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ワイン・コラム 第119回 ローヌ地方の話 ポール・ジャブレ・エネ編

クリスマス、そして年末・年始という大きなイヴェントを終え、フランス料理レストラン業界は静かな1月を迎えています。
 

ですが、冬本番のこの季節は熱い食材が溢れています!

 

例えば、黒トリュフ。ほぼヨーロッパでのみ産出されるこの食材は、冬に旬を迎えます。夏にはサマー・トリュフと呼ばれるトリュフがありますが、こちらは外側は黒いのですが切ってみると中は白いです。黒トリュフは断面まで黒く、その官能的な香りの強さには驚かされるばかりです。

 

また、冬の食材と言えば、ジビエGibierでしょう!ジビエとは野生の鳥獣類のことです。野生の動物ですから、狩りをして捕まえ、それを食肉として利用するわけです。猪、鹿、鴨、鳩などその種類は多岐にわたります。

 

野性味あふれるジビエの料理とは、やはり野趣あふれるワインと合わせたいものです。その候補の筆頭として上がってくるのがローヌRhône地方のワインです!

 

代表的な銘柄としまして、コート・ローティCôte RôtieエルミタージュHermitageシャトーヌフ・デュ・パプChâteauneuf-du-Papeなどが挙げられます。

 

今回はエルミタージュをご紹介させて頂きます。

 

エルミタージュのワインのもととなるぶどうの畑は、タン・レルミタージュTain-l’Hermitageの町の北側で、南を向いた急斜面に展開されています。

 

コート・ローティの畑同様見上げてしまうような急斜面です。ドイツのモーゼルMoselの極上畑など、世界でも極一部の神がかった畑だけが持つ特有のオーラを放っているようです。

 

トップの造り手として、ジャン・ルイ・シャーヴJean-Louis Chave、シャプティエChapoutier等が挙げられますが、恐らく最も有名なエルミタージュのワインはポール・ジャブレ・エネPaul Jaboulet Aîné社のラ・シャペルLa Chapelleでしょう。

 Paul Jaboulet Aine

その名の通り、エルミタージュの丘にある小さな礼拝堂に由来する名を持つこのキュヴェは、多くのラインナップを誇るポール・ジャブレ・エネの中でもフラッグ・シップのワインです。樹齢の高いシラーから、驚くほど低く抑えられた収穫量で凝縮したぶどうを摘み取ります。濃密で、凝縮感がありながらミネラルを湛えクラシックな構成のこのワインは、まさにエルミタージュを代表するワインのひとつです。

 

エルミタージュは赤ワインのイメージが強いと思うのですが、実際は少量ながら白ワインの生産も行われています。ラ・シャペルとして、1962年まで白ワインの生産が行われていたことをご存知の方は少ないと思いますが、ポール・ジャブレ・エネは2006年に、失われていたラ・シャペル白を再び造ることを決断しました。

 

今日では既に市場に流通しています。ローヌ地方の白ワインとしてはトップ・クラスの価格が付けられていますが、マルサンヌMarsannne 100%のこのワインは実に見事な仕上がりです。密度の高い果実味を持ち、ある程度しっかりした酸味を備えた構成は、ブルゴーニュの上質な白ワインを彷彿とさせます。

 

ラ・シャペルを含むポール・ジャブレ・エネの高級ワインは、ユニークな場所で熟成されています。本社を訪問した際、案内してくれたのは本社から車で数十分行ったところにある洞窟でした。紀元前121年にローマ人によって作られたというその洞窟は、美しく整えられており、神秘的な雰囲気を備えていました。今まで訪問させて頂いたカーヴの中で最も印象の強いもののひとつでした。

 

ジビエのシーズンもあと1ヵ月ほどで終わりを迎えます。今のうちに、ローヌ・ワインを片手に楽しんでみてはいかがでしょうか?

 

Clos Yは、2月9日の単発講座のテーマを「エルミタージュ」とし、ジャン・ルイ・シャーヴのエルミタージュ赤2007、白2009、ポール・ジャブレ・エネのラ・シャペル赤1999などの試飲も予定しております。約1時間の講座の後にはワイン持ち寄りの食事会も企画しております。ご興味がございましたらご連絡ください。

 

 

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