、そのようなワインのほうが身近なことでしょう。しかし北ローヌのシラーとオーストラリアのシラーズでは同じ品種とは思えないほどワインのスタイルが異なります。オーストラリアのシラーズは一般的に果実味が豊かでボリューム感が強いワインに仕上がります。それに対し北ローヌのシラーは冷涼な雰囲気を持ち、ボリューム感は強くなり過ぎず、エレガントにまとまります。世界レヴェルのソムリエも、ブルゴーニュのピノ・ノワールと間違えることがあるほどです。

ギガルの話からそれてしまいましたが、このように、ギガルの看板ワインであるコート・ローティは常にエレガントさを備えています。

ギガルのワイン全体を見て、すごいと思うのは、そのボトム・レンジであるいわゆる「コート・デュ・ローヌ」の質の高さです。赤は18ヵ月もの間樽熟成され、(年により異なりますが)シラー主体です。驚くべきコスト・パフォーマンスの高さを誇っていますが、生産量の多いこのクラスのワインをあのレヴェルに仕上げることに驚かされます。

北から南まで、ローヌの上質なワインを造るギガル。この地のワインを知る上で、欠かせない存在です。特に今、冬季はジビエのシーズンです。野趣味溢れるジビエを、濃厚なソースで頂くとき、ボルドーやブルゴーニュも良いですが、ローヌのワインは鉄板です!試してみてはいかがでしょうか?

Clos Yは、2月2日のレストラン講座のテーマを「ジビエを食す!」とし、ジビエ料理をそれに合う素晴らしいワインとともにお楽しみ頂きます。ギガルのトップ・ワインのひとつ、コート・ローティ ラ・ムーリーヌ2006も登場します!ご興味がございましたらご連絡ください。

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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