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ワインコラム 第52回 プロヴァンス地方の話 ベレBellet編

夏を予感させる日差し、寒くも暑くもなく、気持ちのいい季節ですね。

今回は、そんな爽やかな季節に相応しい、美しいワイン産地のお話です。

フランス南東部、プロヴァンスProvence地方。美しい地中海と、自然の残る山を擁し、フランス人さえ憧れる土地です。

新鮮な海の幸、山の幸に恵まれ、ワイン生産も盛んに行われています。しかしその大部分は日常消費用のロゼRoséが占めており、銘醸ワイン産地としては認識されておりません。

しかしながら、もちろん例外はあり、高品質なワインも一部生産されています。今回は、そんな「興味深い」プロヴァンスのワインのひとつ、ベレBelletのお話です。

地中海沿いに広がる、「紺碧海岸」と呼ばれるコート・ダジュールCôte d’Azur。イタリアにほど近いニースNiceや、国際映画祭(2010年は5月12日に始まりました。)が行われるカンヌCannesなど、その名を聞いただけでも気分が高揚するような美しい町が連なっています。

ベレは、ニースのすぐそばにあるワイン産地です。

ニースに行かれたことがある方の中で、どれだけの方がベレの名を知っているでしょうか?ワインのプロフェッショナルでさえ、ベレについて説明できる人は少ないのではないかと思います。私が思うに、ベレは数あるフランスワインの中でも最も入手困難なワインのひとつだと思います。

特に高価なワインではありません(プロヴァンスのワインとしては少し高価ですが)。価格の点ではなく、生産量が問題です。規定では、650haがベレとしてのワインの原料となるぶどう生産地区として認められていますが、実際は50 haほどしかぶどう畑が存在しておりません。50 haというと、ひとつのワイン生産地区としては驚くほど小さいものです。そのため、ワインの量も少なく、ニースでさえ、探してもベレのワインがなかなか見つからない状況です。

しかしベレはワイン産地としての歴史は古く、19世紀の初頭に大いに栄えていたようです。A.O.C.を獲得したのも1941年と古く、ワイン産地として注目されていたことが伺えます。

実際この地を訪れてみると、実に興味深いところです。海沿いのニースにとても近いのに、ぐっと標高が上がり、風景も海というより山の雰囲気です。非常に起伏に富む土地で、大きな畑を開くのは不可能で、ぶどう畑は所々に点在していました。

Bellet ベレのぶどう畑。

ワインの造り手も少ないようで、ドメーヌを見つけるのに苦労した記憶があります。

実際のワインはというと、そこはやはりプロヴァンスのワインです。白、ロゼ、赤の3種類が造られていますが、どれも軽やかで、トマトやオリーヴ・オイルを用いたプロヴァンス風の料理を引き立ててくれるようなワインです。

Monaco ニース風サラダ。 

このようなワインは、これからの季節日本でも活躍してくれそうですが、残念ながら日本ではベレは流通していないようです。フランスに行ったときにでも入手して、いずれご紹介できればと思っております。一度試す価値のあるワインと言えるでしょう。

Bellet - コピー

この週末にでも、ベレは無理かもしれませんがプロヴァンスのワインを試してみてください。一般的なロゼでも、これからの季節はおいしいと思いますよ!

 

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