野山にいる鳥獣を狩って得た肉、ジビエもレストランのメニューを賑わせています。
ジビエと聞くと、私はローヌRhône地方のワインと合わせたくなります。
一言でローヌと言っても、シラーSyrahやヴィオニエViognierなど主に単一品種でワインを造るローヌ北部と複数品種をブレンドしてワインを造ることが多いローヌ南部に分かれます。北部と南部は同じ「ローヌ地方」として括るのはどうかと思うほどワインのスタイルが異なります。
今回はローヌ南部のヴァケラスVacqueyrasというアペラシオンに注目してみたいと思います。
ローヌ南部で代表的なアペラシオンと言えばまずシャトーヌフ・デュ・パプChâteauneuf-du-Papeが挙げられます。グルナッシュGrenacheを主体とした力強い赤ワインが一般的に知られています。それに迫る品質のアペラシオンとしてジゴンダスGigondasがあります。ヴァケラスはジゴンダスから4kmほどしか離れておらず、ワインも似たスタイルとなります。
ヴァケラスでトップの生産者としてドメーヌ・ル・サン・デ・カイユーDomaine Le Sang des Caillouxが挙げられます。「小石たちの血」という風変わりな名前を持つこのドメーヌを、私は2004年の12月に訪問させて頂きました。この辺りは山の麓ののどかな田舎なのですが、突然現れた赤い色の建物に驚かされました!
収量を低く(22~25hl/ha)抑え、天然酵母によるアルコール発酵、無ろ過で瓶詰めというこだわりを持つ当主に案内して頂きました。内部はきれいに保たれていました。
お隣のジゴンダスと異なり、ヴァケラスは白ワインの生産も認められています。ごく少量しか生産されていませんが、この白がびっくりするほど素晴らしいのです!もちろん、赤も凄いです。当主の娘さんの名前が付けられていて、家族、そしてワインに対する愛情が感じられます。
この造り手のワインもそうなのですが、南ローヌの赤ワインは是非熟成させて飲みたいものです。一般的なコート・デュ・ローヌCôtes du Rhôneというアペラシオンのものは若くても楽しめますが、シャトーヌフ・デュ・パプなどのクリュに関しては、若い状態で飲んでしまっては強すぎて素直においしいと思えず、ワインの本質も引きだされておらず、とてももったいないと思います。
良い造り手の、きれいに熟成した南ローヌのワインは、それは素晴らしいものです。ジビエと合わせるもよし、単体でもじっくりと味わうことができます。
これからの季節、まさに熟成南ローヌの出番です。ヴァケラスのようにあまり知名度が高くないワインは熟成したものでも比較的お手頃です。試してみてはいかがでしょうか?
Clos Yは、11月21日のレストラン講座のテーマを「ローヌ地方」とし、ローヌ地方の上質なワインをそれに合わせたフランス料理と共にお楽しみ頂きます。ドメーヌ・ル・サン・デ・カイユーのヴァケラス赤2000も登場します!ご興味のある方はご連絡ください。
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