今回は新鮮な情報をお届けいたします。
まずは南仏、プロヴァンス地方のニースNiceから出発です。
ニースに行かれたことがある方は少なからずいらっしゃると思いますが、ニースとワイン産地を結び付けて考える方はほとんどいらっしゃらないことでしょう。
ニースの町のすぐそばに、ベレBelletというA.O.P.のワイン産地があります。
全体で約50haほどのぶどう畑しかないこのアペラシオンは、フランスのワイン産地の中でも極小と言えますので、ご存じでない方が多いのも無理が無い話です。
ちょうどバタイユ・デ・フルールBataille des Fleurs(フラワー・パレード)で浮き立つニースを北西に抜け、山道を登っていくと25分ほどでベレの畑ゾーンに着きます。
小さなアペラシオンなので、造り手さんも密集しています。今回訪問させていただいたのはドメーヌ・ヴァンスリーヌDomaine Vincelineです。
2006年創立のこのドメーヌは、僅か0.8haの畑を所有しています。私が今まで訪問させていただいた造り手さんの中で最も規模の小さな造り手さんです!
小さなプレス機
ベレは白、ロゼ、赤の生産が認められていますが、このドメーヌは白と赤のみを造っています。白はロールRolleという白ぶどう品種100%で造られる、フレッシュでフルーティなタイプ。このロールはヴェルメンティーノVermentinoと全く同じ品種で、この地ではこのように呼ばれています。
赤は地場品種のフォル・ノワールFolle Noireを主体に造られます。ベレ以外ではまず耳にすることの無いぶどう品種です。2011は少しジャム様の熟した赤黒い果実の香りに少し動物っぽいニュアンスが混じり、スパイスの要素も感じられます。味わいは果実味が主体で酸味は少し穏やかで、タンニンが少し多く、余韻にボワゼ(樽)が現れ少し長く続きます。ある程度長期の熟成に耐えられそうな構造をしていました。
これらのぶどうが育つ畑は標高約230mのところに位置し、土壌は砂質で少し大きめの小石が点在しています。風の吹き抜ける谷間に面していて、昼夜の温度差が大きいとのことです。
このワイン産地に来る度に思いますが、とても美しい眺めです!
ニースから近いので、興味のある方は行かれてみてはいかがでしょうか。
この日はニースとカンヌの間の、ジュアン・レ・パンという小さな町に泊まりました。この街にはラミラルL’Amiralという素敵なレストランがあります。
海に面したこの町、夏は観光客で賑わうと思うのですが、2月は閑散としていました。落ち着いて食事ができます(笑)
前菜はじゃがいものグラタン黒トリュフのスライスがけ、メインはTurbotチュルボというカレイ科の魚をお願いしました。コースの選択肢としては無かったのですが、尋ねてみたところコースに組み込んでくれました。感謝です!
ワインはプロヴァンスのロゼ!このお店、ワインの種類はあまり豊富では無いのですが、オーダーしたワインが品切れだったようで、同じ価格で少し良いものを出してくれました。良心的なお店です。
ワインも料理もおいしかったのですが、強いインパクトを残しているのはデザートでした。今でも鮮明に思い出すことができます。今回の旅では3つ星レストランなどにも行ったのですが、デザートに関してはこのお店が一番でした!
お皿にアーモンド・パウダーを使っているような、少しさっくりとした食感のガトー(クレープ?)を敷き、その上に皮も入っているプラムのシャーベットを乗せます。そのシャーベットの周りをメレンゲで覆い、表面をさっと焙ってミントを乗せて完成です。
甘味は強すぎない程度にしっかりしているのですが、はちみつを使っているこのデザート、砂糖ではないはちみつの甘味、香りが個性的で、私はすっかり気に入ってしまいました。
本当においしかったです。レストラン講座で、腕利きのパティシエにお願いして、いつか再現できればと思っております!
プロヴァンス地方はフランスのワイン産地の中で、高品質ワインを愛する人があまり注目しない産地であるのが現状です。実際この地方で造られるワインのほとんどは軽く、フルーティなロゼで、それはそれで悪くないのですが大変魅力的とは言い難いです。しかし、中には極上のワインも少量ですが存在しています!
それにつきましては、またこのコラムや講座でご紹介していきたいと思っております。
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