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ワイン・コラム 第142回 ぶどう品種の話 ガメイ編

11月の第3木曜日はボージョレ・ヌーヴォーBeaujolais Nouveauの解禁日です。

普段ワインに関心が無い人も(メディアも)この時ばかりはワインに注目します。

ボージョレはブルゴーニュ地方のワイン産地の一部ですが、この土地と深いつながりがあるのがガメイGamayという品種です。正式名称はガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブランGamay noir à jus blanc(白い果汁を持つ黒いガメイ)と言います。世の中のほとんどの黒ぶどうは、果皮は黒いものの果肉は緑がかった透明で、果汁には黒い色素は含まれておりません。そのため、黒ぶどうから白いシャンパーニュが造られるわけです。

この品種から造られる一般的なワインの特徴としましては、色は明るいルビー色で、紫色を帯びています。香りは華やかで、赤い果実、バナナ、黒砂糖、カンゾウなど甘い香りが立ち昇ります。味わいは果実味を主体とし、酸味は強すぎることなく、タンニンは多くなく、全体として軽やか。フルーティで、若いうちに楽しむべき(数年を経るとピークを越え、衰えて行く)ワインです。

素直においしいワインだと思います。ワイン単体でも楽しめますし、地元風にシャルキュートリー(生ハム類の盛り合わせ)と合わせると最高でしょう。

ガメイはボージョレ地区を中心に、フランス国内では近隣のオーヴェルニュ、サヴォワ、ロワール川流域などで栽培されています。世界に目を向けると、イタリアや東欧、カナダやカリフォルニアなどでも栽培されているようですが、フランスとの国境に近いスイス西部ではガメイとピノ・ノワールのブレンドによるドールDôleという特産品があり、私は個人的にとても気に入っています。

それから珍しいところではオーストラリアのトップ生産者が、隠しワインのように極少量のガメイを醸しています。

珍品ということでは、黒っぽい果汁を持つ黒い果皮のガメイも存在しています。世界には赤黒い果肉そして黒っぽい果汁を持つぶどう品種があります。フランス語でタンテュリエteinturierと呼ばれます。代表的な品種としてアリカンテ・ブーシェAlicante Bouschetが挙げられますが、ガメイにもタンテュリエの種があります。

私の知る限りでは、ロワール地方でアンリ・マリオネHenri Marionnetという生産者が、Les Cépages Oubliés(忘れられたぶどう品種)と名付けたキュヴェを造っています。品種名はガメイ・ド・ブーズGamay de Bouze。果汁自体に色素が含まれていますので、やはりワインの色は濃く、黒っぽい色調を呈しています。香りも黒を連想させる、墨や潰したブルーベリーの皮など、味わいはややボリューム感があり、一般的なガメイとは異なるワインです。本当に世界には様々なワインがあるものです。

ガメイから造られるワインの代表であるボージョレ。ヌーヴォーは、素直においしいと思いますし、最新のヴィンテージがどのようであるのか予想することもできますから、是非とも試したいものです。2013というヴィンテージ、どうなのでしょうか ?!

Clos Yは2013年のボージョレ・ヌーヴォーの解禁日である11月21日に、ガメイをテーマにした単発講座「偉大なワインを飲む!」を行います。オーストラリアのピノ・ノワールのトップ生産者による「隠しワイン」的なガメイ、同じくオーストラリアのガメイのカルト・ワイン、まるで上質なピノ・ノワールの様なボージョレのガメイなど、ガメイの多様性をお楽しみ頂きます。ガメイの深い魅力を楽しみましょう!

講座へのお申し込み、ご質問等はこちらのアドレスにご連絡ください。
vinclosy@aol.com

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