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ワインコラム 第108回 ぶどう品種の話 プティ・クルビュ編

世界中の様々な国で多様なワインが造られている今日、消費者が求めるワインは、「どこにでもあるような分かり易いワイン」から「ある場所でしか造られていない個性的なワイン」へと移ろいつつあるようです。

 

ワインの魅力の一つに、「テロワール(=原料となるぶどうが生まれ育った環境)」を感じ取ることができる飲料である、というものがありますし、その土地を思うことによって旅をしているような気分を楽しめることもあると思います。

 

これは、インターネットの普及による情報量の増加も影響を与えていると思います。完全に未知なワインには手を出しづらいですが、未経験のワインでも、産地の様子や醸造方法、さらには造り手の顔まで見えれば、試してみようという気になると思います。

 

ABC(=Anything But Chardonny)という単語が象徴しているように、ある程度ワインに慣れ親しんだ消費者は個性的なワインを求め、まずはぶどう品種に注目しました。ぶどう品種は、ワインの香味の構成の大部分を占めますので、これは当然な流れと言えるでしょう。

 

一昔前のイタリアが良い例です。ワイン大国でありながら第一線を行く他の国々に遅れを取っていたイタリア。醸造、栽培技術の近代化と共に、カベルネ・ソーヴィニヨンシャルドネといったいわゆる「国際品種」により、高品質なワインを生みだし注目を集めました。

 

しかし今日では、国際品種を引きぬき、代わりにその土地ならではの地場品種を植える動きが活発になってきています。

 

世界中のどこにでもあるぶどう品種でワインを造るよりも、その土地ならではぶどう品種を育て、ワインを造る、というのは健全な姿だと私は思います。最近ではスペインでもこのような動きがあり、目が離せません。

 

前置きが長くなってしまいましたが、今回ご紹介するのはフランス南西部でひっそりと栽培されている白ぶどう、プティ・クルビュPetit Courbuです。

 

フランス南西部は、フランスの中でもあまり知られていないぶどう品種の宝庫です。それらの地場品種から、驚くほどの高品質ワインが生まれていますが、中でも特に注目に値するのがこのプティ・クルビュです。

 

プティ・クルビュは伝統的に栽培され続けているぶどう品種で、産地としてパシュラン・デュ・ヴィク・ヴィルPacherenc du Vic-Bilhが挙げられます。素晴らしい甘口白ワインですが、名前の後ろにSecの文字が付いている場合は辛口の白ワインです。

 

ワインにすると柑橘類やはちみつ様のアロマを備え、樽との相性が良く、最上のものは極上のソーテルヌやブルゴーニュの極上白ワインに肩を並べるほどの品質に達します。

 

世界には、それこそ数えきれないほどのぶどう品種が存在しています。中にはプティ・クルビュのような「スター」品種もあるわけです。気になるぶどう品種によるワインを見つけたら、是非試してみてください。今までの自分の味覚に無かった香味を与えてくれるような、夢のような出会いもあることでしょう...!

 

Clos Yは10月8日のレストラン講座のテーマを「きのこと赤身肉祭り」とし、旬のきのこや旨味たっぷりの赤身肉の料理と、それに合わせた素晴らしいワインをお楽しみ頂きます。プティ・クルビュによる極上辛口白ワインも登場します!ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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