- 2010-07-30 (金) 10:41
- ワインコラム
食欲がわかない日もあるかもしれません。今回はフランス、ボルドーBordeaux地方のおいしい食材をご紹介いたしますので、このコラムで少しでも活力が湧いていただければ幸いです。
日差しの強いボルドーの夏。
今回ご紹介するのは、「うなぎ」です。日本では土用の丑の日にうなぎを食べて、元気をつけますね。ボルドーでは特定の日にうなぎを食べるという習慣はないのですが、うなぎが食べられています。
うなぎのことを、フランス語でアンギーユanguilleといいます。フランス人は日本人ほどうなぎを食さないようですが、様々な調理法で楽しんでいるようです。例えば、パリの高級総菜屋さんに行くと見つけられるのが、「スモークうなぎ」です。フィレに下ろしたうなぎを燻製にしたもので、脂が乗っていておいしいものです。樽で熟成させた、香ばしい香りを持つボリューム感のある白ワインと良く合います!
うなぎのスモークはあまり一般的ではないかもしれませんが、ボルドー地方の郷土料理として、うなぎの赤ワイン煮込みMatelote d’anguilleがあります。うなぎをぶつ切りにし(日本ではまず見られないですね。)、香味野菜と赤ワインとともに煮込んでいきます。骨つきなので少々食べづらいです。かば焼きに慣れ親しんでいる日本人には、いまいちかな、と思ってしまうかもしれません...。しかし、これはこれでおいしく、特にボルドー地方の赤ワインと合わせやすいので面白い調理法だと思います。
他に、私が働いていたビストロで、ぶつ切りにしたうなぎをニンニクやパセリとともにソテーした料理を出していました。地元の料理と地元のワインは不思議に合うもので、セミヨンsémillonのふくよかさとソーヴィニヨン・ブランSauvignon Blancの爽やかさを併せ持ったボルドーの白ワインと良く合います。
ボルドー地方には、「もうひとつのうなぎ」があります。やつめうなぎLamproieです。同じ「うなぎ」という名を持つものの、一般的なうなぎとは全く印象が異なります。生きた状態で網に入ったやつめうなぎを一度シェフが私に見せてくれたことがありましたが、口にはなんだか歯(牙?)がいっぱいあるし、びちびち動いているし、「絶対に噛まれたくない!」と、とても近寄れなかったのを覚えています。
ボルドーでは、若干の違いはあると思いますが、基本的にはやつめうなぎも普通のうなぎ同様に調理していきます。つまり、赤ワイン煮ですね。
うなぎも、やつめうなぎも、常備しているレストランは聞いたことがないので、もし運よく(?)メニューに載っていたら、試してみると面白いかもしれません。おいしくなくても、私は責任を取りませんが...(笑)
正直、日本のかば焼きが、うなぎの最高の調理法なのかな、と思う今日この頃です。
うなぎ自体、意外とワインと合わせやすい食材だと思います。この週末にでも、うなぎとワインを楽しんでみてはいかがでしょうか?
このコラムを読まれて、ご意見・ご感想がございましたら下記メールアドレスまでご連絡ください。
- Newer: ワインコラム 第57回 オーストリアの話 ヴァッハウ編
- Older: ワインコラム 第55回 イタリア ロンバルディア編