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ワインコラム 第78回 ボルドー地方の話 シャトー・パルメ編

「ワインの女王」と例えられる、フランス、ボルドーBordeaux地方の赤ワイン。中でも、最も洗練されてエレガントな印象を与えてくれるのはマルゴーMargauxのワインでしょう。

 

ワインを「マルゴー」の名で流通させることができる村は、シャトー・マルゴーを擁するマルゴー村の他に4つあります。カントナックCantenac村、アルザックArsac村、スーサンSoussans村、ラバルドLabarde村です。マルゴー村に次いで有名かつ重要なのが、カントナック村でしょう。今回は、この村を代表するシャトーのひとつ、シャトー・パルメChâteau Palmerをご紹介いたします。

 

シャトー・パルメは1855年のメドック地区の格付けにおいて第3級に選ばれました。当時の評価は3級でも、今日では1級に匹敵する評価を得ており、評価に応じた価格が付けられています。

 

私がこのシャトーを訪問させていただいたのは2004年の秋のことです。

 

有名シャトーが次々現れる、メドック地区の県道D2を走ると思わず美しいシャトーに見とれてしまいますが、シャトー・パルメのシャトーはまさに「城」と呼ぶのに相応しい美しさを備えています。美しいと言えば、このシャトーのワインのラベルも非常に美しいと思います。

 

さて、醸造所、熟成セラーなど見させて頂きました。熟成セラーの窓からは、お隣のシャトー・マルゴーが見えます。評価の高いシャトーが隣接しているのは、造り手の努力はもちろん、土地の力もあるのでしょう。

 

シャトー・パルメの特徴として、植えられているぶどう品種の割合に注目したいと思います。メドックやグラーヴがあるボルドー地方左岸では、赤ワインはカベルネが主体というのが一般的ですが、このシャトーではカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロが同等の割合で植えられており、残りをプティ・ヴェルドが占めています。つまり、シャトー・パルメはカベルネ主体とは言えないということです。ヴィンテージによってワインに用いられるぶどう品種の割合は異なりますが、2007、2008、2009と、近年ではメルロが主体のヴィンテージが続いています。

 

もうひとつ、シャトー・パルメでご紹介したいのが、アルテ・エゴ・ド・パルメAlter Ego de Palmerです。1998年に登場したこのキュヴェは、一般的にはシャトー・パルメのセカンド・ワインと言われていますが、実際にはそうではなく、シャトー・パルメの土地のもう一つの表現、という位置づけのようです(アルテ・エゴとは「もうひとつの自分、分身」などの意味があります。)。セカンド・ワインと言って差し支えないのでしょうが、私の解釈では、グラン・ヴァンであるシャトー・パルメが長期熟成を前提に造られているのに対して、アルテ・エゴは若いうちから楽しめるように造られたワインと言えると思います。

 

試飲させていただいたのは、当時まだ樽熟成中だった2003と、やや熟成の進んだ1997でした。猛暑の2003も、難しい年だった1997も、上質なワインに仕上げてくるのはさすがパルメ!といった感じでした。

 

同じヴィンテージのシャトー・パルメとアルテ・エゴ・ド・パルメの飲み比べは面白いと思います。2つを飲み比べながら、「もうひとりの自分」について考えてみるのも面白いのではないでしょうか?

 

 

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