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ワインコラム 第51回 ロワール地方の話 ミュスカデ編

有名なのに、実はその実態がよく知られていないものがあると思います。

 

動物や魚、機械や工業製品...

 

ワインの世界において、ミュスカデMuscadetはそのような存在かもしれません。

 

フランスを代表する辛口白ワインのひとつで、生牡蠣などの魚介類と良く合う良質なワインですが、価格が手ごろで重宝します。

 

しかし、逆にその価格のためか、高級レストランのワインリストに載ることは稀ですし、ワイン好きの話題に上ることも多くありません。

 

そんなミュスカデの「現場」を見るべく、2004年の春に産地を訪問してきました。

 

ミュスカデはフランス北西部、ロワールLoire地方、中でも一番西側の、大西洋近くの冷涼な土地で造られています。近くには大きな町、ナントNantesがあります。このあたりではしっかりとした酸味を持つぶどうが収穫され、それがそのままワインの味わいに反映されます。

 

ミュスカデ、と名のつくワインは現在4つ(ミュスカデMuscadetミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌMuscadet Sèvre et Maineミュスカデ・コート・ド・グランリウMuscadet Côtes de Grandlieuミュスカデ・コトー・ド・ラ・ロワールMuscadet Coteaux de la Loire)ありますが、ミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌがその大部分を占めています。

 

ワインの原料となるぶどう品種は、その名もミュスカデMuscadet。ブルゴーニュ地方が原産とされており、別名をムロン・ド・ブルゴーニュMelon de Bourgogneといいます。

 

私が訪れたのはミュスカデ・セーヴル・エ・メーヌ(以下ミュスカデ)のシャトー・デュ・コワン・ド・サン・フィアクルChâteau du Coing de Saint Fiacre(以下シャトー・デュ・コワン)です。

Ch. du Coing 畑 シャトー・デュ・コワンの畑 

シャトー・デュ・コワンはこの地区を代表する上質ワインの造り手のひとりですが、伝統的なタイプのミュスカデの他に、特別タイプのミュスカデを造っています。非常に珍しいそのキュヴェ目当てでこの造り手さんを訪問したのですが、そのキュヴェとは...

 

新樽熟成のミュスカデ!

Ch. du Coing 樽 

繰り返しになりますが、本来ミュスカデはフレッシュな白ワインで、新鮮な魚介類と相性の良い辛口白ワインです。ステンレス・タンクで、発酵の時に生じた炭酸ガスを逃さないように熟成され、なるべく早いうちにそのフレッシュさを楽しむべきワインなのですが、樽(それも新樽!)で熟成させ、複雑なニュアンスを帯びたミュスカデを造る造り手はこの造り手以外に思い当たりません。

 

畑や醸造設備を見学させてもらった後、このシャトーの全てのキュヴェを試飲させていただいたのですが、新樽熟成のミュスカデは私の今までのミュスカデの概念を覆すものでした!ミュスカデ固有のしっかりした酸味、ミネラル感を保ちつつ、新樽熟成による複雑なニュアンスを兼ね備えています。このクラスのワインには、ソースを添えた魚料理や甲殻類と合わせると楽しめそうです。

 

これからの季節、さっぱりとした白ワインが活躍しますね。新樽熟成キュヴェは別として、さわやかなミュスカデを試してみてはいかがでしょうか?

 

Clos Yでは、5月20日のレストラン講座のテーマを「ロワール」とし、厳選されたロワール地方のワインとそれに合う料理をお楽しみ頂けます。今回ご紹介したシャトー・デュ・コワンの新樽熟成ミュスカデも登場いたします。ご興味のある方はご連絡ください。

 

 

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vinclosy@aol.com

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