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ワインコラム 第87回 シャンパーニュ地方の話 ガストン・シケ編

今回は、2011年9月に訪問して参りました、シャンパーニュChampagne地方のお話です。

 

2011年は、シャンパーニュ地方では1822年以来の早い収穫開始日(8月19日)が提示されました。これは猛暑で収穫が異例に早かった2003年よりも1日早く、近年の温暖化の影響を感じずにはいられません。

 

通常であれば収穫真っただ中くらいのタイミングで訪問したのですが、実際畑を見てみても、私が回った範囲では全て収穫が終わっていました。

 

複数の造り手さんを訪問させていただきましたが、ガストン・シケGaston Chiquetさんを訪問したお話をご紹介いたします。

DSC00677 

この造り手さんは、23haの自社畑を擁するR.M.(自社畑のぶどうのみからワインを造る形態。ブルゴーニュでいうところのドメーヌに相当。)です。なかなかの規模です。

 

メゾンはDizy村に位置しています。この村はエペルネイEpernayのすぐ北隣り、名高いグラン・クリュのアイAÿ村のすぐ西にあります。

DSC00676 メゾンのすぐ裏手の畑。正面の丘の上部はアイの畑。 

今回の訪問の最大の目的は、ピノ・ノワールで名高いアイ村の土地に植えたシャルドネから造るブラン・ド・ブラン・ダイBlanc de Blancs d’Aÿについて造り手さんから直接話を聞くことでした。

 

まずは醸造所を見せてもらいました。ご自慢の最新式プレス機と、昔ながらの旧式のプレス機を併用しています。黒ぶどうから白いスパークリング・ワインを造るこの地方では、ぶどうの搾り方がとても重要です。旧式と最新式では、どちらも得られる果汁の質に差はないそうですが、最新式のマシンは自動で、より効率的に果汁を搾ることができます。

DSC00675 伝統的な垂直式圧搾機。 

最初のアルコール発酵はステンレス・タンクでこのメゾンは行っています。すでに発酵は終わっていて、将来シャンパーニュとなるワインの原酒をステンレス・タンクから直接取って、試飲させてくださいました。シャンパーニュの原酒を飲む機会はあまりありませんが、やはり、酸っぱいです!この原酒を熟成させ、絶妙にブレンドし、最後にドザージュすることによって、あの優雅なシャンパーニュになるのですから、興味深いところです。

 

地下の熟成カーヴなど、ひと通り見学させて頂いた後、美しいサロンで数種類のシャンパーニュを試飲です。

 

いずれも良いシャンパーニュでした!特にご紹介したいのは、今回の目的でもあるブラン・ド・ブラン・ダイです。アイ村で栽培されているシャルドネ100%で造られる、世界で唯一のブラン・ド・ブランです。前述の通りアイ村はピノ・ノワールで有名ですが、一部シャルドネも植えられています。1935年に他に先駆けてシャルドネをこの土地に植えたのは、このメゾンということです。

 

特徴を一言でまとめると、「スマートでエレガント」。ブラン・ド・ブランでも、ブリオッシュやモカの香りを放ち、口に含むと芳醇さを感じるタイプもあれば、細身で酸が主体となる軽やかなタイプもあります。このキュヴェは後者のタイプに属します。ただ、このワインのすごいところはただ単に軽いだけではなく、アニマルの香りを持ち、余韻にぐっと酸が伸びて行きます。ノン・ヴィンテージですが、5年以上熟成させたら面白いだろうなと感じました。

 

それと、特に良かったキュヴェがクラブClub2002です。良年のみ造られる同メゾンのトップ・キュヴェで、シャルドネとピノ・ノワールのブレンドです。ブリオッシュやトーストの香ばしい香りを放ち、口に含むとバターの風味が広がります。余韻が長く、本当に素晴らしかったです!

 

12月はスパークリング・ワインを飲む機会も増えると思います。シャンパーニュは特に通常のワインより多くの手間、時間をかけて造られています。造り手さんの情熱を思いながら召し上がると、一層おいしいと思いますよ!

 

Clos Yは、「シャンパーニュの熟成について考える」単発講座を12月14日に企画しております。どなたでも気軽に参加頂けますので、ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。

vinclosy@aol.com

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