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ワイン・コラム 第115回 ボルドー地方の話 プピーユ編

前回は個性の強い生産者、シャソルネイChassorneyのお話でした。

 

今回ご紹介させて頂くプピーユPoupilleの当主、フィリップ・カリーユ氏も、個性的ということでは引けを取りません。西のフィリップ、東のフレデリック...(笑)

 

どちらも素晴らしいワインという芸術作品を生みだす天才。優れた芸術家は個性的な人が多いのでしょうか。

 

プピーユは、名高いサンテミリオンSaint-Emilionの東隣、コート・ド・ボルドー・カスティヨンCôtes de Bordeaux Castillonのアペラシオンのワインを造っています。

Castillon1 Castillonの風景 

メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランなど、複数の品種をブレンドしてワインを造ることが一般的なボルドーにおいて、プピーユは例外的にメルロ100%のワインも造っています。

 

この造り手さんの名を聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ボルドーで最も高価な赤ワインのひとつペトリュスPétrusにブラインド・コンテストで最後まで張り合ったという逸話です。張り合った、ということは最終的には負けたのか、出品されたペトリュスとプピーユは同じヴィンテージだったのか、詳細は本人に確認していませんが、そのコンテストは1992年に行われたようです。

 

ペトリュスもメルロ100%。同じ品種構成で、偉大なワインに肩を並べたというのは凄いことですよね。それからたちまち知名度を上げたプピーユはいわゆる「シンデレラ・ワイン」の仲間入りを果たしました。

 

さて、そんな凄いワインを造るフィリップ氏、冒頭に書きましたように個性的です。私の親しい友人に、フィリップ氏をとても良く知る人物がいるのですが、話を聞くとやんちゃというか独創的というか...少しタイプは違いますが、東のフレデリック氏と通じるものがあるように思えます(笑)

 

ワイン造りに関してはとても研究熱心で、最新の醸造技術を取り入れたり、ボルドーでは珍しく(世界的にも珍しいですが)醸造に必要不可欠な二酸化硫黄を使わないキュヴェを造ってみたりしています。

 

実際、プピーユのワインは優れたメルロらしい果実味に溢れ、ボリューム感があり、タンニンはたっぷりとしていながら丸く、万人受けするようなスタイルです。

 

プピーユのワインを試してみよう、という方にひとつ、個人的に注意と言いますか、少しややこしい点のご紹介をいたします。プピーユでは、グラン・ヴァンのプピーユの他に、セカンド・ワインのシャトー・プピーユというキュヴェもあります。ボルドーでは、一般的にはグラン・ヴァンのほうがシャトー○○(例えばシャトー・マルゴーやシャトー・ラトゥールなど)という名で、セカンド・ワインには各シャトー独特の名前(例えばパヴィヨン・ルージュ・デュ・シャトー・マルゴーやレ・フォール・ド・ラトゥールなど)が付けられています。プピーユに関しては、シャトー・プピーユというキュヴェのほうがセカンド・ワインです。

 

素晴らしいワインを楽しむとき、そのワインが出来た土地を思い浮かべるのと共に、造り手さんのことを考えてみると、また楽しみが増えるかもしれません...!

 

Clos Yは、12月19日のレストラン講座で、プピーユの1999をお楽しみ頂く予定です。秘蔵のこのワイン、既に市場から消えてしまっていると思います。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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