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ワインコラム 第68回 極上甘口ワインの話 アヴィニョネージ編

ワインには白、赤、ロゼ、スパークリング、甘口、辛口...いろいろなタイプがありますね。

 

きっかけとして、甘口ワインからワインを好きになったからもいらっしゃると思います。しかし、甘口ワインと言っても、世界には様々な甘口ワインがありますね。

 

今回は、イタリア、トスカーナToscana地方の甘口ワインをご紹介いたします。

 

フィレンツェを擁する美しいトスカーナ地方は、世界的に見ても重要なワイン産地です。

Toscana2

主にサンジョヴェーゼSangioveseから造られる赤ワイン(キアンティChiantiが有名ですね。)で知られていますが、白ワイン、甘口ワインも生産されています。

 

その甘口ワインですが、ヴィン・サントVin Santoというワインです。これが、実にユニークなワインなのです。

 

まず、原料となるぶどうですが、白ぶどうもしくは黒ぶどうが用いられます。収穫されたぶどうは、数ヵ月の間通気性の良い特別な部屋でじっくりと陰干しされます。

Avignonesi6

この間に水分が飛んで、干しぶどう状態になっていきます。そうして凝縮されたぶどうを絞り、濃厚な果汁を得ます。

 

伝統的な造り方としては、得られた果汁はマードレMadreと一緒に50リットルの小さな樽でじっくり発酵、そして熟成されます。マードレというのは、ヴィン・サントが完成した時に樽の底に残った澱のことです。これを加えてあげることにより、澱に含まれる酵母が働き、より安定してヴィン・サントを造ることができるようです。

 

2008年に私が訪問したアヴィニョネージAvignonesi社は最も高く評価されるヴィン・サントの造り手です。同社は10年もの間ヴィン・サントを樽で熟成させるのですが、なんと一度樽に詰めてからは瓶詰めの時まで一度も樽を開けない、つまり自然に任せるのみとのことでした。樽に入れて10年後、そこに極上のヴィン・サントがあるのか、うまくいかず酢のようになってしまった液体があるのか...開けるまでわからないというのです。

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恐らく長い歴史の中で、失敗してしまった樽もあったことでしょう。しかしアヴィニョネージのヴィン・サントは極上です。2種類のヴィン・サントを同社は造っていますが、黒ぶどうのサンジョヴェーゼで造られるオッキオ・ディ・ペルニーチェOcchio di Perniceというキュヴェは世界中の甘口ワインのひとつの頂点に立つワインでしょう。私は1995ヴィンテージを飲みましたが、ハーフボトルで1,447本しか造られなかった希少品です。

 

ドライフルーツやスパイス、穏やかな酸化熟成から来る複雑な香りがあります。味わいも複雑で、しっかりした甘味があり、それを支える酸味とのバランスが良く、尋常でない長い余韻を楽しむことができます。

 

料理と合わせず、単体でじっくり向き合いたいようなワインです。

 

このようなワインを造り出すアヴィニョネージ社はすごいですし、陰干しによりぶどうを凝縮させる方法もすごいと思います...! 

 

Clos Yでは、素晴らしい陰干しワインの魅力をたっぷり楽しんでいただくレストラン講座(3月6日)を企画しております。ぶどうの力、そのぶどうが生まれ育った土地の風味がぎゅっと濃縮されたワインとそれに合う料理をお楽しみいただきます。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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