旧世界のワインに慣れ親しんだ人の中には、銘柄によっては15%を超えるアルコール度数を持つようなカリフォルニアのワインを敬遠する人もいるでしょう。
しかし、一言でカリフォルニアと言っても広いです。中には冷涼な気候の場所もあります。そのようなところではボリュームが強すぎることが無く、エレガントなスタイルのワインが造られています。
今回ご紹介するフリーマンFreemanは、まさにエレガント系ワインの造り手です。
ソノマSonoma地区、ラシアン・リヴァー・ヴァレーRussian River Valleyの中でも特に冷涼なグリーン・ヴァレーGreen Valleyに位置するこの小さなワイナリーは、ひと組の夫婦が経営しています。奥様は日本人のあきこさんで、彼女の祖父が学者であり、フランスの上質ワインを好んでいたために、あきこさんも自然にエレガントなワインが好きになったとのことです。
フリーマンのセラー入口
偉大なワインに長らく親しんできた人は、ワインを造るならおいしいワインしか造りたくないと思いますよね。
手掛ける品種はブルゴーニュ系。ピノ・ノワールとシャルドネです。
ブルゴーニュのスタイルを目指していて、白はリッチですが過度な重さは無く、赤はヴィンテージにもよりますが概ねブルゴーニュ風に仕上がっています。
キュヴェにより使用するぶどうの産地は異なりますが、ソノマ・コーストSonoma Coastやラシアン・リヴァー・ヴァレーなど、冷涼な気候の土地のぶどうを使用します。しっかりと土地の様子をワインに投影した、テロワールのワインと言えるでしょう。
私は2010年にこのワイナリーを訪問させて頂きました。その時に伺ったお話によると、2007年は過去10年で最高の年で、ワインに濃縮感があり、2008年は長期熟成タイプにはならないかもしれませんが例年よりエレガントさが際立っているとのことでした。
日本人が手掛けているので、あるキュヴェには「涼風Ryo-fu」という名が付けられています。日本人には分かり易いですが、その名の通り、涼しい風が吹く冷涼な土地のぶどうから造られるワインです。
カリフォルニアにおけるエレガントなワイン、未経験の方は是非試してみてください。緑に溢れた美しいソノマの土地を感じられるかもしれません。
Clos Yは、8月5日のレストラン講座のテーマを「半年に一度の豪華版」とし、フリーマンのRyo-fu Chardonnay 2008を含めた素晴らしいワインを、それに合わせた料理と共にお楽しみ頂きます。ご興味のある方はご連絡ください。
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。
- Newer: ワインコラム 第104回 イギリスの話 ナイティンバー編
- Older: ワインコラム 第102回 フランスの話 コルシカ島編