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ワイン・コラム 第136回 ロワール地方の話 サンセール編

8月末。涼しい日もあり、夜には秋の虫の声も聞こえるようになりましたが、まだ暑い日が続きますね。

 

暑い日には爽やかなワインを良く冷やして楽しみたいところです。

 

フランス、ロワール地方のミュスカデMuscadetや、ボルドー地方のアントル・ドゥー・メールEntre-Deux-Mers、ポルトガルのヴィニョ・ヴェルデVinho Verde、ドイツ、モーゼルMoselのリースリング、フランス、プロヴァンスProvence地方のロゼなど、とても良いでしょう。

 

サンセールSancerreのワインも、この時期重宝すると思います。

 

サンセールのワインは、パリから約170km南に位置するサンセールの町の周辺のぶどう畑のぶどうから造られます。

 

サンセールは小さな町ですが、小高い丘にあり、遠くから見えてくるその風景に、モン・サン・ミシェルが思い出されました。美しい風景です。

DSC00980 サンセールからの風景 

サンセールの白ワインは、ソーヴィニヨン・ブランSauvignon Blanc100%で造られます。高級なキュヴェ(生産量が少ないため、あまり目にする機会は多くないと思います。)には樽が使われ、秋から冬に飲みたいような味わい深いものがありますが、一般的には醸造に樽を用いず、フレッシュに仕上げられます。柑橘類やフレッシュ・ハーブの香りを持ち、爽やかな酸味を楽しむことができます。

 

サンセールのワインのラベルに、その原料となるぶどうが育った畑名が記されることは多くありませんが、ひとつ、極上の畑を紹介したいと思います。それは、サンセールの町から西に3kmほどの所にある、シャヴィニョールChavignol村にあります。

 

その名もレ・モン・ダネLes Monts Damnés。シャヴィニョール村に行けば嫌でも目に入る、南向きの斜面畑です。日当たり、水はけが良く、いかにも良く熟したぶどうが収穫できそうな立派な畑です。畑を知った上で、その畑のぶどうからできたワインを飲むことは、興味深く、ワインの醍醐味のひとつですね。

 

シャヴィニョール村と言えば、クロッタン・ド・シャヴィニョールCrottin de Chavignolと言う名の山羊のミルクのチーズにより、その名を知られています。小さな丸い形のチーズで、フランスでは広く親しまれています。チーズは熟成により風味が変化しますが、このチーズは特に熟成による風味の違いが顕著で面白いと思います。若いうちは水分が少し多くややしっとりとしていて、少し柑橘類やハーブを思わせる香りがあり、味わいは酸味がややしっかりと感じられます。熟成が進むにつれ水分が飛び、チーズ自体一回り小さくなります。身がしまり、カットするのが少し大変なほどです。そのため熟成したこのチーズ専用のナイフもあるほどです。この段階まで来ると、ナッツ系の香りが出てきて、味わいは酸味が落ち着いてこくが出てきて、味わいの余韻が非常に長くなります。

 

同じ産地と言うこともあり、クロッタン・ド・シャヴィニョールはサンセールの友、というイメージがありますが、フレッシュタイプのサンセール白とは、若い状態のクロッタン・ド・シャヴィニョールを合わせると良いでしょう。

 

さて、サンセールにはロゼと赤もあります。どちらもピノ・ノワールPinot Noir100%で造られます。ピノ・ノワールの本場ブルゴーニュのワインに比べると、より北で冷涼な気候を反映して、線の細い、早飲みタイプのものが一般的ですが、中には新樽を使って熟成された、極上ワインも少量ですが造られています。

 

うだるような夏の暑さも終わりを迎えると寂しいものです。暑いうちに、暑い中で楽しむ爽やかワイン、試してみてはいかがでしょうか?

 

Clos Yは、9月7日(土曜日)のお昼に、「偉大なワインを飲む!」単発講座を企画しております。ブラン・フュメ・ド・プイィの王者、ディディエ・ダギュノーがサンセールで造る希少なレ・モン・ダネも登場します!ご興味がございましたらご連絡ください。

 

 

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