とても古くて数本しか存在しない、値段の付けられないようなワインは除外して、比較的新しいヴィンテージのもので、現在購入が可能なものの中で考えてみますと、エゴン・ミュラーEgon MullerのシャルツホーフベルガーScharzhofberger のトロッケンベーレンアウスレーゼTrockenbeerenausleseかもしれませんが、やはりロマネ・コンティRomanée-Contiでしょう。
ロマネ・コンティというワインは、ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティDomaine de la Romanée-Contiという造り手さんが、ロマネ・コンティという名前の畑のぶどうから造る赤ワインです。100万円を超える価格は、歴史的な名声と、その生産量の少なさ、もちろんその品質の高さなどによるものだと思われます。
そのドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティの経営者のひとりであるオーベール・ド・ヴィレーヌ氏が経営するドメーヌが、ブルゴーニュ地方の小さな小さな村、ブズロンBouzeronにあります。その名もドメーヌ・アー・エ・ペー・ド・ヴィレーヌDomaine A. et P. de Villaineです。
AはオーベールのA、Pはオーベールさんの奥さまのパメラのPです。
ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティが、グラン・クリュを中心とした高額なワインばかりを造っているのに対して、ド・ヴィレーヌは、プルミエ・クリュでもない、村名や広域アペラシオンの、比較的廉価なワインのみを造っています。
白ワインは清廉な感じのする、軽く爽やかなタイプで好感が持てますが、特に赤ワインが人気のようです。やはり、ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティは「赤ワイン」のイメージが強いため、同じ経営者が造る、手ごろな価格のワインは世界中から需要があるのでしょう。ラ・ディゴワーヌLa Digoineというキュヴェなどは、すぐに売り切れてしまうためなかなか入手できません。
ブズロンという、村人全員が顔見知りであろう、本当に小さな静かな村で、このようなワインが造られているのは何だか不思議です。
Bouzeronの畑。
ド・ヴィレーヌの人気の赤ワインは、ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティの赤ワインとはスタイルが異なります。価格が大きく異なりますので、当然と言えば当然ですが、意図的に違うタイプのワインを造っているのかもしれません。
例えば、熟成には樽を用いますが、決して新樽は使用しません。そのため、樽から来るロースト香やタンニンが少なく、穏やかで優しい雰囲気のワインに仕上がっています。
ひとつ言えることは、ド・ヴィレーヌのワインも、ドメーヌ・ドゥ・ラ・ロマネ・コンティののワインも、ワインの原料となるぶどうが生まれ育った畑の個性を表現することに重きを置いているということです。
テロワールのワイン、です。
Clos Yは、毎月第2水曜日に「ブルゴーニュ基礎講座」を行っております(10月のみ第4水曜日)。9月11日のテーマは「コート・シャロネーズ」です。上質なブズロンや、アー・エ・ペー・ド・ヴィレーヌの赤ワイン等の試飲も含まれております。ご興味がございましたらご連絡ください。
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