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ワインコラム 第111回 ボルドー地方の話 シャトー・パヴィ編

ボルドー地方には、ワインの格付けがあります。

 

ブルゴーニュ地方にもワインの格付けがありますが、ブルゴーニュ地方では畑が格付けの対象になっているのに対して、ボルドー地方では造り手が格付けの対象になっています。

 

有名なものは、1855年にナポレオン3世がボルドーの商工会議所に作らせたメドック地区Médocとソーテルヌ地区Sauternesのものがあります。

 

他に、また別の格付けとして、グラーヴ地区Graves、そしてサンテミリオン地区Saint-Emilionの格付けがあります。

 

今回はサンテミリオンの格付けを取り上げてみたいと思います。

 

格付けされたシャトーは「特級」としてグラン・クリュGrand Cruの文字をラベルに表記することができますが、サンテミリオンではシャトーの格付けとは別に、アペラシオンとして単なるサンテミリオンとサンテミリオン・グラン・クリュという2つのアペラシオンが存在しています。

 

アペラシオンとしてのサンテミリオン・グラン・クリュは、それほど重要なものではないかな、と個人的に考えております。実際、サンテミリオン・グラン・クリュでも特に上質ではないワインが少なからずあるように感じます。

 

サンテミリオンのグラン・クリュとして重要なものは、格付けされたシャトーです。それをラベルから読み取るのは簡単です。Grand Cruという文字の後にClasséという文字があれば良いのです。この「Classé」という文字が、格付けに選ばれたシャトーの証です。

 

サンテミリオンの格付けは他の地区の格付けと異なり、大体10年毎に見直しがされています。そのため、150年以上前に行われたメドックやソーテルヌの格付けより、「今」を反映している格付けと言えると思います。

 

最新の格付けの見直しは、今年、2012年に行われました。そしてこの最新の格付けは「事件」でした...!

 

長い間、サンテミリオンと言えば2つのトップ・シャトーが君臨している構図でした。シャトー・オーゾンヌChâteau Ausone Châteauシャトー・シュヴァル・ブランCheval Blancです。これらのシャトーは、グラン・クリュ・クラッセの中でもトップ集団のプルミエ・グラン・クリュ・クラッセPremier Grand Cru Classéという更なる高みに格付けされており、その中でもプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに指定されています。サンテミリオンの全てのシャトーの中で、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに指定されているのは長い間オーゾンヌとシュヴァル・ブランだけでした。名実ともにトップ2シャトーだったわけです。

 

それが、今回の格付けで、シャトー・アンジェリュスChâteau Angélusシャトー・パヴィChâteau Pavieがプルミエ・グラン・クリュ・クラッセAに昇格したのです!

 

確かに、アンジェリュスとパヴィは素晴らしいワインを造っています。

 

私は2008年にシャトー・パヴィを訪問しました。このシャトーは1997年にジェラール・ペルス氏がオーナーになり、1998ヴィンテージからはそれ以前のワインとは別物のように品質が向上しています。

Ch. Pavie 

偉大なオーゾンヌから、直線にして1kmも離れていない場所にあるパヴィは、偉大なワインを生みだす可能性を秘めた畑を以前から所有していました。設備投資と徹底した品質管理により、オーゾンヌに迫るところまでワインの品質を高めたのはペルス氏の功績と言えるでしょう。

 

低く収量を抑え、凝縮したぶどうを収穫し、98年からは木製の発酵槽で天然酵母によるアルコール発酵。樽内でマロ・ラクティック発酵を行い、熟成は樽(新樽70~100%)で24ヵ月行います。技術的には、アルコール発酵中にはボルドーで一般的に行われているルモンタージュではなくピジャージュにより抽出を行います。

Ch. Pavie4 

この情報を見るだけで、手間暇をかけて偉大なワインを造っている様子が伺えます。実際、メルロを主体としたワインは強い凝縮感を備え、ボリュームがあり、噛めるようです。

 

1997以前も高価だったパヴィ。1998からは倍近くに値上がりし、現在でも高い価格を維持しています。格付けの上昇により、更なる値上がりは必至のように思われます。

 

試してみたい方は早めのほうが良いかもしれません...!

 

Clos Yは、11月10日に単発講座「偉大なワインを飲む!サンテミリオン プルミエ・グラン・クリュ・クラッセ」を企画しております。最新の格付けでプルミエ・グラン・クリュ・クラッセに昇格した4シャトー(ヴァランドロー、ラ・モンドット等)全ての試飲を含んでおります(パヴィは出ません)。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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