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ワイン・コラム 第120回 スペインの話 ボデガス・アユソ編

工場見学をされた経験はありますか?

 

私は小学生の頃、パン工場やガラス工場に学校の社会科見学で行った記憶があります。

 

最近は「大人の工場見学」という名の下、ビール工場の見学などが人気のようですね。

 

私がワイン生産者を訪問させて頂く場合は、ボルドーのシャトーやブルゴーニュのドメーヌなど、例え規模が大きくても「工場」というような印象を受けるところにはほとんど行ったことがありません。

 

大規模なところで印象に残っているのは、オーストラリアに数軒あります。カンガルーのラベルのワインで有名なカセラCasellaや、川の水を利用して灌漑を行い大規模にワインを造るリヴァー・ランド地区のワイナリーなど、その規模の大きさにはびっくりさせられました。

 

今回ご紹介させて頂くボデガス・アユソBodegas Ayuso、スペインのワイナリーですが規模が大きいところです。

 

スペインで最大、そして世界でも最大級のワイン産地、ラ・マンチャLa Manchaのワインを造るこの造り手は、スペインのほぼ中央、少し南に位置しています。

 

ラ・マンチャは広大なワイン産地ということだけあって、大規模に、大量生産型のワインが多く造られるところです。大規模、大量生産とはいえ自然の賜物であるワインですので、原料であるぶどうが生まれ育った土地を表現しておりますが、「嗜好品としてのワイン」愛好家にはあまり注目されることが無かった産地です。

 

そんなラ・マンチャにおいて、高品質なワインで世の注目を集めたのがボデガス・アユソです。高品質なぶどうから造った上質なワインをじっくりと熟成させたエストーラEstolaシリーズは、その品質の高さにおいて評価されました。コスト・パフォーマンスの高さも見逃せないポイントです。

 

実際にワイナリーに着いてみると、まずはその入り口で驚かされました。巨大なタンクがそびえ立ち、2008年当時私が訪問させていただいたヨーロッパのどのワイナリーよりも「巨大さ」を伺わせるものでした。

Bodegas Ayuso 

内部も巨大なコンクリート・タンクや

Estola 

フル稼働の瓶詰めライン

Estola2 

広いストック・スペース

Estola3 

 があり、ときおりすぐ脇を通過するフォーク・リフトに気をつけながらの訪問でした。

 

肝心のワインの品質はというと...いや、流石ですね、経験豊富なワイン評論家が高く評価するだけありまして、見事なワインが造られていました。

 

実際、最高級のグラン・レセルバGran Reservaのものは何年もの樽熟成を経てからようやく瓶詰めされ、さらに数年の熟成を経てようやく出荷されます。そのようなワインを造る、と決めた時点で、造り手さんの「品質へのこだわり」が垣間見えるように思います。

 

素晴らしいワインは有名なワイン産地ではないと生まれないというわけではありません。「有名では無い産地の素晴らしいワイン」を見つけるのは大変ですが、そのようなワインにこそワインの楽しみが詰まっているのかもしれません。

 

 

Clos Yは2月6日のレストラン講座のテーマを「スペイン」とし、広大なスペインから選りすぐった上質なワインをそれに合わせた特別料理と共にお楽しみ頂きます。ご興味がございましたらご連絡ください。

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想等ございましたら下記メール・アドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

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